経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2021年12月分の広告業売上高について解説します。
広告費全体では前年同月比106.6%と大きくプラスに
全体の売上高としては5,684億円と、前年同月比で106.6%と大きく上昇しています。一部のカテゴリーではまだコロナ前の水準まで回復しきれていませんが、ほとんどのカテゴリーが増加となっています。
4マス全体は前年同月比101.7%。雑誌のみ若干減少
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,643億円。前年対比では101.7%となっています。
新聞広告は前年対比105.4%と大きく増加。コロナ第5波以降、増減を繰り返している新聞広告ですが、少しずつコロナ以前の水準までに回復してきているように感じます。
雑誌広告は99.8%とやや減少。コロナの影響がまだ残っているためか、なかなかコロナ以前の水準まで回復に至っていません。この辺りは、コロナのみならず、デジタルシフトによる紙媒体全体の減少が影響している可能性が考えられます。
テレビCMは前年比101.2%と増加。2021年11月より若干減りましたが、依然として増加傾向が続いています。昨今、低価格のテレビCMを売りにするサービスも増えてきましたが、各企業が取り組みやすい環境が整う事で、今後も上昇する可能性が考えられます。
ラジオ広告は前年比100.4%。コロナの影響を受けにくいカテゴリーということもあり、ほぼ前年と同じ数値となっています。
インターネット広告は115.2%と引き続きプラスを維持。
2020年10月から前年同月比でプラスが続いているインターネット広告。2021年12月も前年比115.2%となっており、若干の減少傾向はありますが、高い水準で推移しています。インターネット広告費への予算集中は続いていながらも、コロナウイルスの状況を見つつ、他メディアへの予算の割り振りも増えているように感じています。
交通広告は110.1%と増加を維持。折込・DMと海外広告が大きくマイナスに。
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると屋外広告が112.7%と、反動増による数字ではありますが、コロナ以前の水準まで回復しつつあります。東京都内では、まだまだ空き看板が多く見受けられますが、新型コロナが猛威を振るった2020年4月やそれ以降と比べても、掲出数は増えてきているようにも思えます。
交通広告は110.1%。コロナ禍の外出自粛の影響が大きく、長らくマイナスとなっていましたが、前月よりようやくプラスに。コロナ前の水準までには回復していませんが、コロナの状況次第ではこの回復傾向は続くのではないでしょうか。
SP・PR・催事企画も外出自粛解除による影響か、大きく増加。折込・ダイレクトメールと海外広告はそれぞれ大幅な減少となりました。
コロナの影響を受ける前、2019年12月との比較
前年対比ではコロナの影響による反動が大きい為、2019年の同月との数字を比較してみました。広告費全体では102.4%と、コロナ以前の数値までに回復しつつあります。
カテゴリー別に見ると、インターネット広告が155.1%と大幅増加。その他のカテゴリーは、新聞97.8%、雑誌77.7%、テレビは103.5%、ラジオは88.6%と、テレビ以外マイナスとなりました。紙系の媒体の苦戦が目立ちます。
屋外広告79.7%、交通広告68.2%、折込み・ダイレクトメール80.8%と、こちらは前月と同様減少が続いています。このあたりは、新型コロナの影響が根強く出ているように感じます。
コロナ感染者数が落ち着いていた2021年12月ですが、2022年に入り、再び第6波が訪れました。このコロナ感染者数の爆発的な増加が、今後の広告費にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していきます。