漫画広告ってどんな広告? | 商品・サービスを漫画形式で紹介する広告手段

世界に誇る日本の文化の1つである漫画。漫画広告はこの漫画を使った広告手法で、幅広いジャンルの広告活動で利用されています。漫画マーケティングとも呼ばれています。

漫画広告は商品・サービスの広告内容が漫画で表現されているため、広告に対する抵抗感が少ないと言われています。また、消費者の悩みから購入までの一連の流れを漫画のコマ割りでわかりやすく説明できるため、広告内容が伝わりやすい広告手法です。最近ではYouTubeの動画広告でも漫画広告が急増し、動画広告としての漫画広告も注目されています。

今回は、そんな漫画広告のメリットや魅力についてご紹介します。

漫画広告とは? 

漫画広告とは漫画家が商品・サービスを漫画形式で紹介する広告手法です。古くは児童に分かりやすく解説する目的で作られたものが大部分を占めていた漫画広告ですが、最近では多くのビジネスシーンでも漫画広告も目にするようになりました。漫画広告が注目されるようになった背景にはSNSの普及があると言われています。通常の広告はSNSで拡散することを躊躇する人が多いですが、目を引く内容の漫画広告は多くの人に拡散されやすい傾向にあります。最近では企業のマーケティングにおいてSNSの拡散力は無視できない要素の1つであるため、より拡散力の高い広告手法として漫画広告は多くの企業に取り入れられています。

漫画広告のメリット

漫画で商品・サービスを紹介する漫画広告は、漫画の特性を活かした唯一無二の広告手法です。漫画広告のメリットとしては以下の3点が挙げられます。

  • 抵抗感の少なさ
  • 情報がわかりやすく伝わる
  • 拡散力の高さ

詳しく解説します。

抵抗感の少なさ

漫画広告は通常の広告と比べ、消費者が感じるネガティブなイメージが少なくなる傾向にあります。

広告物の中には、商品・サービスの特徴やメリットを伝えようとするあまり、情報過多になって見づらくなっているものも少なくありません。そのような広告物の『広告っぽさ』が消費者、特にWEB上で広告物を視聴する人にとっては煩わしく感じることも多いようです。漫画広告はこの『広告っぽさ』を極力少なくすることができる、今注目の広告手法の1つです。

最近ではキャラクターや背景に動きを付けた動画漫画広告も、YouTubeなどの動画配信サイトで人気になりつつあります。動画広告を漫画広告にすることで、広告物に興味を持ってもらう導入部分の障壁が少なくなることや、音声をつけることで画面を常に見ている必要がなくなるなどのメリットもあります。

情報がわかりやすく伝わる

前述の情報過多な広告物は、その商品・サービスに興味のある消費者にとって、場合によっては見づらくなり、情報の理解にカロリーを使うものです。多くの情報が必要な広告物でも、漫画広告であれば商品・サービスを使用する際の一連の流れがコマ割りを使って表現することができます。ストーリーを使って商品・サービスの紹介ができるため、商品説明や利用方法など通常の広告物では伝えることが難しい内容も、漫画広告ではわかりやすく消費者に伝わります。

漫画広告では多くの情報をユーザーに伝えられるメリットがありますが、多くの情報を伝えるためには、やはり活字が必要不可欠となります。ただ、漫画広告では、漫画と活字で役割分担をさせながら情報が伝達できるというメリットもあります。全てを漫画のコマ内に収められない場合は、漫画広告でユーザーの興味を惹きつけ、枠外の解説へと誘導する方法も効果的です。

拡散力の高さ

広告宣伝において無視できない存在になりつつあるSNSですが、漫画広告はSNSとの相性も非常に良い広告手法です。漫画広告は『広告っぽさ』を抑え、わかりやすく伝えられるため、多くのユーザーに端的に情報を伝える必要があるSNSでは、その効果を遺憾なく発揮します。InstagramやTwitterでは1つの閲覧・リアクションにユーザーがかける時間が短いため、漫画広告のように情報を整理して直感的にユーザーに伝えられる投稿への注目度は高く、多くのユーザーに拡散されやすい傾向にあります。

漫画広告のデメリット

消費者に与えるインパクトや拡散力の高さなど、特有のメリットが多い漫画広告ですが、その特徴を把握して広告宣伝を行わないと、せっかくの漫画広告の効果も十分に発揮できずに終わる可能性があります。漫画広告をマーケティングに利用する際はメリットだけに捉われず、注意点やデメリットなど把握しておきましょう。漫画広告のデメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  • 伝えられる情報量に限りがある
  • 与える印象には注意が必要
  • 出稿までのプロセスが複雑

詳しく解説します。

伝えられる情報量に限りがある

広告宣伝にストーリーを与えることができる漫画広告は、情報をわかりやすく簡潔に伝えることには向いていますが、広告スペースの大半が絵(漫画)で埋まってしまうため、多くの注釈や解説が必要な広告宣伝には不向きです。漫画のコマ内で全てを伝えないといけない漫画広告は、伝えられる情報量に限りがある点がデメリットの1つです。枠外に注釈や解説を入れられる広告媒体への出稿の場合は、漫画から活字への誘導をデザインすることで、情報量の課題を解決できます。

与える印象には注意が必要

深く読み込まなくてもイメージで商品・サービスの宣伝ができる漫画広告ですが、消費者に与える印象には細心の注意を払う必要があります。多くの消費者に読まれやすい漫画広告を目指すあまり、企業イメージとかけ離れた印象を与えるキャラクター・内容になってしまっては本末転倒です。

漫画広告は、比較的軽いポップな印象の広告になることが多いため、ブランディングイメージに高級感が含まれるような企業の広告宣伝には不向きと言われています。広告宣伝には少なからず誠実さや信頼性といった要素も必要ではあるため、漫画を利用しながらも軽くなりすぎないよう注意することが肝心です。

出稿までのプロセスが複雑

漫画広告は通常の広告出稿と比べて出稿までのプロセスが長く、複雑になりがちな点もデメリットの1つです。漫画広告では、漫画形式で広告宣伝を行う上で必要なキャラクターやストーリー、セリフ、コマ割りなど通常の広告デザインに比べて制作する要素が多くなります。これらをそれぞれ漫画家さんと打ち合わせしながら、それぞれが自社の企画と同じイメージになるように制作していくことになります。

通常の広告物であれば、ラフ画から初稿、修正という流れで制作されることが多いですが、漫画広告では必要な要素それぞれを段階的に制作していくため、工程も多く制作期間も長くなりやすくなります。そのためデザインの制作に必要な費用も、通常の広告物に比べて割高になるケースも多いようです。

漫画広告の事例

漫画広告は、ポップなキャラクターによる商品・サービスの体験レポ風のものや、成功事例のストーリーを漫画で描くことで商品・サービスの魅力をアピールするものなど、様々なジャンルの宣伝広告に取り入れられています。今回はジャンル毎にSNSへ投稿された漫画広告の事例を紹介していきます。

漫画広告の事例 ~体験レポ風漫画広告~

漫画広告では商品・サービスの体験談や感想などを読者に伝えたい場合によく利用されています。漫画広告の特徴である『ストーリー』を最大限に活かすことができる体験レポ風漫画広告は、漫画広告の中でも最も多く見かけるジャンルです。

ハウス食品『辛いハヤシライス』

ハウス食品から発売された『トマ辛ハヤシ』のTwitterに投稿された食レポ漫画広告。漫画広告界では有名な『やしろあずき』さんが漫画を担当し、1万件以上のいいね、3千件を超すリツイートを獲得するほどの注目度となっています。商品のアピールポイントである辛味の部分が漫画とセリフでわかりやすく紹介されている漫画広告です。

ロート製薬『養潤水』

ロート製薬から発売された目薬『養潤水』の体験レポ風漫画広告。消費者の悩み提案から課題解決までが、たった2ページ10コマ程度でわかりやすく伝えられているため、共感を与えやすい印象の漫画広告です。Twitterに投稿されたこの漫画広告も約1.6万回のいいね、4千件以上のリツイートと、多くのユーザーによって拡散されています。

漫画広告の事例 ~主婦向け漫画広告~

漫画広告はサクッと空き時間で、広告を楽しみながら読めるため、家事や育児で忙しい主婦もターゲットになります。家事・育児用品と漫画や可愛らしいキャラクターとの親和性も高く、気軽さや可愛らしさの演出に漫画広告が一役買っている商品・サービスが多い印象です。

ユニ・チャーム『マミーポコ』

商品の特徴やメリットをわかりやすく漫画で解説しているオムツの漫画広告です。前半部分は商品のPR、後半部分で商品を購入した際の成功体験を描くことで、数コマという少ない広告スペースでユーザーの購買意欲を高める構成になっています。

花王 『クイックル ホームリセット』

育児漫画家『倉田けい』さんが漫画を担当している花王の漫画広告。家事・育児の悩みに共感するところから漫画が始まり、広告の商品を使いながら問題を解決していくストーリー展開になっています。商品の特徴やメリットが筆者の感想を交えながらテンポよく紹介されているため、コマ数は多いものの短い時間で必要な情報量が伝わる漫画広告になっています。

漫画広告の事例 ~アプリ紹介漫画広告~

漫画広告では体験談や感想などストーリー展開を活用した広告宣伝が主流です。そのため競合が多く、自社サービスの競合優位性を保ちにくいアプリの宣伝と漫画広告は相性が良く、多くの企業に利用されています。漫画広告だけではアプリ詳細を伝えるのは難しいため、漫画広告が興味喚起の役割を担い、ダウンロードサイトへと誘導する形で広告出稿されているものがほとんどです。

MTI Ltd. 『乗換MAPナビ』

『#乗り換えでキュンする漫画企画』と題して、無料アプリ『乗換MAPナビ』内で掲載された漫画広告。複数の漫画家がそれぞれのシチュエーションで描いた漫画広告で、『乗換MAPナビ』を使用するとランダムで表示され、漫画が閲覧できるという一風変わった漫画広告です。

フェリカネットワークス 『おサイフライフ+』

アプリの特徴・メリットを簡単に紹介する広告っぽさが少ない漫画広告です。漫画内ではアプリの使用と簡単な紹介のみを、ストーリーと絡めながら自然に挿入し、詳細はURLでWEBサイトへ誘導する設計になっています。競合が多いアプリにとって重要な興味喚起の部分に漫画広告を利用する、代表的な漫画広告の活用例です。

SEGA×Colorful Palette 『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』

SEGA、Colorful Paletteから配信されている『プロジェクトセカイ カラフルステージfeat.初音ミク』の配信前に投稿された漫画広告。『初音ミク』ファンに向けてアプリの魅力を紹介する漫画広告として投稿され、約5千件以上のいいねを集めています。このアプリではリリース後も積極的に漫画広告を販促活動に取り入れ、公式Twitterでも定期的に漫画広告が投稿され、常に数万件のいいねを集めるなど人気のコンテンツになっています。

漫画広告の事例 ~YouTube広告~

最近ではYouTube広告に漫画に動きをつけた動画を利用する企業が増えてきています。その他の漫画広告と同じく、自社の広告に目を留めてもらうために興味を惹きやすい漫画広告が動画広告界でもじわじわと人気になりつつあります。

花王 『ニャンとも清潔トイレ』

花王から発売されている猫の室内用トイレの漫画動画広告。パラパラ漫画で有名な芸人『鉄拳』さんが漫画を担当していることでも話題になっています。約5分間の動画で、広告としては非常に長いですが、猫の視点で飼い主・猫それぞれの悩みを商品が解決してくれるストーリーになっており、終わってみれば商品の紹介動画だった、というくらいユーザーを惹きつける内容の漫画広告です。

ネクソン 『メイプルストーリーM』

ネクソンから配信されているスマートフォン向けMMORPGゲームのメイプルストーリーMの漫画広告。花王の『ニャンとも清潔トイレ』同様、この漫画広告も6分程度と比較的長めの漫画広告です。既存ユーザーが感じているアプリの魅力や楽しみ方に焦点を当ててアプリ紹介を行っている漫画広告で、期間限定クーポンを動画の最後で配布するなど、新規ユーザー獲得への導線が設計されています。

まとめ

漫画広告はSNS時代の今、多くの企業から注目されている広告手法です。依頼する漫画家によって広告全体のイメージが大きく異なるため、幅広いジャンルの商品・サービスに活用できます。

抑えておくべき、漫画広告のメリット・デメリットについておさらいしておきたいと思います。まず、漫画広告のメリットは大きく、以下の3つになります。


メリットも多い漫画広告ですが、以下のデメリットには注意が必要です。


漫画広告のメリットとデメリットをしっかり把握し、マーケティングに活用してみてはいかがでしょうか。

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