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買取実績が約1.6倍!武蔵コーポレーションの看板戦略(後編)
約2年で約430枚の看板(※2024年5月時点)を展開し、地元での認知を高めている武蔵コーポレーション。
前編では、武蔵コーポレーションの集客軸や看板広告を設置する上での場所選びの基準を、後編では看板クリエイティブの考え方や実際の反響についてマーケティング部の末長氏、佐々氏に話を聞いた。
クリエイティブは“誠実さ”と“安心感”を重視
武蔵コーポレーションの看板は、女優の加村真美さんを起用し、真っ青な背景に「アパート売るなら武蔵コーポレーション」と描かれたデザインが印象的だ。各地で展開しているが、若干キーワード選定が異なっていたりするものの、基本デザインは統一されている。
【(参考)神奈川県横浜市戸塚区にある看板】
【(参考)埼玉県春日部市にある看板】
看板をいくつか見ていると、“アパート売るなら武蔵コーポレーション”、“アパート管理は武蔵コーポレーション”とキーメッセージが若干異なる看板があることに気づく。
こちらについて、佐々氏によれば「最初は、物件オーナーで物件売却を検討している方を意識していたこともあったため、“アパート売るなら”としていました。ただ、アパートを売る行為自体、大きな決断なのでハードルが高い気もしまして。それであれば、売るだけじゃなくて管理も任せられる会社である事も伝えよう、とメッセージを調整した背景があります。」
アパート売却とアパート管理のどちらも扱える会社である事を訴求する形にしていったそうだ。現状、“アパート売るなら”、“アパート管理”で半々くらいになっているそう。
続いてデザインについて、「最初に作っていた案は、とにかく目立つことを意識して黄色ベースに赤文字と派手でした。ただ、不動産は数千万~億単位の取引が多いことを考慮しても、目立つことより不信感が先行してしまい、マイナスになるのではといった声がありました。」と末長氏。その上で、安心感や誠実なイメージを醸成していく意味でも、コーポレートカラーのブルーを中心に検討したそうだ。
【(参考)埼玉県さいたま市北区にある看板。看板の特性に合わせてクリエイティブも若干調整を入れている】
フレーズについては、テレビCMで使っていた「アパート売るなら武蔵コーポレーション」を採用し、今のデザインに辿り着いたそうだ。
「派手過ぎてクレームに繋がったり、不快感を抱く可能性があるデザインはやめようという方針でやっています。三方よしのスタンスでやっている以上、ネガティブなイメージを抱かれないデザインは重要視していますね。」と末長氏は話す。
【(参考)埼玉県熊谷市にある看板。エリアごとのルールによってクリエイティブの色味が若干異なる場合もあるそうだ。】
武蔵コーポレーションの看板では加村真美さんを起用しているが、実は代表の顔を出すという選択肢もあったそうだ。ただ、顔出し看板が多くみられるクリニックなどとは異なり、“誰にやってもらうか(=治療してもらうか)”という点は不動産ではそこまで重要ではなく、どちらかというと“どの会社と付き合うか”が重要だと考えた時、CMでの連動性なども考慮して、加村さんに出演頂くという判断になったそうだ。
買取実績が埼玉エリアで約1.6倍
実際、看板掲載後の反響はあるのだろうか。佐々氏によると「定量的な調査はこれから本格的に取り組んでいこうと思っています。」としたうえで、
「把握している限り、看板からの直接反応は累計20件です。ただ冒頭お伝えした通り、並行して様々な施策を実施しているため、複数メディアを跨いで辿り着いているお客様がほとんどです。直近だとNACK5のラジオCMを視聴後、外出先で看板をみて問い合わせしてくださった方がいました。」と話す。
【(参考)神奈川県小田原市にある看板】
その他、物件の買取実績は2022年〜2024年にかけて、埼玉エリアで約1.6倍となっているようだ。
また、「ここ2年で知名度の変化を感じる出来事がありまして…」と佐々氏。「弊社では、大宮エリアの中学生に出張授業をする教育プログラムに参加させて頂いています。授業の際、“武蔵コーポレーションを知っているか”質問しているのですが、看板掲載前の2022年参加時は、ほとんど知られていなかったところ、看板が200枚程度出た2023年は逆にほぼ100%の認知状態になっていたんです。“あの看板の会社ですよね”といった看板を通して知った声が多く、認知の広がりを実感しましたね。」
末長氏は、間接的な看板効果も数多く感じているという。「仲介業者様や金融機関様にお声がけいただく機会が増えたのが良かったです。」と話す。
「仲介業者や金融機関の方が看板を何回も見てくださることで、初回取引の抵抗感が減って取引ハードルが下がっているように感じています。ここ最近一気に枚数が増えた事もあり、打ち合わせ時には“最近勢いありますね”なんてお声がけいただくこともあります。不動産の仕事の多くは人と人とのコミュニケーションですが、そこにポジティブな影響が出ていると感じていますね。」
問い合わせ数ベースアップや関係性構築に一役
最後に、看板広告を数百枚展開する中で感じたメリットについてお伺いした。
【(参考)JR戸田公園駅にある看板】
「認知度が底上げされた印象は受けています。不動産という商材柄、“今日看板を見てすぐ問い合わせる”ことはありませんし、基本は長期スタンスでお客様と話を進めていきます。そうなったときに、生活圏内で通るたびに看板を見て頂くことで、武蔵コーポレーションに親近感を抱いていただきつつ、それが安心感にも繋がっていくと考えています。」と末長氏は話す。末長氏は金融機関の方と打ち合わせする機会も多いそうだが、最初のトークで看板話が振られることも多いそうだ。
佐々氏は「看板を出したことで、物件オーナー様から直接問い合わせが多くなったかと言ったら、正直その印象はないです。」とした上で「ただ先ほど、埼玉エリアで物件の買取実績が約1.6倍になったお話をさせて頂きましたが、全体的に案件数がベースアップした印象はあります。仲介業者様や金融機関様など、普段取引している関係者の方からお声がけいただけていることも大きいと思っていますね。」と話す。
武蔵コーポレーションにおいて看板広告の出発点は、WEBでアプローチが難しい物件オーナーや地主の方に認知してもらうことであったが、結果的に新規営業はもちろん、既存取引先の関係性構築に一役買っている印象を受けた。まだまだ試行錯誤をしているというが、今後の看板展開にも注目していきたい。
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