チラシや雑誌、新聞など紙に出力された印刷物を利用した広告媒体を紙媒体と言いますが、その中でも「フリーペーパー」は広告掲出の費用が安価で、ターゲットに直接届きやすい媒体です。無料で読者へと届けられるフリーペーパーは、かつては生活情報誌やタウン誌と呼ばれるものが多く存在していましたが、今やその内容は多岐にわたります。「タウンワーク」のような就職情報誌や、「ホットペッパー」のようなグルメ情報誌なども増え、その他にも様々な種類のフリーペーパーが登場しています。
配布方法についても、街頭で無料配布されるものや、特定の場所にラックと合わせて設置されているもの、個人宅へとポスティングされるものなど、掲載される情報に適した配布方法が採用されています。
本日はフリーペーパーについてその種類や配布方法、内容について解説していきます。
フリーペーパーとは?
フリーペーパーは掲載企業からの掲載料で運用され、読者へ無料で届けられる印刷物のことを指します。雑誌状になっているページ数の多いものはフリーマガジンと呼び区別される場合もあります。
フリーペーパーの起源は「free newspaper」と言われており、新聞に準じた形態のものを指し「無料広告紙」などとも呼ばれていました。1980年代頃から冊子類も多く配布されるようになったため、無料で配布される印刷媒体の総称として「フリーペーパー」という名称が一般的になりました。
フリーペーパーについて「特定の読者に無料で配布する定期発行の生活情報誌であること。」「生活情報を記事と広告で伝えること。」と定義付けを行った日本生活情報紙協会は、平成10年から20年以上の間、業界を支える唯一の団体としてフリーペーパーの普及に尽力。しかし、媒体環境が変化する中、「生活情報誌の普及・発展を目指す」という当初の目的は達せられたとして、2018年10月に同協会は解散しました。
フリーペーパーの種類
フリーペーパーは印刷物の形態や掲載されている情報によって、いくつかの種類に分けられます。
タブロイド判
新聞のような印刷物を重ねて二つ折りにしたもので、新聞の半分のサイズで制作されたものをタブロイド判・タブロイド誌などと呼びます。冊子型のフリーペーパーとは異なり、製本加工を必要としないため、比較的安価な広告掲載が魅力の紙媒体です。
冊子型
タブロイド判とは異なり、重ねた印刷物を中央でホチキス留め、中綴じ製本加工がされたものを指します。サイズはA判、B判、特殊サイズなどフリーペーパーによって様々です。冊子型のフリーペーパーの中でも、新聞社が発行しているものを「拡販誌」と呼ばれ、月1回発行、直接手渡しやポスティングなどで配布されています。新聞社発行以外の冊子型フリーペーパーはフリーマガジンと呼ばれることもあります。
地域生活情報誌(タウン誌)
コミュニティーペーパーと呼ばれることもあります。地域の情報に特化したもので、フリーペーパーの中では最も発行部数が多いと言われています。
ターゲットメディア
読者の属性を絞り込んだ情報を掲載するフリーペーパー。主婦、学生、富裕層など様々な読者層にターゲッティングした情報誌があります。
ニュースペーパー
地域のニュース、情報を掲載しているフリーペーパー。日刊で発行されているケースが多い紙媒体です。
タブロイド判のものを街頭で配布したり、冊子型のものをポスティングしたりと、配布方法についても、掲載される情報や、その装丁など、フリーペーパーの種類によって販促効果が高い方法が選ばれています。
主なフリーペーパーの配布方法
街頭で配られるイメージが強いフリーペーパーですが、より販促効果を高めるためには、掲載されている情報に有益性を感じてもらえる読者層に狙って配布を行う必要があります。それぞれの情報誌に適した配布方法として、個人宅へのポスティングや設置されているラックの利用など様々な方法が選ばれています。
駅やコンビニなど設置されたラックの利用
読者層は絞らず、エリアを絞って配布を行うため、地域情報誌やタウン誌などに選択されることが多い配布方法です。若年層に向けた就職情報誌や、クーポンブックなどの紙媒体もこの配布方法が一般的です。
新聞折り込みとして特定エリアに配布
タブロイド判のフリーペーパーで多く利用されている配布方法です。折り込み広告の情報は消費者の購買行動に繋がりやすいと言われており、今もまだ日本では新聞の影響力は大きいようです。新聞をよく購読しているシニア層などに向けた情報を掲載する場合には効果が期待できるため、新聞を購読している層に合う情報かどうかの判断も重要です。
ポスティングによって個人宅への配布
冊子型のフリーペーパーで多く利用される配布方法です。ページ数が多い冊子型の情報誌を街頭で配布した場合、自宅まで運んでもらう部分が障壁となり、効果が低くなる傾向がありますが、ポスティング配布なら直接自宅へお届けするため、自宅で目を通してもらいやすくなります。また、エリアや属性などで配布先を絞り込めるのもポスティングのメリットの一つです。例えば、富裕層はラックが設置されている場所へ直接訪れる機会が少ないため、富裕層をターゲットとする情報誌やフリーペーパーには、ポスティング配布は最適です。その他にも、経営者向けにポスティング配布できるフリーペーパーなどもあります。
特定施設での直接配布
掲載されている情報への興味・関心が高い読者へ届けられるため、ママ・パパへ向けた育児情報誌や、高齢者向けの健康情報誌などで使われることが多い配布方法です。直接配布することで、目を通してもらいやすくなります。育児情報誌であれば保育所や幼稚園など、高齢者向けの情報誌であれば健康施設や医療施設・福祉施設などで直接配布されています。
配布方法ごとのフリーペーパーの例
フリーペーパーは、「タウンワーク」や「ぱど」、「ホットペッパー」などラックに設置されている情報誌の認知度が高いですが、その他にも様々な形態・配布方法の情報誌が多数存在します。
手渡し配布
自動車学校の職員から手渡しや、教習生へ書類と合わせて配布されているフリーペーパー。JACLAは全国の自動車学校の内65%、約850校の自動車学校にネットワークを持っています。教習生は若年層が多いことから、社会人デビューする若者と企業を繋ぐコミュニケーションマガジンとして発行されています。自動車保険や予防安全装置搭載についてなど、車に関する情報が掲載されています。
ポスティング
主婦層にターゲッティングされた地域密着型のタウン誌。身近でお得な情報の掲載が魅力のフリーペーパーで、各エリアごとに、配布を担当している「リビングレディ」という配布員によって各宅へポスティングされています。リビングレディ自身が土地勘のある、自分の住むエリアで配布を行うので、確実な配布が可能です。
設置配布
See(見て)×Feel(感じる)をテーマに立教大学を中心に配布されている学生向けフリーペーパーです。大学生に新しい価値観を提供することを目的とし、「ひねくれた」視点でしっかりとしたテーマの内容を盛り込むことが意識されています。立教大学のフリーペーパー団体が立教大学の学生向けに制作している紙媒体です。配布箇所は立教大学学内を中心に発送対応も行っています。発行部数は5,000部で年3回(4月、7月、10月)の発行。毎号異なるカルチャーが掲載されています。
フリーペーパーの広告費
駅やスーパーに設置されたフリーペーパーを持ち帰った経験のある方は多いのではないでしょうか?無料で読むことができるフリーペーパーは、各施設への設置やポスティング、郵送などの方法で読者のもとへ届けられます。発行費は広告費で賄っているケースが多く、有料で販売する雑誌に比べて広告費や広告枠サイズもバリエーション豊富である点が特徴です。
基本は発行部数や配布方法によって金額が変化します。おおよそではありますが、1Pサイズの広告費で「1~5円/部」が相場になります。
フリーペーパー広告費の例:ちいき新聞
ちいき新聞は1984年創刊の各家庭へポスティングで配布しているフリーペーパーです。各版ごとにエリアが細かく決まっており、広告を出したいエリアをピンポイントで狙いやすい点が特徴です。エリアや部数によって価格が異なっています。
フリーペーパー広告費の例:Lism
和歌山で発行している、20~30代前半の男女ターゲットのフリーペーパー。月1回、85,000部を和歌山市中心に設置配布しています。
フリーペーパーへ広告を掲載するメリット
Web広告がその市場規模を拡大する中、オフライン広告の一種であるフリーペーパーは今もなお広告媒体として利用されています。その理由として、フリーペーパーにはWeb広告とは違った効果が期待できるという側面があります。
ターゲットの絞り込みが可能
フリーペーパーは地域に根差したタウン誌から、読者層を絞った情報誌まで様々なものが発行されています。情報誌の特性に合わせた配布方法が確立されているものフリーペーパーの特徴で、企業が情報を届けたいターゲットに絞った配布が可能です。
地域に届けたい情報であれば駅周辺のラックで配布するタウン誌、経営者層に届けたい情報であれば直接ポスティングを行う情報誌など、掲載するフリーペーパーを厳選することで、情報を求めている可能性が高い読者へ届けることが可能です。
比較的安価な広告費
利用するフリーペーパーによってコストは大きく違いますが、一般的に新聞折り込みやポスティングを単独のチラシで行うよりは安価な紙媒体です。一社単独で作るフリーペーパーでない限り、掲載企業からの掲載料で制作、配布されることとなります。
数社(時には数十社)の情報をまとめて印刷、加工、配布を行うことで単独で実施するよりも安価で提供できる仕組みを作り上げているのがフリーペーパーの特徴です。
そのため、新聞の購読をしていない家庭などに比較的安価で情報を届ける手段として、フリーペーパーのポスティングが使われることも多いです。
その他にも紙媒体には、新聞や折り込み広告などがありますが、それぞれ特徴があり、広告料やターゲティングも異なってきます。紙媒体については、以下の記事で詳しくまとめていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
紙媒体ってどんな媒体?広告の代表格である「紙媒体」について解説!
広告が出せるフリーペーパーの探し方
フリーペーパーに広告を出してみたいと思っても、全国に数多く存在するフリーペーパーの中から選定するのは一筋縄ではありません。情報を精査し、予算や条件に合ったメディアを選定する必要があります。ここでは、フリーペーパーに広告を出そうと思った時に「どうやって広告が出せるフリーペーパーを探したらよいか」を解説します。
キーワードで「エリア名+フリーペーパー 広告」で検索する
もっとも一般的な方法ではありますが、キーワード検索でフリーペーパーを探す方法があります。例えば、「新潟市 フリーペーパー 広告」で検索すると下記のような検索結果が出てきます。
一番上に表示されたページでは、フリーペーパー以外のメディアも掲載されているようですが、新潟市で出稿できるフリーペーパー広告を見つけることができました。より詳細な資料を探したい場合は「フリーペーパー名+媒体資料」といったキーワードで検索することで、資料のダウンロードページや問い合わせページに進むこともできます。検索の手間はかかりますが、確実にフリーペーパー広告を見つけることができます。
広告代理店に聞いてみる
広告を専門に取り扱う広告代理店にフリーペーパー広告について問い合わせる方法もあります。エリアや予算を伝えることで、様々な広告媒体の中から条件にマッチした広告メディアを提案してもらう事ができます。条件を伝えるだけなので、手間をかけずに適したメディアを見つけることが可能です。また、条件によってはフリーペーパー広告以外の選択肢も提案してくれるので、選択肢の幅を広げることもできます。
一方で、広告代理店がやり取りの仲介に入ることで、メディアを運営しているメディアオーナー(媒体主)と直接やり取りする時に比べて、レスポンスが遅くなってしまう可能性があります。ちょっとした質問事項でも数日ほどかかってしまう事も。
アドクロを使って検索してみる
広告を出せるフリーペーパーを探すなら、広告に特化したプラットフォームであるアドクロを使って検索する方法があります。アドクロに掲載されている全国各地、数百のフリーペーパーの中から検索することが可能です。それぞれのフリーペーパーごとに、カテゴリーやタグ付けをしており、ポスティングや新聞折込などの「配布方法」や「発行エリア」、富裕層向けやママ向けなどの「属性」、「読者の年代」などからフリーペーパーを絞ることができます。
カテゴリーから探す
フリーペーパーにはタウン誌だけでなく、不動産オーナーや団体の会員向けに配られている「専門誌」など種類は様々です。アドクロでは、様々なキーワードやエリアからフリーペーパー広告を探すことができます。
タグから探す
フリーペーパー各商品に割り当てられたタグから探すこともできます。発行エリアを始め、「ポスティング」や「新聞折込」などの配布方法から探すことができます。様々な条件から細かく検索することができる点は大きな特徴です。
フリーワード・エリアから探す
フリーワードや具体的なエリアからフリーペーパー広告を探すこともできます。広告商品の一覧ページからキーワードを入力・検索し、フリーペーパーカテゴリーで絞り込むことで条件に合ったフリーペーパーを探すことができます。
無料の会員登録後、アドクロを利用することができるようになります。気になった商品があれば各商品ごとに具体的な問い合わせも可能なので、手間もかかりません。実際に広告を出稿するまで一切料金がかからない点も安心して使えるポイントですね。
フリーペーパーの例
まとめ
フリーペーパーはWeb広告のように不特定多数の人に届けるものではなく、ターゲットを絞って届けたい情報がある場合に効果的な広告宣伝方法です。
新聞の購読世帯数は減少し、販促活動の主流はオフラインからオンラインへ変わっていくと言われています。そんなWeb主流の風潮が強まる中、フリーペーパー含むオフライン広告の、Webにはないメリットが再度注目されつつあります。
オンラインでは難しいターゲットの絞り込みや、エリアを絞った宣伝を行うことで、高い費用対効果が実現できるのも強みです。新聞などの有名媒体だけではなく、フリーペーパーは今後も紙媒体として注目していきたいですね。