経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2022年2月分の広告業売上高について解説します。
広告費全体では前年同月比101.9%と大きくプラスに
全体の売上高としては4,232億円と、前年同月比で101.9%と大きく上昇しています。
オミクロン株による感染者急増で1月下旬には一部地域でまん延防止等重点措置が適用されましたが、前年の2021年2月にも緊急事態宣言が発令されており、前年に近い状況であることから、どのカテゴリーも全体的に大幅な減少はなく、ほぼ横ばいという結果となりました。
4マス全体は前年同月比97.5%。雑誌の減少続く
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,241億円。前年対比では97.5%となっています。
新聞広告は前年対比98.8%と若干減少していますが、前年とほぼ変わらない数字となっています。昨今、紙離れはによるデジタルシフトが叫ばれていますが、いまだ信頼性の高い媒体として掲出ニーズは高いように感じられます。一方、同じ紙媒体の雑誌広告は83.4%と引き続き減少が続いており、コロナ云々関係なく、デジタルシフトによる影響の大きさを感じます。
テレビCMは前年比97.8%と若干の減少は見られますがほぼ横ばいという結果に。
インターネット広告は111.5%と引き続きプラスを維持。
2020年10月から前年同月比でプラスが続いているインターネット広告。2022年2月も前年比111.5%となっており、引き続き高い水準で推移しています。ここ1年でもかなり成長しているカテゴリーの1種と言えるでしょう。
コロナの影響はほぼ感じられず、インターネット広告費は今後も増加が続くと思われます。
交通広告は95.4%とマイナスに。折込・DMは減少しているものの若干回復。
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると屋外広告が124.2%と、反動増による数字ではありますが、コロナ以前の水準まで回復しつつあります。
交通広告は95.4%。久しぶりのマイナスに転じましたが、大幅な減少にはなりませんでした。コロナ感染者の増加による外出自粛がまだまだしばらく続くと考えられるため、引き続き同水準を維持するのではないでしょうか。
コロナの影響を受ける前、2020年2月との比較
前年対比ではコロナの影響による反動が大きい為、コロナの影響がまだそこまで大きくなかった2020年同月との数字を比較してみました。広告費全体では92.6%とマイナスではありますが、大きな差は感じられないほどまでに回復しつつあります。
カテゴリー別に見ると、インターネット広告が128.8%と大幅増加。その他のカテゴリーは、新聞76.4%、雑誌50.7%と紙系の媒体は引き続きマイナスとなり、苦戦を強いられています。テレビは94.1%、ラジオは79.4%という結果となりました。デジタルシフトの影響が数字上でもはっきり出ている印象でした。
屋外広告が92.2%とコロナ前の水準までに戻りつつあるのに対し、交通広告は57.3%、折込み・ダイレクトメールは73.5%と、こちらは大幅な減少が続いています。特に、交通広告は2年前の同時期の約半分水準。同じ駅でも広告の出稿量にだいぶ違いがありそうな印象です。
2022年2月のコロナの状況は前年と比較的近い状況でしたが、流行したコロナウイルス変異種の種類が異なることもあり、来月以降にはまた少しずつ前年との差が出てくるのではないでしょうか。ワクチン接種率の向上やオンライン化の加速など、ウィズコロナ時代へ向けた状況の変化が今後の広告費にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していきます。