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成果を最大化するためのマーケター必読本 | 山本達巳
戦略ごっこーマーケティング以前の問題 著者 / 芹澤 連
株式会社コレクシアの執行役員を務める芹澤連氏は、心理学や文化人類学の知見を活かしたエビデンスベースのマーケティング戦略を展開するマーケティングサイエンティストです。
従来のマーケティング本と一線を画す「戦略ごっこ」。本書の最大の特徴は、300以上の海外論文や実証研究に基づくデータ重視のアプローチです。多くのマーケティング書籍が著者の主観や経験則に依存する中、本書は市場データに基づき理論の正当性を厳密に検証。特に注目すべきは「未顧客理解」という新たな視点の提唱です。既存顧客のロイヤルティ向上に偏りがちな従来理論に対し、非購買層やライトユーザーの理解が事業成長には不可欠だと説きます。
実務では、データに基づく意思決定を促進する思考法が大いに活用できます。消費者行動の規則性の理解を通じ、効果的なマーケティング施策の立案が可能になります。また、事業成長の分岐点を見極めるフレームワークも提供。ダブルジョパディや購買重複の法則など、実証データに基づく理論を用いることで、マーケティング施策の効果を最大化する指針が得られます。さらに、豊富な事例を通じて、理論の実務応用方法を具体的に学ぶことができ、より効果的な戦略構築のスキル向上に繋がるはずです。
マーケティングの当たり前を見直し、実務における誤解や誤認を解消する本書は、データドリブンな意思決定を目指すマーケターにとって必読の一冊となるはずです。
世の中には、マーケティングやブランディング系の話があふれています。
毎年のように新しいキーワードが登場し、ネットを検索すれば「すご腕マーケターの成功事例」から「偉い先生が提唱する有名な理論」、果ては「どこかのコンサルが考えた独自フレームワーク」まで山のように出てきます。
しかし、本当にそれで事業が成長するのでしょうか?
なぜ、みんな言っていることが違うのでしょうか?
STP、顧客ロイヤルティ、新規獲得と離反防止、リピート、差別化、ニッチ戦略、ブランドイメージ、パーセプション、ポジショニング、プレミアム化、推奨、ファンマーケ、購買ファネル、クリエイティビティ、予算配分の最適化、マーケティングROI……。
本書では、このような「みんなそう言ってるから、まあそういうものなんだろう」的な話の根拠を、海外の実証研究や論文を中心に徹底的に掘り下げました。その結果、事実ではない、一般的に有効とは言えないケースが数多く見つかりました。消費者理解から商品開発、プライシング、流通、広告コミュニケーションまで、戦略や戦術に関わるほぼ全ての面で「根本的な事実誤認」があるようです。
現実と理屈が合わないとき、間違っているのは理屈のほうです。現在はリスキリングがはやっていますが、本来知り直すべきなのは「こうするとこうなる」「そうしたくても、そうはならない」という、市場と消費者行動に関する基本的なファクトです。そこを勘違いしたままでは、どんなに素晴らしいアイデアでも水の泡、企業の貴重なリソースが無駄になります。今こそ事実に基づいて、ビジネスやマーケティングの「当たり前」を見直しましょう。
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