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ビールの広告で"9割本"?その意図を担当者に聞いた
サントリー株式会社は2024年8月5日より、「#9割がいっぱい」をキーワードにした「ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉香るエール」の施策を展開しました。
「人は話し方が9割」などに代表される"9割本"が300冊以上出版されていることに着目した同社は、20歳~59歳の500人を対象に"9割本"に関する意識調査を実施。
その結果、9割以上の人が"9割本"の多さを感じていたほか、「日々の中で悩みはなくならない」と回答した人も9割を超えました。
この調査結果を受け、"9割本"だらけの世の中を可視化するために巨大な"9割本"が並んだ交通広告を新宿駅メトロプロムナードにて掲示。また、WebCM「9割が9割」篇の公開や、書店で"9割本"を集めた「9割本棚」を期間限定で設置するなどの施策を行いました。
サントリー株式会社 宣伝部の杉本氏によると、半年ほど前から企画の検討を開始し、8月に向けて動いてきたそう。
7月〜8月はビールの商戦期。各社それぞれ広告を出稿する中で、どう「香るエール」を目立たせるかという意図を持って設計されました。杉本氏によると、「"9割本"という一見商品から遠いモチーフを選ぶことで、その他の広告と違った見え方になり、ふだんビールの広告に興味を持たない人も振り向かせられることを期待し、実施しました。」とのこと。
特に今回の施策で目を引いたのは、巨大な"9割本"が並んだ交通広告。このクリエイティブやデザインの内容に関してポイントを聞いたところ、「空間が本で埋め尽くされる、異様な空間設計を目指した」と杉本氏。
「9割本が多いというネタを扱うからには、見た人が9割の数と圧を実感するような広告づくりが大切だと考えていました。そこで9割本を実際にずらっと並べるアイデアが生まれ、横に広いメトロプロムナードを選定。巨大な本に取り囲まれているような、つい目を留めてしまう体験を設計していきました。」という杉本氏の言葉通り、現地で実際に見ると書店のフェア広告かと思うくらい一面が書籍で埋め尽くされており、驚きのある広告となっていました。
【アドクロ編集部撮影】
「9割」が前面に出た内容となっている今回の企画。「ザ・プレミアム・モルツ 〈ジャパニーズエール〉香るエール」とどういった関係があるのかを聞いたところ、ローンチ後に公開したWeb CMがその答えになっているそう。
「こちらのWeb CMを見ると明らかになるのですが、日本のビールはラガータイプが9割、一方で『香るエール』は残りの1割に含まれるエールタイプのビールと言われています。9割ではないものの価値も知ってもらいたい、という意図から、9割の圧を感じるクリエイティブを制作し、あと1割の自由を実感させる企画を設計していきました。」
「香るエール」は、個性的な味わいでいつもとは違う気分を求める人に選ばれることも多いプレミアムビール。「9割と1割の企画を通じて、『香るエール』という、いつものビールとは違う選択肢の提案を意図している」という杉本氏の言葉にもあるように、「9割」と「1割」の巧妙な対比を用いたクリエイティブは商品自体の魅力を引き立てると同時に、広告を見た消費者の心に残る印象的な企画となっていました。
商品自体からは一見かけ離れた"9割本"というテーマを取り上げることで、消費者の興味を引きつけるとともに、ビール市場における「香るエール」の独自性を効果的に伝えたこの企画。広告のデザインや設置場所へのこだわりが、この企画が意図するメッセージをより強力に発信しているように感じられた事例でした。
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