経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2022年1月分の広告業売上高について解説します。
広告費全体では前年同月比103.1%と大きくプラスに
全体の売上高としては4,086億円と、前年同月比で103.1%と大きく上昇しています。
1月下旬より、一部の都市ではまん延防止等重点措置が適用されましたが、2022年1月の広告費への影響はそこまで大きくなかったようで、ほとんどのカテゴリーが増加となっています。
4マス全体は前年同月比99.3%。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,359億円。前年対比では99.3%となっています。
新聞広告は前年対比107.5%と前月に引き続き増加傾向となっており、コロナの影響を感じさせない数値まで回復しています。一方、雑誌広告は82.1%と減少。前月よりさらに減少しており、デジタルシフトによる影響を大きく受けているようです。
テレビCMは前年比98.4%と若干の減少に。しかしながら、前月とほぼ横ばいという結果なので、今後、また増加に転じることも予想されます。テレビ同様に横ばいなのがラジオ広告の前年比91.5%。コロナの影響を受けにくいカテゴリーで前月とほぼ同じ数値となっています。
インターネット広告は113.1%と引き続きプラスを維持。
2020年10月から前年同月比でプラスが続いているインターネット広告。2022年1月も前年比113.1%となっており、若干の減少傾向はありますが、高い水準で推移しています。
他メディアへの予算の割り振りも増えているようですが、今後もインターネット広告費が大幅に減少することはないと思われます。
交通広告は101.7%と増加を維持。折込・DMは引き続き伸び悩む結果に。
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると屋外広告が114.6%と、反動増による数字ではありますが、コロナ以前の水準まで回復しつつあります。
交通広告は101.7%。コロナ前の水準までの回復には至っていませんがプラスが続いています。まん延防止等重点措置の適用の影響はそこまで大きくなかったようですが、来月以降、影響が出てくる可能性もあります。
SP・PR・催事企画もまだまん延防止等重点措置の影響は少なく、プラスを維持。折込・ダイレクトメールは引き続き、若干の減少となりました。
コロナの影響を受ける前、2020年1月との比較
前年対比ではコロナの影響による反動が大きい為、コロナの影響を受ける前の2020年同月との数字を比較してみました。広告費全体では76.5%と大きく落ち込み、コロナの影響の大きさを感じる結果となりました。
カテゴリー別に見ると、インターネット広告が133.2%と大幅増加。その他のカテゴリーは、新聞87.5%、雑誌60.8%と紙系の媒体は前月同様、大幅な減少となり苦戦が続いています。テレビは93.5%とマイナスではありますが、コロナ前の水準まで回復傾向にあります。その一方で、ラジオは79.4%と大きく減少しています。
屋外広告67.6%、交通広告60.8%、折込み・ダイレクトメール77.3%と、こちらも大幅に減少しています。これらのカテゴリーは新型コロナの影響が大きく、回復にはまだまだ時間がかかりそうです。
オミクロン株流行により2022年1月下旬よりまん延防止等重点措置が適用されましたが、2022年2月にはその影響が大きく出てくると予想されます。感染者急増やまん延防止等重点措置の適用が、今後の広告費にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していきます。