嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか 著書 / 鈴木忠平
成果を出すリーダーの孤独と覚悟
ビジネスやマーケティングにおいてその戦略性やユニーク性に焦点があてられた書籍はたくさんあります。しかしそれらの多くにおいて、その戦略を実行するうえでの組織やリーダーシップについてセットで語られていることは少ないように私は感じます。
本書は、プロ野球チーム『中日ドラゴンズ』の監督としてチームの歴史上傑出した実績を残した落合博満氏の当時に迫るノンフィクションです。その中身は勝負の世界に身を投じる者のリーダーシップや考え方に触れることができる一種の教科書のようなリアリティと多くのハードシングスが記されています。
マーケティングの世界においても様々な指標や考え方が飛び交います。しかし、突き詰めると会社や事業の成長がGOALであり、それらはすべて過程に過ぎません。日々の忙しさの中で何を為すべきか、そのために今必要なアクションを見失うこともあります。そんな時に本書を手にすると、自らを俯瞰し、進むべき方向性が見えてくる感覚を抱きます。
本書に記載されているのはあくまでもリーダーシップの正解ではなく一つの形にしか過ぎません。しかし、傑出した実績を残したリーダー像に触れることで、ご自身はどのように振る舞うべきかを考える一つの機会になれば幸いです。
書籍の概要
なぜ 語らないのか。
なぜ 俯いて歩くのか。
なぜ いつも独りなのか。
そしてなぜ 嫌われるのか――。
中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。秘密主義的な取材ルールを設け、マスコミには黙して語らず、そして日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配……。そこに込められた深謀遠慮に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、異端の名将の実像に迫る。