ノバセル株式会社は、2024年9月に放映されたテレビCMランキングで第6位にランクインした「大同特殊鋼」のCMについて分析した。
指名検索のみ大幅増はクリエイティブの変化によるものか
大同特殊鋼株式会社は名古屋市に本社を置く企業で、自動車や建機、産機などに使用される構造用鋼や、厨房用品、建築材料、機械構造部品などに使用されるステンレス鋼など、様々な種類の特殊鋼や部品、部材を提供している。
2023年8月から2024年9月までの期間で4回にわたり放映されている同社のテレビCM。ノバセル株式会社の調査では、2024年8月の指名検索数は過去のCMと比べて大幅に増加していた。インプレッション数にはあまり差がないことから視聴者数が伸びたのではなく、視聴した多くの人がCMの影響を受けて指名検索したことが想定でき、2023年と2024年とでクリエイティブに大きな変化があったことが伺える。
KREVAを起用した斬新な新CM
ここで、2023年8月に公開されたCMと2024年8月に公開されたCMを比較していきたい。
まず、以下のCMが2023年に公開されたものだ。
2023年8月22日公開 大同特殊鋼 企業CM「日々になる、特殊な鋼。」15秒ver.
そして、次に2024年8月に指名検索数が大幅に増加したきっかけとなったCMが以下のCMだ。
2024年8月16日公開 大同特殊鋼 企業CM「すごい未来、特殊鋼と行こう!総論篇」
この2つのCMの指名検索スコアを表したグラフが以下のグラフとなるが、2024年8月は圧倒的な数値となっている。
2023年のCMの特徴としては、身近な製品に数多く使用されている特殊鋼は日々の生活に深く関係していることを表現している。
一方、2024年のCMでは、ラッパーのKREVAさんが登場し、ラップで大同特殊鋼が扱っている製品を紹介。最後にKREVAさんが「大同特殊鋼」と言うシーンで、会社名をアピールしている。ノバセル社はこの最後の社名が印象付ける役割も担っていると分析している。
多くの人の興味をひく「意外性」
2024年9月1~30日の期間に指名検索した人について、性別ごとの割合は、6割が男性という結果だった。また、年代別では50代が24%で最多、40代が21%で次に多いという結果だった。40~50代の男性を中心に指名検索されたようだ。
2024年9月の指名検索スコアは、最も高かったのが土日のプライム帯だった。推定imp数は午前帯と夕方帯が高いことから、ノバセル社は午前帯、夕方帯の放映が影響したと分析。他の企業や同じ業界の方にアプローチできたのではないかとコメントしている。
指名検索した人の年代・性別から、KREVAさん起用の影響によるものということが予測できる。KREVAさんのファン層を中心に興味関心を引いた大同特殊鋼のCMは、誰もが予想しなかった人を起用したことによる意外性で指名検索数を大幅に増やしたのではないか。また、ラッパーであるKREVAさんを起用したことにより、「特殊鋼」という、一般の人にはあまり馴染みのない製品に親近感を感じさせる効果もあったと思われる。
マーケティングにおいて指名検索数はとても重要な指標となっている。指名検索数を意識したマーケティング戦略の推進は、企業の認知度向上に繋がるのかもしれない。