スーパーや飲食店、コンビニなどに設置されたラックを使ってチラシやリーフレットを配布できることをご存じですか?紙媒体の配布方法として連想しがちな新聞折込やポスティングとは違う「ラックによる設置配布」の魅力について、株式会社ジェイトップの西岡様にお話を伺いました。
――御社の事業について教えてください。
弊社では、全国の集客施設、例えばスーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアやファミリーレストランなどにラックを設置し、チラシやリーフレットを設置できるようにして広告手段として使っていただけるサービスを展開しています。
物流ネットワークを自社で保有しており、チラシやパンフレットを弊社の倉庫にお預りして、全国3万店舗にそれぞれ納品、配布を行っています。
――ラックは貴社で所有されているのですか?
はい、その通りです。各店舗様のスペースをお借りして置かせて頂いています。
よく、求人会社様が自社冊子の配布用にラックを設置されている場面を見る機会があると思いますが、弊社は自社で保有するラックに、様々な企業様から配布物をお預かりして配布しているイメージです。
――どういった企業様がラックを利用されていますか?
今のようにWebが主流でなかった頃は、フリーペーパーや通販カタログなどの冊子を配布する目的で利用されていましたが、最近は「地元で何か広告を展開したい」といったニーズや、自治体の方がそのエリアに住む方に対して隅々まで広報をしたいといったニーズが増えてきていますね。
あとは、イベントの運営会社様が実施エリアの近くで集客広告として実施されるケースも多いです。
傾向として、地域密着でビジネスをされている企業様が多いです。地元の飲食店やクリニックはもちろん、求人系の会社が自社で保有するラックとは別に、求人誌の配布場所として利用するケースなど会社規模問わず実施頂いています。
あと、Web系の広告施策をやり切ってオフライン広告を試したいと考えている方や、そもそもWebの広告が届きにくい層(シニア層など)に対して、普段の生活の中で自然と知って頂くためにチラシを配布したいという要望もあります。
最近だと、スマホアプリの会社さんがWeb施策では取り切れない層の獲得に向けて、アプリダウンロードを促す広告をされたケースがありました。
――そういえば、御社のサービス資料に「自治体様向け」の資料もありましたよね?
はい、そうなんです。
実は、ラックの事業は始めてから結構経ってはいるのですが、まだまだ自治体の方に認知をしてもらえていないのが課題としてあります。
「チラシを配布する」というと、皆さんポスティングや新聞折込をイメージされるので、「そもそもラックって何?」ってなる担当者の方が多いと思います。
弊社のラックは地域密着の広告手段なので、自治体様が住民に何か情報を周知する際、一緒に取り組みをさせて頂きたいとは考えているのですが、なかなか情報を周知する手段としてラックが定着していないこともあり、自治体様向けの専用資料を作って宣伝をしています。
――御社のラックならではの強みって何かございますか?
冒頭でお話したように、弊社では全国3万店舗にラックを設置しています。チラシ設置ができる施設が多い分、ターゲット層によって配布先を細かくセグメントできる事が強みです。
例えば、学校が多いエリアの駅近コンビニは学生が多かったりしますし、住宅街の真ん中にあるスーパーであれば主婦層が多い事が考えられますよね。
オフライン広告はWeb広告に比べても「セグメントが出来ない」と思われている方も多いと思いますが、弊社ラックであれば「エリア」や「周辺属性」でターゲットを絞り込むことが出来ます。
――御社のラック特有のセグメントって何かあったりしますか?
そうですね、例えば「駐車場のある店舗」だけに絞って実施をすることもできます。タクシー会社様がコンビニで一時的に休憩されるドライバーさんを狙った施策として、自社の求人広告を「駐車場のあるコンビニ」に絞って実施された事例がありました。同様にトラック会社さんが求人を出した事例もあります。
あとは、クルマのメンテナンスサービスや中古車販売会社さんが同様の条件で実施した事もありました。
――過去に実施した面白い事例はありますか?
最近だと、飲料メーカーさんがコンビニに設置してあるラックの側面にクリエイティブをぐるぐる巻きにして、ちょっとした“看板”としてラックを利用したケースがありました。
各店舗に設置してあるラックの設置面積を越えなければ、配布以外のラックの使い方もできるので、工夫次第で色々やれるのがポイントですね。
ネット上で物の売り・買いが出来るサービスを運営する会社様は、売り買いをする際に使える専用の梱包材をラックを使って全国で配布し、話題となった事例もありました。
あとは、自衛隊さんが求人広告を継続で出稿いただいている事例もあります。ふとしたタイミングで求人チラシを見てもらう事で反響を獲得されているようでした。
Web広告は、確かに興味が顕在化している層に対する広告という意味では強いですが、まだ興味を持っていない層へのリーチは弱いように感じています。だから、ふとした時にラックを通して目にしてもらい、知ってもらう、といった意図で広告を出されている方は多いです。
――ラックにチラシを設置される方って、長期で実施される方が多いですか?
そうですね。長期の方は本当に長い期間実施されるケースが多いです。
ずっと設置していると、周辺住民の方から「○○(店舗)にいけば□□(情報誌・チラシなど)がある」と認識されるみたいで、たまに弊社へ「□□がもう無いのですが、いつ設置されますか?」といった問い合わせも来ます(笑)
通販カタログや求人誌を発行するクライアント様、保険会社様(保険の案内パンフレットの配布)は長期で実施頂く傾向にあります。
――正直な話、ラックにパンフレットやチラシを設置するだけで、持っていってもらえるのでしょうか?
そこ、気になりますよね。
過去の事例ですと、ある店舗で普段は置かない“子供向けの商品のチラシ”を一時的に設置してみたときに、設置した週にチラシが一気になくなった事例がありました。
恐らく、その店舗の利用者はラックの存在自体は認識していたと思います。ただ今まで興味のあるチラシが無かっただけで、自分が興味のある内容物があればお客様にもそれが届くと感じています。
――正直コロナ渦で外出を自粛されている方も多いと思います。配布数に影響などは出ていないのですか?
弊社でも、外出人数が減る事による配布数減少を見込んではいたのですが、弊社のラックが置いてある施設がスーパーやコンビニなどの生活を支えるインフラ施設が多いこと、巣ごもり需要もあって一部のスーパーなどでは来客数が伸びたこともあり、実はそれほど配布数に影響は出ていません。
――取ってもらいやすい、クリエイティブの特徴って何かあったりしますか?
やっぱり、目に止まる“分かりやすさ”は重要ですね。
ラックが少し斜めになっている事もあって、チラシは設置してもクリエイティブの全部は見えません。一部しか見えない分、色を使って強調したり、シンプルなキャッチで分かりやすいクリエイティブは効果が出やすい傾向にあると思います。
場所的な特性で言えば、駅などのラックでは読み物系がよく持っていかれたりしますね。恐らく、待ち時間に読まれている方が多いのではないかと思います。
あと、紙質も意外とポイントになってきます。…と言うのも、チラシ自体は外に置きっぱなしの状態になりますし、日本は割と湿度も高いので時間の経過とともにどうしても痛みが出てしまいます。厚紙とまではいきませんが、少し良い紙質でクリエイティブを作って頂いた方が見栄えも良いですし、結果的に消化率も高い傾向にありますね。
――何か特典やおまけをつけると反響が良くなったりしますか?
そうですね。
例えば、ティッシュや鉛筆など、一般の方にも喜んでいただけるような小物と一緒に配布すると取ってもらいやすくなったりします。透明な袋にいれて一緒に配布するイメージです。過去事例だと、学習塾のクライアント様がチラシと併せて消しゴムを入れて配布した事例がありました。
クライアント様によっては、弊社から小物を付けることを提案させて頂く事もあります。小物のあり・なしで配布数が大きく変わってくることもありますので、案件内容によってご相談させて頂きながら最適な配布方法をご提案しています。
――ラックでチラシを配布したい時は、御社の指定倉庫への一括納品になりますか?
弊社で所有する配送拠点が全国にありますので、一番近いところに納品いただき、こちらで分けて各店舗へ納品、設置、回収をしています。補充の方も弊社で行っていますので、ご納品後の対応については弊社にお任せいただいています。
終了後には、トータルで何枚チラシが持っていかれたのかといったレポートをお渡しする流れとなっています。このレポートについて、例えばポスティングや折込チラシはどちらかと言うと配布した部数のデータになるので、それで商品に対する興味があるか・ないかの判断は難しいと思います。一方、ラックであれば、基本的に興味が無い方は持っていかないと思いますので、比較的確度の高い層へリーチ出来たと判断できる材料になると考えています。
――確かに、チラシのポスティングや折込配布に比べて、ラックから自分でチラシを持っていくので興味のある方へのリーチは強いですよね。
そうなんです。
ある意味、興味が無い人には全く届かないのですが、関心を持っている比較的確度の高い層へ訴求できる点はポイントです。
ポスティングや折込ですと、女性向けサロンの広告が男性宅に入れられることも多いと思います。ラック設置の場合、確実に置いた分だけ消化されるわけではないですが、強い関心を持った方が自発的に持っていくので、その後の動き方が違うように感じています。
「ポスティングで10,000部配布した」といった数字のインパクトに目がいきがちですが、実はラックで配った数百部からの問い合わせの方が反響があった…なんてケースもあったりすると思いますね。
――広告を検討されている方に一言お願いいたします。
紙を配布することの意義は、情報を知ってもらうだけでなくて、理解してもらえる事にあると思っています。紙は手元に残りますし、反復して見て頂く事もできますので。
テレビやWebでは届かない、届いても見過ごされてしまっている方へ情報を届けたいときに紙で手元に残る情報を知ってもらう手段として、ラックを上手く活用していただきたいと思っています。