「プログラマティックOOH」国内本格始動元年

株式会社 LIVE BOARDは、海外、主にアメリカ・イギリス・オーストラリア等の最新の動向や、国内の調査・報道資料をベースに、「2023年OOH業界トレンド予測」を制作しました。同社は2022年末に2022年の「OOH業界のトレンドキーワード」を調査リリースとして配信しましたが、これに加え、「データ」「クリエイティブ」「メディア」という3つの視点から2023年の展開を予測したものとなります。

同社は、日本におけるOOH市場の活性化、および広告主や屋外・交通媒体社等に客観的で公正なメジャメント基準を作るため、グローバルなデジタルOOH業界団体である米国Digital Place Based Advertising Association(DPAA)ならびに、スイスWorld OOH Organization(WOO)に参加し、国内でも一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム(DSC)のワーキングメンバーとしてメジャメントの標準化への取り組みを行っています。


人流の回復

新型コロナウイルスの影響で企業がリモート・ワークを推進する傾向は一段落し、各企業はそれぞれ出社やリモート・ワークを柔軟に取り入れる傾向が始まっています。企業の方針によって濃淡はあるものの、テスラやTwitterなどのCEOであるイーロン・マスク氏が社員に対して「原則出社」を指示したという事例が示すとおり、出社を推奨する企業も増えはじめ、都心の人流はコロナ以前と近い水準に回復すると考えられます。
また円安や入国条件の緩和等により海外からの渡航者(インバウンド)が増えるとともに、円安で海外旅行を敬遠する日本人の国内旅行に対する需要も旺盛になることが予測され、国内の大都市や観光地における人流の回復が見込まれます。


OOH業界の傾向

新型コロナウイルスはOOH業界にとって大きな影響を与えましたが、最近では感染者数の減少や政府の方針が緩和傾向に向かうという報道などの影響で人々が外出する機運が回復し、OOHを目にする機会が増えています。


2023年OOHトレンド予測

①データ

-国内のプログラマティックOOHの本格始動
2022年にGoogleのディスプレイ&ビデオ360(以下、DV360)をはじめとする大手DSPからデジタルOOH広告在庫のプログラマティックな買い付けが開始しました。2023年は各社が配信した事例が蓄積されその効果が実感され始めるとともに、広告会社の認知が向上し運用面での課題も解消されることで、メジャーな配信手法として認知が向上していくとしています。

- OOHを含むメディア横断した広告プランニングが主流に
広告主がテレビやデジタルで到達できるリーチに限界があることに気付き始め、OOHを含めた幅広く新しいメディアの活用が着目される。広告会社では複数メディアを活用した広告をプランニングするにあたり、メディア間で比較可能なデータの需要が高まっていくとしています。

- OOHの視認者数を計測する手法の統一化が図られる
OOHのプログラマティックな取引が増加し、各社でインプレッションをベースにした取引が加速するとともにメディア横断したプランニングの需要が高まっていく。これにより媒体社間でインプレッション計測が統一されている必要性を広告主・広告会社が気づき始め、業界団体が牽引するメジャメント標準化への機運が高まるとされています。

②クリエイティブ

‐ライブ配信
eスポーツやアーティストの生配信などをOOHでもライブで配信する環境が整い、参加する個人・企業が増加する。ライブ配信の特徴に加えSNSとの連動などによりOOHに更なるインタラクティブ性が加わる相乗効果が期待されます。

‐SNS等と連動したクレイティブがさらに活性化
2022年はTwitterとOOHが連動するクリエイティブが多く登場したが、2023年はTikTokやYouTubeなど、より広範なSNSとの連動した事例が登場することが予測されるとしてます。

‐プログラマティックOOHに対応したクリエイティブ
プログラマティックOOHでは天気や気温、時間など外部のデータに連動してクリエイティブの出し分けができるため、1つのキャンペーンでモーメントに応じた複数のクリエイティブが制作される機会が増加するとしています。

③メディア

‐生活者の行動導線を捉えた媒体の増加
プログラマティックOOHの普及とともに、広告主からは屋外にいる生活者のあらゆる行動導線上でコンタクトポイントを持ちたいという需要がさらに加速し、様々な種類の媒体の開発が進むとされています。

‐環境に配慮した媒体の需要が増える(省エネ、CO2削減、グリーン化等)
ヨーロッパでは既にOOHの省電力化はもとより、バス停看板の屋上を緑地化したり、バス停に養蜂場を設置するなど、CO2削減に向けた様々な取り組みが進んでいます。この動きは日本でも広がり、広告主は環境に配慮する企業を選んで広告の出稿先を選定していくとされています。

‐相対的なOOHメディアの価値向上
若年層のテレビ離れ、デジタル・メディアの成長の鈍化、訪日外国人の増加なども含めた人流の回復、屋外・屋内・店舗内などのデジタルサイネージの増加、SNSとの親和性などの要因から、他のメディアと比べてOOHメディアの相対的な価値が向上するとしています。


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