経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2021年11月分の広告業売上高について解説します。
広告費全体では前年同月比109.3%と大きくプラスに
全体の売上高としては4,607億円と、前年同月比で109.3%と大きく上昇しています。増加しているカテゴリーがほとんどではありますが、一部のカテゴリーではコロナの影響が残り、回復しきれていない状況が続いています。
4マス全体は前年同月比104.5%。新聞・ラジオが伸び悩む結果に。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,496億円。前年対比では104.5%となっています。
新聞広告は前年対比93.9%と減少。2021年10月にようやくプラスとなりましたが、再びマイナスに転じました。一方、同じ紙媒体の雑誌広告は前年同月比101.9%と、2021年8月以来のプラスに。
テレビCMは前年比106.7%と増加。コロナ以前の水準まで回復し、今後も増加が続くことが予想されます。
ラジオ広告は前年比97.1%とやや減少。マイナスではありますが、比較的コロナの影響を受けにくいカテゴリーのため、前年とほぼ同じ数値となりました。
インターネット広告は120.6%と引き続きプラスを維持。
2020年10月から前年同月比でプラスが続いているインターネット広告。2021年11月も前年比120.6%となっており、引き続き高い水準を維持しています。コロナによるECや動画配信サービスなどの巣ごもり需要拡大の影響が未だに強く残っているようです。
交通広告は108.0%とようやくプラスに。折込・DMは厳しい状況が続く。
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると屋外広告が120.7%と、反動増による数字ではありますが、コロナ以前の水準まで回復しつつあります。
交通広告は108.0%。緊急事態宣言による外出自粛の影響が大きかったカテゴリーでしたが、ようやく回復傾向に転じました。しかし、コロナ前の水準まで戻るのにはまだまだ時間がかかりそうです。
海外広告とSP・PR・催事企画は増加。折込・ダイレクトメールは引き続き苦戦を強いられている状況です。
コロナの影響を受ける前、2019年11月との比較
前年対比ではコロナの影響による反動が大きい為、2019年の同月との数字を比較してみました。広告費全体では93.8%とマイナスになりましたが大幅な減少にはならず、コロナ以前の数字に戻りつつあります。
カテゴリー別に見ると、インターネット広告が174.2%と大幅な増加が見られます。その他のカテゴリーは、新聞83.1%、雑誌60.7%、テレビは98.8%、ラジオは89.2%と、4マス全て減少。屋外広告56.3%、交通広告70.7%、折込み・ダイレクトメール74.1%と、インターネット広告以外は全てマイナスとなりました。コロナの影響によりインターネット広告への予算集中が一目瞭然の結果となりました。
人出が増えた11月でしたが、コロナの影響による新しい生活様式が定着しつつあるためか、伸び悩むカテゴリーが多く見られました。この変化が今後の広告費にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していきます。