経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2022年4月分の広告業売上高について解説します。
広告費全体では前年同月比100.4%とプラスに
全体の売上高としては4,509億円と、前年同月比で100.4%と上昇しています。
一部地域で適用されたまん延防止等重点措置は2022年3月21日で終了しましたが、緊急事態宣言が発令された2021年4月と比べて大きな差は生じておらず、まだ広告費全体の回復には至っていないという結果となりました。
4マス全体は前年同月比97.1%。ラジオのみ増加。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,256億円。前年対比では97.1%となっています。
新聞広告は前年対比91.6%と前月に引き続き大幅減少。同じ紙媒体である雑誌も98.3%と伸び悩む結果に。コロナの影響だけでなく、デジタルシフトによる影響の大きさも感じさせる数字となりました。
テレビは97.7%とこちらも若干のマイナスに。コロナの影響を受けにくいカテゴリーであるラジオのみが100.9%と、減少にはならず、ほぼ横ばいでした。
インターネット広告は前月に引き続き103.7%とプラスに。
2020年10月から前年同月比でプラスが続いているインターネット広告。2022年4月も前年比103.7%となっており、引き続き高い水準で推移しています。一時は大幅な増加となったインターネット広告費も他媒体の予算増加に伴い、落ち着いてきました。インターネット広告費は今後も増減を繰り返しつつも、プラスを維持していくのではないでしょうか。
交通広告は112.4%と大幅に増加。他もすべてプラスに。
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると屋外広告が117.6%、交通広告が112.4%とプラスに転じています。一部地域で実施されていたまん延防止等重点措置が終了し、人出が増えたことが大きく影響していると思われます。
折込・DMと海外広告はほぼ横ばいですが、SP・PR・催事企画も大きく増加。
全体的にプラスという結果になった要因としては、前年4月は緊急事態宣言下であったため、その反動によるものであると考えられます。
コロナ感染者数が急増した2020年4月との比較
コロナ感染者が急増し、国内で初めての緊急事態宣言が発令された2020年4月と比較し、どこまでの回復が見られたのかを調べました。まず、広告費全体は113.1%で大きなプラスとなり、コロナ前の水準まで回復傾向にあることがわかります。
カテゴリー別に見ると、雑誌・ラジオ・交通広告以外は全てプラスという結果になりました。インターネット広告は140.1%とさらなる成長を見せています。折込・DMも159.5%と、外出自粛明けの大幅な増加となりました。
デジタルシフトの影響が大きい新聞は104.2%と回復傾向に。しかし、雑誌は66.2%と引き続き苦戦が強いられています。テレビ101.8%、ラジオ98.6%とこちらはほぼ横ばいに。
屋外広告は107.3%とプラスになりましたが、交通広告は71.6%と大幅減少。まだまだ回復に至っていないカテゴリーについては、今後もコロナの影響を受けやすいと考えられます。
コロナ感染者数が減少し、外出自粛が明けた2022年4月は前月と比べ、広告費にも大きな変化が見られました。しばらくコロナ感染者数は下げ止まりとなりますが、まもなくオミクロン株BA.5系統も広がりを見せるため、広告費にどのように影響を与えるのか、引き続き注視していきます。