経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2022年3月分の広告業売上高について解説します。
広告費全体では前年同月比107.7%と大きくプラスに
全体の売上高としては7,524億円と、前年同月比で107.7%と大きく上昇しています。
2022年1月下旬より適用された一部地域でのまん延防止等重点措置については、2022年3月21日まで継続しましたが、前年の3月も一部地域で緊急事態宣言が出されていたため、大きな差は生じない結果となりました。
4マス全体は前年同月比94.8%。新聞が大幅減少。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,618億円。前年対比では94.8%となっています。
新聞広告は前年対比87.5%と大幅に減少。一方で同じ紙媒体である雑誌は99.3%と、前年とほぼ変わらない数字となりました。コロナが流行したばかりの時期にはデジタルシフトによる影響も大きかったせいか紙媒体は苦戦していましたが、若干ではありますが回復の兆しが見え始めている印象です。
テレビCMは前年比95.9%、ラジオは101.7%と、前月に引き続きほぼ横ばいという結果でした。
インターネット広告は103.7%と引き続きプラスを維持。
2020年10月から前年同月比でプラスが続いているインターネット広告。2022年3月も前年比103.7%となっており、引き続き高い水準で推移しています。コロナの影響に加え、デジタルシフトによる影響も重なり、長らくインターネット広告への予算集中が続いていましたが、2022年に入りインターネット広告以外のメディアの回復傾向にあり、インターネット広告の数字も落ち着いてきたようです。しかしながら、引き続きプラスを維持しており、今後もインターネット広告の成長は続くと思われます。
交通広告は83.9%とマイナスに。屋外広告とともに苦戦。
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると屋外広告が92.1%と、2021年9月以来のマイナスとなりました。交通広告も83.9%と前月に続きマイナスとなり、苦戦を強いられています。特に交通広告の大幅な減少は、一部地域で実施されたまん延防止等重点措置による影響が考えられます。
コロナの影響を受け始めた2020年3月との比較
前年対比では、2022年3月も前年もコロナの影響による外出自粛があり、状況が似ていたため、大きな差は感じられませんでした。そこで、コロナの影響を受け始めた2020年3月と比較し、どこまでの回復が見られたのかを調べました。広告費全体は107.5%でプラスとなり、回復の兆しが見られました。
カテゴリー別に見ると、インターネット広告が120.4%と大幅増加。その他のカテゴリーは、新聞90.6%、雑誌68.2%、テレビは92.9%、ラジオは87.0%とまだまだ回復しきれていない状況が続いています。デジタルシフトによる影響が大きい印象です。
屋外広告は85.6%、交通広告は52.0%と大幅に減少。2020年3月は外出自粛などの感染防止対策が本格化する前であったこともあり、その差が数字にも表れているのかもしれません。一方で折込み・ダイレクトメールは98.5%と回復傾向に。
前月に引き続き、コロナの状況が前年と近い状況だった2022年3月でしたが、2022年3月21日にはまん延防止等重点措置が解除となっているため、来月以降にもまた数字の変化が見られるのではないでしょうか。前年との状況の差が今後の広告費にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していきます。