オフライン広告、特に屋外広告として多くの企業に利用されているデジタルサイネージ広告。LEDを利用したデジタルサイネージの技術が進歩したことによって様々な場所で様々な種類のデジタルサイネージ広告を見かけるようになりました。
デジタルサイネージ広告は、屋外広告のように広告物の変更に時間とコストがかからないため、情報が目まぐるしく変化する時代になった近代において、必要に迫られて普及した広告手法と言えます。
今回はそんなデジタルサイネージ広告の種類やその特徴と合わせて、興味深い事例をいくつか紹介していきます。
デジタルサイネージ広告の種類とリーチできるターゲット
デジタルサイネージ広告は電子広告とも呼ばれ、LEDや液晶ディスプレイを利用したデジタル看板全般を指します。小さいものでは商業施設内のスタンド看板のようなものから、大きいものでは駅やビルに設置されている大型ビジョンなど、サイズや用途も様々です。サイズの大小や設置個所、設置期間など、商品・サービスやリーチしたいターゲットによって最適なデジタルサイネージ広告は違ってきます。
それでは主なデジタルサイネージ広告をいくつか紹介していきます。
駅サイネージ
駅サイネージは、公共交通機関である電車の駅を利用したデジタルサイネージ広告です。
広告スペースによってサイズや掲出に必要な金額は様々ですが、どのデジタルサイネージ広告も不特定多数の人にリーチすることが可能です。通勤や通学などで繰り返し同じ駅を利用する消費者が多いため、繰り返し広告物が見られる反復性が期待できます。
また、駅サイネージには、大型商業施設に隣接している駅であればショッピングに訪れる消費者、病院に隣接している駅であれば患者やその家族、といったように、駅(主に隣接している施設や付近にある施設)によってリーチできるターゲットが変わってくるという特徴もあります。
電車内ビジョン
電車内ビジョンはその名の通り、電車内の広告スペースを利用したデジタルサイネージ広告です。
電車内ビジョンは、乗客が移動している手持無沙汰な時間に目に留まることが多いため、広告に対する興味を惹きやすい傾向にあります。
また、電車内ビジョンは一定区間を走行する車内で放映され続けているため、駅サイネージとは違い、路線に沿ったエリアターゲティングに適しています。デジタルサイネージ広告を掲出する路線によってリーチできるターゲットの層に多少の違いはありますが、多くはエリア内のサラリーマンや学生など、路線が生活導線になっている人がメインとなります。
屋外ビジョン(街頭ビジョン、ビルボード)
屋外ビジョンは、ビルの壁面などを利用したデジタルサイネージ広告の一種です。比較的大型のものが多く、街頭を歩いている(場合によっては車で走行している)消費者にリーチできるデジタルサイネージ広告です。
その場に直接足を運んだ消費者が広告のターゲットとなるため、エリアターゲティングやブランディング、認知度向上などの目的で利用されることが多いようです。
待合室
デジタルサイネージ広告には、病院や歯科医院などの待合室の広告スペースを利用したものも存在します。病院などの待合室は多くの人が一定時間滞在するスペースのため、広告スペースとしても注目されています。
この待合室を利用したデジタルサイネージ広告は、リーチできるターゲットが明確なため、商品・サービスの内容によっては非常に高い効果が期待できます。基本的には患者やその家族をターゲットに、健康に関する商品・サービスなど病院と親和性の高い広告出稿で利用されることが多いデジタルサイネージ広告です。
タクシー
タクシーの運転席や助手席の背面、または座席間によく設置されているビジョン。これも最近話題のデジタルサイネージ広告の一種です。
タクシーは多くのビジネスパーソンに利用されている移動手段ですが、中でも経営層に好まれる移動手段でもあります。そのため、BtoBかつ経営層の購入判断が必要になる商品・サービスなどの広告宣伝に多く利用されています。
マンション
デジタルサイネージ広告の変わった使用例として、最近ではマンション内に設置するデジタルサイネージ広告も話題です。中でも、都内の高級マンションに絞った広告出稿が可能なデジタルサイネージ広告が多くの企業に人気です。
従来、高級マンションは消費活動に積極的な富裕層が多く居住しているものの、セキュリティが高いマンションが多くクローズドなコミュニティとされていました。
このデジタルサイネージ広告は、マンション内の共有スペースやエレベーター内などにデジタルサイネージ広告を出稿することで、多くの富裕層により近い距離での広告出稿が可能です。
フードコート
大型商業施設に併設されているフードコート。多くのショッピング客が食事を楽しむこのフードコートでもデジタルサイネージ広告が利用されています。フードコート内の柱や壁面などのスペースを利用したこのデジタルサイネージ広告は、食事をするしばらくの間ショッピング客が滞在するフードコートの性質を利用した広告手法と言えます。大型商業施設は購買行動に積極的な状態の消費者が集まる施設でもあるため、広告物に対する購買意欲も比較的高くなる傾向にあります。
大型商業施設は訪れる消費者も様々なため詳細なターゲティングは難しくなりますが、ブランディング、認知度向上など、不特定多数にリーチできるデジタルサイネージ広告の1つです。
広告が出稿できるデジタルサイネージは下記で一覧で見ることができます。是非チェックしてみてください。
デジタルサイネージ広告の事例
前述の通り、デジタルサイネージ広告と言っても、サイズや設置個所、用途は様々です。多くの人に視覚的にアピールできるデジタルサイネージ広告ですが、その特徴を活かした興味深い事例をいくつか紹介します。
株式会社ベーシック 『ferret One(フェレット ワン)』
出典:オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One(フェレットワン)」、小沢真珠さん出演のタクシーCMを10月19日から放映開始
『ferret One』は株式会社ベーシックが提供するWebマーケティングツールです。株式会社ベーシックではこの『ferret One』の広告宣伝にタクシーのデジタルサイネージ広告を積極的に利用しています。
『ferret One』のWebサイトを「誰でも簡単に作れる、修正できる」をテーマに、タレントの小沢真珠さんを起用した約30秒のCMがデジタルサイネージ広告として掲出されています。
2020年10月からタクシーのデジタルサイネージ広告を利用し、継続的に契約数が増加していることを受け、2021年5月には第2弾となるCMの放映を開始しました。
松戸市役所 『まつどCM大賞』
出典:新宿「アルタビジョン」で松戸市「まつどCM大賞」受賞5作品の放映をスタート
松戸市は市のPR活動の一環として新宿駅東口の大型街頭ビジョン『アルタビジョン』を利用して、『まつどCM大賞』の放映を行いました。
『まつどCM大賞』は全国から一般公募で寄せられた、市のPR動画全96作品から受賞した5作品で、2019年7月に1か月間、アルタビジョンを利用して放映されました。観光地のPR活動として他の都市のデジタルサイネージ広告を利用するという興味深い事例ですが、様々な土地から人が集まる渋谷という町の特性を活かしたデジタルサイネージ広告として大きな話題となりました。
慶應義塾大学 SFC研究所 『若者世代が考える新型コロナ予防啓発キャンペーン』
出典:「目鼻口は感染経路」「Don't Touch」「#キミはどっち」をキーワードに、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムが渋谷の街頭ビジョンで新型コロナ予防啓発CM放映スタート!
慶應義塾大学SFC研究所は2021年5月31日~6月6日の期間、JR渋谷駅前のスクランブル交差点にある街頭ビジョンを利用して『若者世代が考える新型コロナ予防啓発キャンペーン』のCMを放映しました。約30秒のCMは10代~20代の若者の意見を積極的に取り入れた内容の感染予防に関する啓発的な内容となっています。
このプロジェクトは、多くの若者が訪れる渋谷駅の街頭ビジョンを利用することで、改めて感染予防に対する意識喚起を促す目的で制作されました。
まとめ
様々な場所で利用されているデジタルサイネージ広告ですが、単なる看板広告の代替品ではなく、デジタルサイネージならではの特徴を活かした様々な使い方が可能な広告手法です。
デジタルサイネージ広告も紙媒体のオフライン広告同様、リーチしたいターゲットに合わせて広告出稿をする場所やデジタルサイネージのサイズ、期間などは選定することが重要です。
身近な場所でも多く利用されているデジタルサイネージ広告。まずはお近くのデジタルサイネージ広告について調べてみてはいかがでしょうか。
その他のデジタルサイネージ広告
『東京都大田区 本庁・出張所デジタルサイネージ広告』
東京都大田区の本庁舎や区内18箇所ある特別出張所など計22か所にあるデジタルサイネージで広告掲出できます。行政情報や防災情報の放映を行っているため、公共性と信頼性の高い広告媒体です。
東京都大田区 本庁・出張所デジタルサイネージ広告の詳細はこちら
『NEXCO中日本サービスエリア デジタルサイネージ』
浜名湖SAのフードコートの柱部分に設置されているデジタルサイネージで広告が掲出できます。ユーザーは一定時間着席しているため、ユーザーの目に留まりやすい広告媒体です。
NEXCO中日本サービスエリア デジタルサイネージの詳細はこちら
『JR東日本 新宿ウォール456』
JR新宿駅の東西自由通路にある国内最大規模のLEDデジタルサイネージに掲出可能な広告プランです。インパクトを与える広告展開が可能です。
病院・調剤薬局の待合室デジタルサイネージ『メディキャスター』
大きな病院や一般診療所、調剤薬局にあるモニターでデジタルサイネージ広告が流せます。放映する施設や診療科目、エリアによるセグメントが可能です。
『JR東日本 トレインチャンネル』全線(山手線あり)
JR東日本全線の車両のまど上やドア上に設置されているデジタルサイネージで広告掲出できます。天気予報やニュースの合間に広告を流すため、注目されやすい広告媒体です。
JR東日本 トレインチャンネル全線(山手線あり)の詳細はこちら
首都高速1号羽田線沿いの屋外ビジョン『平和島ロードサイドビジョン』
首都高速1号羽田線沿いに設置された大型デジタルサイネージで広告が流せます。都心と羽田空港を結ぶ道路なので羽田空港から都心へ移動する人など、多くの人へ訴求可能です。
都心部のマンション居住者向け広告メディア『マンションサイネージ』
首都圏にある高級分譲・賃貸マンション内に設置されているデジタルサイネージへ広告出稿できます。富裕層へのアプローチに効果的です。
『スシロー店内デジタルサイネージ』
47都道府県569店舗のスシローの待合スペースのモニターでデジタルサイネージ広告が掲出できます。客層はファミリー層が多い為、ファミリー向けのPRにおすすめです。
『ANA機内デジタルサイネージ』国際線機内チャンネル
ANA国際線の機内の各座席のモニターでCMが放送できます。国際線を利用する幅広いユーザーへ訴求可能です。
ANA機内デジタルサイネージ国際線機内チャンネルの詳細はこちら
ネイルサロンプロモーション『femedia』サイネージ広告
ネイルサロンの施術席の上部に設置されているデジタルサイネージに広告が掲出できます。20~40代の美意識の高い女性をターゲットとしたPRに効果的です。