経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2021年10月分の広告業売上高について解説します。
広告費全体では前年同月比111.0%と大きくプラスに
全体の売上高としては4,707億円と、前年同月比で111.0%と大きく上昇しています。ほとんどのカテゴリーがプラスの数値となっている中、いくつかのカテゴリーは、依然コロナの影響が大きく、まだまだ回復に至っていないという結果でした。
4マス全体は前年同月比108.0%。雑誌のみ減少が続く。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,491億円。前年対比では108.0%となっています。
新聞広告は前年対比117.9%と回復。2021年8月から減少が続いていましたが、ようやく増加に転じました。一方、同じ紙媒体でも雑誌広告は前年同月比97.3%と、4マスの中では唯一の減少という結果になりました。媒体のデジタルシフトの影響が色濃く出ている印象があります。
テレビCMは前年比106.8%とプラスに。コロナの影響で一時は減少していたものの、現在ではコロナ以前の水準まですっかり回復しているカテゴリーになります。ラジオ広告も前年比100.1%とほぼ前年と同じ数値になっています。
インターネット広告は120.4%と引き続きプラスを維持。
2020年10月から前年同月比でプラスが続いているインターネット広告。2021年10月も前年比120.4%と依然として前年比プラスを維持しています。緊急事態宣言が解除されたことで、屋外広告やOOHなど他カテゴリーへ広告予算を割り振る企業も多くなってきた印象ですが、インターネット広告については今後も増加が予想されます。
交通広告は95.0%と引き続き減少、SP・PR・催事企画はプラスに。
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると屋外広告が132.3%と、反動増による数字ではありますが、コロナ以前の水準まで回復しつつあります。
交通広告は95.0%。2021年9月から引き続き減少となり、依然コロナ前の水準には回復に至っていません。ただ、緊急事態宣言が明けたこと外出機会が増えることが想定されます。それを狙った出稿が増えることも想定されるので、来月以降数値に動きが出てくるかもしれません。
コロナの影響を受ける前、2019年10月との比較
前年対比ではコロナの影響による反動が大きい為、2019年の同月との数字を比較してみました。広告費全体では102.6%で、コロナ以前の数字に戻りつつあります。
カテゴリー別に見ると、インターネット広告が172.4%と大幅な増加が見られます。その他のカテゴリーは、新聞108.4%、雑誌63.0%、テレビは102.2%、ラジオは86.2%と、4マス媒体の中でも回復度合いに大きな差があります。屋外広告は83.8%、交通広告は60.6%、折込み・ダイレクトメールは86.6%と、こちらはコロナ以前より大きく減少しています。
コロナ感染者数の減少により、いくつかのカテゴリーでは回復傾向が見られました。今後、コロナの状況により、広告費にどのような影響が出るのか、引き続き注視していきます。