この記事では、各月ごとで話題化したりSNSでバズった面白い広告を厳選した上で、その魅力や成功の理由を深く掘り下げていきます。
広告の最前線を垣間見ながら、新たなヒントを得ることで、これからの広告展開に活かしていけるはず。次のプロジェクトを考える際のインスピレーションを与えてくれるのではないでしょうか。
広告の持つ無限の可能性を感じ取り、新しいアイデアを生み出すきっかけとなれば幸いです。
2024年8月 今夜は焼肉一択!「焼肉のたれ」広告
JR山手線で展開された創味食品の編成ジャック広告です。
肉の部位の名称を大きく書き、その横に控えめに商品の写真を載せたシンプルかつ斬新なデザインとなっていました。
編成ジャックで前後左右やモニターにも肉の部位違いで掲載されており、電車内はまるで異空間。帰り際に遭遇すると、とにかく焼肉を食べたい気分にさせるトレインジャックとなっています。
SNSでは、「クセ強すぎて思わず2度見した」「ずっと見せられ良い感じに洗脳される」などと、編成ジャックに感想を述べている投稿がみられました。
まずは何に関連する商品なのかが一目でわかるようになっています。全車両に少しずつではなく、トレインジャックしたことによって、インパクトが倍増しているように感じられました。
2024年7月 推しの子season2渋谷ジャック広告
テレビアニメ「推しの子」の第2期放送開始を記念して、渋谷駅構内と渋谷駅周辺にて、広告ジャックが実施されました。
今回の広告ジャックは全国74箇所で実施。特に渋谷エリアの屋外でのプロモーションは、実施期間2週間と長期にわたって行われました。
渋谷エリアの様々な場所に掲出されていましたが、それぞれ異なるデザインの広告が掲出されており、「推しの子」ファンを喜ばせる広告展開となりました。
渋谷駅の内外でピンク背景の広告が多数みられ、推しの子の勢いを感じた展開でした。サブカルチャーの発信地である渋谷でインパクトのある広告ジャックを実施したことから、作品の注目度や話題性の高さが伺えます。「推しの子」を見たことがない人も興味を持つ広告展開となったのではないでしょうか。
2024年6月 ぼっち・ざ・ろっく「#負けるなぼっちちゃん」ポスター広告
「劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:」の公開を記念し、山手線沿線の各駅に掲示されたポスター広告。
41種類のポスターが山手線各駅のホームに掲示、各駅の印象や特徴に合わせたデザインとなっており話題を集めました。SNSでは広告巡礼をしている方も。
1週間の短期間ですが、ポスター掲示と合わせて主要駅では特別映像や大型キービジュアルを掲載し、複数の広告形態を合わせた宣伝となっています。
漫画やアニメのファンはSNSの利用率が高いことに加え、「推し」の拡散に熱心な方が多いので、SNSを連動させた宣伝はもはや必須となっている印象でした。
2024年5月 リアルゴールドの広告 “プニプニ”唇の衝撃
東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナードにコカ・コーラシステムのエナジードリンクブランド「リアルゴールド」の広告です。
TVアニメ「キングダム」とのコラボレーション企画の一環で、WEB謎解きイベント「謎解き!モヤモヤ軍からの解放」に合わせ、謎解きの第1問目として「このおうきなプニプニの唇は誰だ!?」の立体広告が展開。
実際に唇を見てみると光沢感が妙にリアルさを出しつつも、触ってみると"プニプニ"していて、クオリティへのこだわりを感じます。存在感のインパクトから、SNSでも写真付きでの投稿が見られました。また、作品のファンなら察しがつくレベルの問題難易度であったことも、SNSでの投稿を加速させた要因であったように感じます。
一見、リアルゴールドの広告とは気づかないような、商材の直接的な訴求が少ないながら、見た人が「なんだろう?」と気になって検索したり、アクションを起こしたくなるようなデザインになっていました。キングダム好きな人も、そうでない人にも刺さる、大胆なクリエイティブでした。
2024年4月 花王 「家族と愛とメリット」車内広告
JR各線車内に掲出されたドア横ポスター
花王が掲出した手書き風の車内広告が話題になりました。優しいタッチで描かれた親子のイラストが印象的なこの広告は、「家族シャンプー」として50年以上の歴史がある「メリット」の広告です。
「最終回は気づかないうちに終わっていく。」や「遠くまで行ってほしいし、ずっと近くにいてほしい。」など、子供を想う親の愛情を表現したフレーズや文章が多くの人を心を掴み、SNSでは「メリットの広告見て涙出た」、「こんなん全パパママが泣くやん」など、子育て世代をはじめとする様々な人が共感していました。
その他、2024年4月に行われた面白い広告はこちら。
2024年3月 スキップとローファー 37種の「赤」広告
東急田園都市線渋谷駅構内に掲出された大型広告
東急田園都市線渋谷駅構内に掲出された人気漫画「スキップとローファー」の大型広告が話題になりました。
こちらの広告は「月刊アフタヌーン」で連載中の「スキップとローファー」の単行本第10巻の発売に合わせて掲出されたもので、作中に出てくる37個の赤面シーンの台詞を、37種類の異なる「赤」で表現。「自分のことを好きな人が、気になる赤」や、「なんであんなこと言ったんだろう…の赤」、「悪気なくても、嘘つかないで…の赤」など、青春ならではの感情が表現されており、広告を見た多くの人の共感の投稿がSNS上で見られました。
赤のグラデーションでインパクトがあるだけでなく、漫画のイラストが控えめなデザインで一見何の広告なのか、近くを通る人の興味を引くような広告だったと思います。
その他、2024年3月に行われた面白い広告はこちら。
2024年2月 楽天モバイル 600万回線突破記念広告
東急渋谷駅構内に掲出された大型広告
楽天モバイルが600万回線突破を記念して掲出した広告が話題となりました。
新宿駅と渋谷駅に掲出されたこちらの広告は、「600万」という数字がどれだけの規模なのかを、世の中にある様々な数字と比較するというユニークな内容の広告でした。
「飼い犬の数と同じくらい」や「自販機の数の2倍くらい」、「佐藤さんと鈴木さんより多い」などのような身近な数字と比べることで「600万」回線がどれだけ大きい数字なのかを、分かりやすく面白くアピールしていました。
確かに“600万回線”と聞いても、一般の方から見ればどれだけすごい数字なのかイメージしにくいですよね。親近感のあるイメージしやすいものの数字と比較することで、600万回線突破の素晴らしさも伝わりますし、楽天モバイルに興味のない方も様々な「くらべてみた」に興味を持ち、広告に目が行くのではないでしょうか。面白い工夫が施された広告でした。
その他、2024年2月に行われた面白い広告はこちら。
2023年2月 プリキュア20周年記念広告
JR新宿駅構内の大型サイネージに配信された動画広告
全国各地で実施されたプリキュア20周年記念広告が話題となりました。
こちらの広告は、TVアニメシリーズ「プリキュア」の20周年を記念する「全プリキュア展」の開催に伴い、全国各地で実施されたものでした。新宿駅・阪急大阪梅田駅では大型サイネージ広告が登場。さらに、全国9都道府県で合計100面ものバス停広告が掲出され、発見したファンたちがネット上で盛り上がりを見せました。
そして、「全プリキュア展」が開催される池袋では街中がフラッグジャックされ、株式会社バンダイの本社ビルには「ふたりはプリキュア」のラッピングまで登場しました。
大型ビジョンの前には多くのプリキュアファンが集まり、写真撮影を行うほどの注目度で、プリキュアの人気の高さが伺えました。バス停広告は全国各地のプリキュアファンたちがSNS上に写真を投稿し、拡散されていました。プリキュア20周年をファンとともに盛り上げることができた、インパクトのある企画となりました。
その他、2023年2月に行われた面白い広告はこちら。
2022年10月 Netflix 黒い山手線
山手線を走るNetflixラッピング電車
山手線の車両で実施されたNetflixのラッピング電車が話題になりました。
動画配信サービス『Netflix』は今回、鉄道開業150年を記念し、JR東日本と共同でラッピング電車の運行を実施。鉄道開業時の1号機関車をイメージした黒いデザインの車両が山手線上を走行しました。
車内にもNetflixの人気作品の車内広告が掲出され、Netflix一色となっていました。
このラッピング電車は運行本数が少なく、とても貴重だったため、多くの人が写真や動画を撮影し、ネット上で拡散しました。緑色の電車が走るはずの山手線上に突如現れた黒い電車はとてもインパクトがあり、鉄道ファンの心も惹きつけた広告展開となりました。
その他、2022年10月に行われた面白い広告はこちら。
2022年9月 SPY×FAMILY 3D屋外広告
新宿駅東口前の屋外ビジョンで配信された3D広告
新宿駅東口前の屋外ビジョンにて配信されたテレビアニメ『SPY×FAMILY』の3D広告が話題になりました。
今回の3D広告は遠藤達哉氏による漫画が原作のアニメ『SPY×FAMILY』の第2クール放送開始のPRとして実施されました。2022年4月~6月に第1クールが放送されたアニメで、原作コミックスは累計発行部数2,700万部を突破した人気作品です。主人公の凄腕スパイ・ロイドが任特殊任務遂行のため引き取った女の子・アーニャと、契約結婚した殺し屋・ヨルと“かりそめの家族”をつくるというストーリーで、今回の3D広告では新宿の街を覗き込むアーニャの可愛らしい姿が映し出されました。
『SPY×FAMILY』のPRはこれだけではなく、この3D広告が放送されたビジョンの並びにあるアルタビジョンとNEWNO GS新宿ビジョンでも動画広告を同時配信。さらに、渋谷駅では大型のサイネージ広告が掲出されていたり、山手線をラッピングトレインが運行したりと、都内は『SPY×FAMILY』一色となっていました。
ネット上でも拡散され、アニメ『SPY×FAMILY』公式Twitterの3D広告ついてのツイートは多くの人に“いいね”やリツーイトされていました。
その他にもSNSで多くの人に広告の写真や動画が拡散されており、とても話題性のある広告展開でした。
その他、2022年9月に行われた面白い広告はこちら。
2022年8月 Notion 世界8都市ブランドキャンペーン
目黒駅前のバス停に掲出されたバス停広告
Notion Labs, Inc.が東京・渋谷の屋外看板や、都内各所のバス停広告など、都内各所に掲出した広告が話題になりました。
Notion Labs, Inc.では多くのワークフローを一元管理できるクラウドツール「Notion」を提供しています。多くの企業で利用されている「Notion」ですが、今回の広告キャンペーンでは仕事だけでなく、生活の中でも活用できることを提案。
新たなブランドキャンペーンとして「For your life's work」をテーマに国際ブランドキャンペーンを実施しました。東京のほか、サンフランシスコ、ニューヨーク、トロント、ロンドン、ダブリン、パリ、ソウルの世界8都市で「Notion」の広告が掲出されました。
仕事をしたり、調べものをしたり、「Notion」を使っている様々なシーンが描かれたデザインの広告で、いろいろな活用事例があることをアピール。日本だけでなく、海外でも多くの注目を集めた広告キャンペーンでした。
自分が使いやすいようにアレンジでき、家事や趣味などいろいろなことに活用できる「Notion」は今後さらにユーザー数を増やすのではないでしょうか
その他、2022年8月に行われた面白い広告はこちら。
2022年7月 「彼女、お借りします」待ち合わせ広告
JR渋谷駅に掲出された漫画「彼女、お借りします」の駅広告がネットで話題になりました。
「彼女、お借りします」は2017年7月より連載がスタートした宮島礼吏氏による漫画で、アニメ版とドラマ版も放送された人気の作品です。今回の待ち合わせ広告は漫画の連載5周年とアニメ第2期放送開始を記念して掲出。作者の宮島氏ご本人がクラウドファンディングによって資金調達を行い広告掲出しました。
ヒロインたちが待ち合わせをしているかのように並んでいるデザインはネット上でも話題になりました。壁と床が渋谷駅前の実際の壁・床とそっくりに描かれており、ヒロインたちがその場にいるかのように見え、漫画ファン・アニメファンを喜ばせる広告となりました。
作者自身がクラウドファンディングで資金集めをして広告を掲出するという斬新な試みからは、ファンへの大きな感謝の気持ちが伝わります。また、この話題性のある広告により、さらにこの作品の認知度が上がったのではないでしょうか。
その他、2022年7月に行われた面白い広告はこちら。
2022年6月 キンチョー『お風呂の防カビムエンダー』新聞広告
初日に掲出された全面広告
3日間連続で掲載された大日本除虫菊株式会社(キンチョー)の「お風呂の防カビムエンダー」の新聞広告が話題になりました。
初日には紙面の1ページすべてを使った全面広告を掲出。商品の写真とロゴ、そしてコピーだけというシンプルなデザインですが、「お風呂の防カビムエンダーを知ってもらうだけのために、こんな全面広告する必要あるんか。三分の一くらいのスペースでええんとちゃうか」と広告の大きさを指摘するコメントが入る面白い内容の広告になっていました。これに対し、「明日、やってみます」と回答。
そして、翌日には前日より少し小さくなった全5段の広告が掲載されました。しかし今回のコピーには、「‥‥もっと小さくてもええんとちゃうか」とさらなる要求が。そして3日目にはこのような広告となりました。
3日目に掲載された新聞広告
3日目には小さな突き出し広告にまでサイズダウン。「いくらなんでも小さすぎる でっかくしてくれ」と、とても面白い結末となりました。
この新聞が掲載された3日間、翌日のキンチョーの広告を楽しみにする声が多く見られました。翌日には広告のサイズがどこまで小さくなったか、気になって探してしまう人もいるほどの注目度。商品の認知度向上を目的とした広告としては大成功でした。
その他、2022年6月に行われた面白い広告はこちら。
2022年5月 ウマ娘×BOSS コラボ広告
東京メトロ新宿駅に掲出された大型広告
サントリーフーズ株式会社が新宿駅構内に掲出した、缶コーヒー「BOSS」と大人気ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」のコラボ広告が話題になりました。
今回のコラボは「BOSS」の商品開発担当者がウマ娘ファンということで実現しました。東京メトロ新宿駅構内に掲出された大型広告には、この商品開発担当者のウマ娘への熱い思いを長文で記載。「BOSS」の宣伝は一切せず、ただただウマ娘への愛を綴っただけのコピーはインパクトがありました。
コラボキャンペーンでは、この広告掲出のほかに、『加速スキル付きボスジャン』やオリジナルグッズのプレゼント企画を実施し、多くのウマ娘ファンたちを喜ばせてくれました。
男性がメインターゲットという点では共通しているBOSSとウマ娘のコラボは相性抜群でした。BOSS商品開発担当者の個人的な思いだけでコラボが実現できたというのも面白く、斬新な広告でした。
その他、2022年5月に行われた面白い広告はこちら。
2022年4月 シーブリーズ 広告ジャック
東京メトロ渋谷駅構内に掲出された柱巻広告
株式会社ファイントゥデイ資生堂が渋谷駅構内に掲出したシーブリーズの駅広告が話題になりました。
シーブリーズがパッケージを15年ぶりに大幅リニューアルし、さらに新CMの放送開始に併せて、東京メトロ渋谷駅構内を広告ジャック。東京メトロ渋谷駅構内の柱にはシーブリーズ デオ&ウォーターのパッケージデザインそのままのデザインの広告を掲出しました。さらに巨大デジタルサイネージでは、新CMにも登場している高橋文哉さん、吉川愛さん、曽田陵介さん、福山水さん、安斉星来さんの5人が登場するサイネージ広告を配信しました。
シーブリーズにぴったりの5人の爽やかな姿が魅力的な広告で、ネット上でもファンを中心に盛り上がっていました。シーブリーズのボトルデザインの柱巻広告はとても面白いアイディアだったと思います。商品そのものの姿にした柱巻広告は、2021年6月の『キンカン』の広告も同様でしたが、やはり目に留まりやすく、記憶にも残りやすい広告だと思います。新パッケージを多くの人にしっかりとアピールしていた広告でした。
2021年6月の『キンカン』の柱巻広告については以下の記事をご覧ください。
その他、2022年4月に行われた面白い広告はこちら。
2022年3月 ロートZ トレインジャック
広告ジャックされた東京メトロ銀座線の車内
ロート製薬が実施した目薬「ロートジーシリーズ」のトレインジャックが話題になりました。
“目覚めるような清涼感”が特徴の目薬「ロートジーシリーズ」の新CMが2022年3月から放送開始。新CMにはチョコレートプラネットの二人と金子みゆさんが出演しています。この新CM放送に合わせ、トレインジャックを実施。ロートジーのカラーでもある青を基調とした広告にはチョコプラの二人と金子みゆさんも登場していました。
中でも特にインパクトがあったのは、車内のフロアに敷かれたスマートフォンのアラーム画面をモチーフにした広告。数分おきにたくさんのアラームが設定されており、すっきり起きれない状況でも時間に追われている様を表現しています。
朝に二度寝をして起きられない大半の理由は、目の渇きを眠気と勘違いしているからなのだそうです。そんな二度寝したくなる時こそ、目薬をさせば一発で目が覚めるという知識を広げたいという思いが込められた広告でした。
数分おきに設定されたアラーム画面は朝が弱い人々の共感を得た広告だったのではないでしょうか。
その他、2022年3月に行われた面白い広告はこちら。
2022年2月 Tinder・Netflixコラボ広告
渋谷の街頭に掲出されていた屋外広告
マッチングアプリ「Tinder」と動画配信サービス「Netflix」のコラボ広告が渋谷の街頭に掲出され、話題になりました。
位置情報によるマッチングアプリ「Tinder」では、世界190カ国40言語に対応し、多様な出会いや新しいつながりを提供。一方、動画配信サービス「Netflix」では、相手の顔を見ずに会話のみで婚活をする男女を追ったリアリティ番組「ラブ・イズ・ブラインド JAPAN」の配信が開始しました。今回はこの番組とTinderのコラボ広告として掲載されました。
コピーのみのシンプルな広告ですが、内容はまるでTinderとNetflixがお互いのサービスについて喧嘩しているようにも感じる面白いものでした。ジャンルの異なる企業同士の喧嘩のようなやり取りと聞くと、2021年に掲載された日経新聞と大日本除虫菊株式会社(KINCHO)の新聞広告上でのやり取りを思い出します。
※日経新聞と大日本除虫菊株式会社(KINCHO)が掲載した新聞広告については以下の記事をご覧ください。
喧嘩していながらも、お互いのサービスの魅力をさりげなくアピールしたこの広告はセンスの良さも感じました。
その他、2022年2月に行われた面白い広告はこちら。
2022年1月 明治プロビオヨーグルトR-1「受験当日の我が子に、かけてあげたい言葉とは?」
南北線東大前駅構内に掲出されていた交通広告
東京メトロ銀座線・丸ノ内線車内と、南北線東大前駅・京王井の頭線駒場東大前駅構内にて掲出された「明治プロビオヨーグルトR-1」の交通広告が話題となりました。
6,000種類以上の乳酸菌から選び抜かれた乳酸菌のひとつ、“1073R-1乳酸菌”を使用した「明治プロビオヨーグルトR-1」は、毎日食べたり飲んだりすることで風邪罹患リスク低下効果やインフルエンザの抑制効果が期待でき、人々の免疫力強化をサポートしています。
今回の交通広告は大学入試共通テスト初日の2022年1月15日より掲載されました。都内最大級の試験会場である東京大学の最寄駅、南北線東大前駅と京王井の頭線駒場東大前駅の構内には様々な駅広告を掲載。さらに、試験会場までの交通機関である東京メトロ銀座線と丸ノ内線でも、多数の車内広告を掲出しました。
中でも話題になったのは、見る角度によって書かれている文字が変わる駅貼りポスター広告。南北線東大前駅の構内に掲載されたもので、試験会場へ行く時と、試験会場から帰る時とで読めるメッセージが変わるようになっていました。
(左)会場へ向かう時に見えるメッセージ(右)会場から帰る時に見えるメッセージ
粋な演出で受験生の背中を押す、心温まる広告でした。昨年は「受験生あるある」で受験生を応援したR-1らしいユニークな広告でした。
その他、2022年1月に行われた面白い広告はこちら。
2021年12月 ゲムトレ「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい。」
東京メトロ新宿駅構内
東京メトロ新宿駅構内にて掲出された、ゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」の大型広告が話題になりました。
「ゲムトレ」とは、オンラインでゲームを教わることができる日本初のゲームのオンライン家庭教師。全国大会や世界大会経験者など高い実力を持ったプロのゲームトレーナーから指導を受けることができるため、子供の習い事を考える親たちの間で話題になっています。
広告のデザインは白地にコピーだけのとてもシンプルなものですが、「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい。」というインパクトのあるコピーで注目を集めました。大きなコピーの横には、ゲームがどのように教育に役立つのか、ゲームが子供に悪影響というのは過去の話であることを伝える文章が記載されています。
かつてゲームは「子供へ悪影響を与えるもの」として、親たちは口々に「ゲームばかりしないで、勉強しなさい。」と子供に言っていましたが、現在ではeスポーツの発展もあり、「ゲーム=悪いもの」というイメージは変わりつつあります。今回の広告はゲームの今までのイメージを覆す斬新な広告だったように思います。
大きなコピーの横に記載されている文章
その他、2021年12月に行われた面白い広告はこちら。
2021年11月 出前館 交通広告ジャック
渋谷駅構内
宅配ポータルサイト「出前館」が新宿駅や渋谷駅など首都圏の主要駅を交通広告ジャックし、話題になりました。
全国80,000店舗以上の中から検索・注文できる宅配ポータルサイト「出前館」は、一都三県で実施される送料無料キャンペーンと、週替わり半額WEEKキャンペーンのPRとして、2021年11月1日より新CMの放映を開始。これに伴い、首都圏の主要駅を大型ポスター広告やサイネージ広告などでジャックする広告キャンペーンも行いました。
広告には新CMにも出演している人気の動画クリエイターHIKAKINさんとはじめしゃちょーさんが登場。法被を着てコミカルに歌って踊る「ソーリョー節」篇と、二人が宇宙飛行士に扮する「それ地球にいるうちに言ってよ」篇の2パターンの広告が掲載されました。
掲出された駅では、大型枠のジャック展開も多く、かなりのインパクトがあったようにも思います。
また、この広告ジャックは11月初旬から始まり、12月に入っても継続されていたので長期的なジャックとなりました。長期実施により、多くの認知が獲得できているのではないでしょうか。
新宿駅構内
その他、2021年11月に行われた面白い広告はこちら。
2021年10月 ソードアートオンライン「絶望を照らす<閃光>となれ」
東京メトロ新宿駅
東京メトロ新宿駅構内に掲出された、2021年10月30日公開の映画「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」の広告が話題となりました。「ソードアート・オンライン」は川原礫氏によるライトノベルが原作で、2012年7月に初めてTVアニメ化されて以降、第1期~第3期までが放送された人気作です。
今回の広告は新宿駅を中心に各地で展開されました。その中でも新宿駅構内の大型広告は、特殊な印刷で描かれた真っ黒なデザインで、カメラのフラッシュ機能で撮影することでキャラクターが浮かび上がって見える面白い仕様となっていました。
同時期にはテレビCMや駅サイネージ、駅貼りポスターも掲出。同作の人気の高さを裏付けるような、大規模な出稿だったように思います。
東京メトロ四ツ谷駅
その他、2021年10月に行われた面白い広告はこちら。
2021年9月 東京リベンジャーズ「オレの地元が最強」
2021年9月にJR東京駅構内で実施された、東京リベンジャーズの広告が話題となりました。
東京リベンジャーズは、若年層を中心に人気の高い人気を誇るの漫画作品。週刊少年マガジンにて2017年より掲載されており、直近ではテレビアニメ化、実写映画化、舞台化が行われるなど、勢いのある作品です。
今回の広告は、JR東京駅の中央通路から駅ホームをつなぐ階段沿いを中心に掲出。各ホームに向かう階段沿いに複数枚の広告が掲出されました。作中に登場するキャラクターが全国各地のご当地代表として登場、各地方あるあるネタを漫画の1コマとして描いたデザインとなっています。ポスターは各都道府県分、全47種類掲出されました。
掲載開始直後から多くの関連ツイートが発信され、掲出日当日の昼頃には全てのクリエイティブを撮影してTwtterに投稿する強者もいらっしゃいました。
広告実施期間:2021年9月13日~
その他、2021年9月に行われた面白い広告はこちら。
2021年8月 全国の花火大会開催地に掲出「あんさんぶるスターズ!!」ポスター
スマホゲーム「あんさんぶるスターズ!!」で実施された駅広告が話題となりました。
あんさんぶるスターズ!!は、Happy Elements株式会社が提供する、アイドル育成ジャンルの人気スマートフォンゲーム。前作「あんさんぶるスターズ!」のリニューアル版として2020年にリリースされました。今回の企画は、2021年7月より実施している「夏休みはあんスタ!!キャンペーン」の「みんなでは花火!100,000発!!」にちなんだポスター広告です。全国各地で有名花火大会が開催されている各駅にキャラクターをデザインした広告を掲出されました。
参考:あんさんぶるスターズ!!公式Twitter
各駅によってポスターに描かれたキャラクターが異っていたこともあり、自分の“推し”を探したり、各地のファンがアップした画像を通してコミュニケーションが取られていました。各駅のポスター写真を投稿したツイートは、数千、数万とリツイートされ、県外にいるなどで実物を見る事ができないユーザーにも広く届けられました。最近流行っている「応援広告」同様、ファンが好きな人を“応援したい”と思う気持ちは計り知れません。
広告実施期間:2021年8月23日~
その他、2021年8月に行われた面白い広告はこちら。
2021年7月 新宿東口に現れた3D巨大猫
7月から新宿東口にある屋外ビジョン「クロス新宿ビジョン」で放映された“3D巨大猫”映像が話題となりました。
「クロス新宿ビジョン」は株式会社マイクロアドデジタルサイネージと株式会社ユニカが共同運営する屋外ビジョンです。湾曲したディスプレイを活かした3D動画など、最先端の表現方法を駆使することができるビジョンとなっています。
話題となった“巨大猫”は、クロス新宿ビジョンの仮放映期間(2021年7月1日~)に放映されたコンテンツの一部となります。放映コンテンツの間に現れる愛くるしい猫の動画を一目見ようと、新宿駅東口周辺は“猫待ち”の人で賑わっていました。また同時期に、渋谷駅でも3D映像を使った面白い動画広告が配信されました。
頭髪治療のDクリニックは、東京渋谷「シブハチヒットビジョン」と大阪道頓堀「ツタヤエビスバシヒットビジョン」を使った3D広告の配信を行いました。7月5月より放映された同広告では、お笑いコンビ「ナインティナイン」が出演。Dクリニックのグループ企業であるアンファー株式会社が販売する“スカルプD”のCMソングを熱唱する内容となっています。
巨大猫、Dクリニックともに、今までになかった“3D映像”を上手く取り入れた面白い内容でした。一歩先に導入された中国の3D広告映像がSNSで度々話題になることがありましたが、ついに日本にも上陸です。今後、3Dを使った面白い広告クリエイティブが多数生まれてくるかもしれませんね。
広告実施期間:巨大猫2021年7月1日~日、Dクリニック7月5日~
その他、2021年7月に行われた面白い広告はこちら。
2021年6月 史上初!?ハチ公前の大型ジャック広告
渋谷ビッグシートファイナル、渋谷ビックシートファイナル中段
6月に実施された、にしたんクリニックが渋谷駅周辺で実施した大型ジャック広告が話題となりました。
今回の広告は、同社が5月から全国放送しているテレビCM「フラメンコ」篇の世界観をそのまま再現した広告です。CM内で出てくる「♪たん、たん、にしたんクリニック!」のユニークなリズムがそのまま屋外看板となっています。
渋谷憲章ボード
同社によると、ハチ公前の4大広告媒体(渋谷ビッグシートファイナル、渋谷ビッグシートファイナル中段、渋谷憲章ボード、ハチコーボード)を4面ジャックするのは日本初の試みであるとのこと。渋谷駅で話題となることが多い大型媒体をジャックする、そのスケールの大きさに驚きを隠せません…!その他、渋谷センター街の屋外看板やアドトラック、渋谷駅東口構内など渋谷エリア全域で広告展開していました。
渋谷駅エリアの広告は、1週間など短期で販売されている広告枠が多く、かつハチ公前4媒体は人気の高い広告なので、全ての実施時期を合わせるのは相当難しかったのでは…?と思っています。規模もスケールも何もかもが突き抜けている、なかなか見ることができない面白い取り組みでした。
広告実施期間:2021年6月7日~
その他、2021年6月に行われた面白い広告はこちら。
2021年5月 気分は謎解きライブ会場を推理するための看板広告
渋谷駅前に設置された看板広告
5月にRed Bull(レッドブル)が実施した、渋谷駅前での看板広告が話題となりました。
この広告は、レッドブルとKing Gnuがコラボレーションした「Go Louder」プロジェクトの新たな取り組み『Red Bull Secret Gig(レッドブル・シークレット・ギグ)』にちなんで掲載されました。
今回、レッドブルとKing Gnuがタッグを組み、いまだかつてどのアーティストも行ってこなかった衝撃の場所でのシークレットライブ実施を決定。この広告は、そのライブ会場を探し当てるためのヒントとして掲載された面白い広告です。全国各地で目撃情報がありました。
この企画では、各地に出現するヒントを手掛かりにシークレットライブの会場を推理、正解すると、シークレットライブへの現地参加(A賞)またはオンラインでの参加(B賞)が可能になります。
各地の看板広告などを謎解きのヒントとして使っている点が面白い同広告。渋谷駅前一等地の大型媒体をまさか謎解きの要素にしてしまうとは…。スケールの大きさを感じます。多くの方の興味関心を刺激した面白い内容だったと思います。
広告実施期間:2021年5月~
その他、2021年5月に行われた面白い広告はこちら。
2021年4月 渋谷駅に現れた、折込チラシ風の駅広告
田園都市線・半蔵門線渋谷駅に掲示されたNetflix(ネットフリックス)の駅看板広告
Netflixが4月に実施した、同社が配信しているアニメ『極主夫道(ごくしゅふどう)』にちなんだ駅広告が話題となりました。
『極主夫道』はおおのこうすけ氏が描く、元・最凶ヤクザの主夫業の日常を描いたハートウォーミングコメディで、2021年3月時点の累計発行部数は360万部を突破。2021年4月よりアニメ化され、同社の動画配信サービスNetflix独占で全世界に配信されています。
今回の駅広告では、登場人物である元最凶のヤクザ“龍(たつ)”が主夫であることにちなんだスーパーのチラシを彷彿とさせる面白いデザインとなっています。
電気屋さんの折込チラシを彷彿とさせる広告デザイン
田園都市線渋谷駅でも、比較的スペースの広いビッグ14に掲載された同広告。JRハチ公口に向かう方面、エスカレーターを下りてすぐの場所に出稿されていたこともあり、驚きを隠せない歩行者の姿が印象的でした。作品を知らなくても、思わず気になった調べた方も多いのではないでしょうか。実際、多くの方がSNSにこの光景を投稿し、話題になりました。
この広告以外にも、テレビCMや電車の中吊り広告等も実施していました。自社サービスの説明を漫画(アニメ)の世界観を使って上手く表現した面白い事例だったように思います。
広告実施期間:2021年4月~
その他、2021年4月に行われた面白い広告はこちら。
2021年3月 「毎日のお弁当づくり、おつかれさまでした。」お弁当づくりからの卒業
京王線明大前駅に掲示されたキュキュットの駅貼りポスター広告
花王株式会社が3月に実施した、『キュキュット』の駅貼りポスター広告が話題となりました。
こちらの広告では、お弁当箱・お弁当の中身を卒業証書に見立てた面白いデザインとなっており、卒業を迎えた高校生へのエールと、子供の卒業に伴ってお弁当づくりを卒業される方に敬意をこめた内容となっています。
広告は、キュキュットのブランドサイトで紹介しているほか、京王線明大前駅や他の一部駅でも掲出されました。
京王線明大前駅に掲示されたキュキュットの駅貼りポスターですが、新宿方面のホームのみの掲出となっていました。場所的に、新宿方面に向かう人しか見る事が出来ない為、多くの方に視認いただく目的というよりは、見つけた人に喜んでもらえるような意図があったように思います。また、明大前駅以外にも掲出が確認されており、場所によって「お弁当をつくってきた人向け」と「卒業生(高校生)向け」がそれぞれある様子でした。
広告実施期間:2021年3月~
その他、2021年3月に行われた面白い広告はこちら。
2021年2月 渋谷駅に登場した「墾田永年私財法」
渋谷駅に現れた「墾田永年私財法」
株式会社明治が2月に実施した、『明治プロビオヨーグルトR-1』の広告。そのインパクトとあるあるネタが面白いと話題になりました。
これは、2020年12月から2021年1月まで、TBSラジオで放送していた「集まれ!悩めるすべての受験生!『受験生は夜悩む Presented by 明治プロビオヨーグルトR-1』」の番組内で受験生から寄せられた、受験生のリアルな声を元にした面白い広告です。「数学で腹が立ったこと:移動する点P」「受験勉強で覚えた『語感の気持ちいい言葉』:墾田永年私財法」「四択で迷ったら:3は裏切らない」など、集まった受験生のリアルな声は、どれも受験を経験した人なら誰もが“あるある”と感じるものばかり。
移動する点P
実物を見に行きましたが、スクランブル交差点の反対側からでも認識できるほどに目を引くデザイン、デカデカと描かれた「墾田永年私財法」「移動する点P」の文字の異質さに驚いていた方も多くいらっしゃった印象でした。渋谷のど真ん中で「墾田永年私財法」とデカデカ描かれたクリエイティブは、何もしなくても話題になりそうではありますが、世間の注目を集めるきっかけとなったのは2月3日に発信された東京都総合防災部のツイートでした。
職員がソーシャルディスタンスを確保しながら呼びかけを行う写真の背景に「墾田永年私財法」と大きく文字が映り込んでおり、SNSを中心にがこれが話題となり、SNSを中心に多くの声・感想が寄せられました。同ツイートは、2021年2月15日時点で約1万リツイート、6,600いいねとなっております。
同社の広告は渋谷駅では屋外看板として「墾田永年私財法」「移動する点P」を掲載、その他のメッセージは東京メトロ銀座線・丸ノ内線内で掲出されました。
広告実施期間: 2021年2月1日(月)〜2月14日(日)
その他、2021年1月に行われた面白い広告はこちら。
2021年1月 駅広告を上手く活用した遺物展
東京メトロ丸ノ内線新宿駅のメトロプロムナードに現れた「ビジネス界の遺物展」
新年の仕事始めに併せて実施された、Wantedly(ウォンテッドリー)の駅広告が面白いとSNSで話題となりました。
Wantedlyとは、2012年にリリースされた「はたらく」を面白くするビジネスSNSサービスです。今回の広告は、「Wantedly」のプロフィール欄を2020年12月に一新し、新プロフィールのローンチを受け始動したプロジェクト「#つながり方改革」の企画の一環として掲出されました。
新宿駅では、名刺交換の光景や履歴書、職務経歴書がそれぞれ額縁で飾られたデザインとなっています。
遺物展と銘打つだけあって、例えば、履歴書の説明書きでは、「修正液を使うことが許されない為、極度の緊張感が書くものを襲い、そのプレッシャーで書き損じるという悪循環を巻き起こした。」といったクスッと笑える、あるあるネタを掲載。それぞれの説明書きが面白いと、多くの通行人が立ち止まって見入る姿が印象的でした。
横長の広告スペースを「美術館」の展示スペース、今当たり前の光景を「遺物品」として捉えた発想が面白いですよね。
広告実施期間:2021年1月4日(月)~1月10日(日)
その他、2021年1月に行われた面白い広告はこちら。
まとめ
2021年以降、インターネット上で話題となった面白い広告を紹介しました。
広告の世界は、時代と共に進化を遂げています。昔は単に商品やサービスの特徴を紹介するだけでしたが、今や人々の心を掴み、記憶に残るクリエイティブが欠かせません。
日々、新しいアイデアやユニークな手法が次々と登場してくる中で、話題化したり、“面白い”と感じる広告には共通の要素があります。話題のキャンペーンや、感動的なストーリーテリング、今までにない技術を活用したプロモーションなど、様々な事例から学ぶことができます。本記事が、広告や企画を考える上での参考になれば幸いです。