経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2022年11月分の広告業売上高について解説します。
広告費全体では前年同月比100.7%と横ばい
全体の売上高としては4,591億円と、前年同月比で100.7%とほぼ横ばいで推移しています。
新型コロナウイルス感染症の発生状況が前年とあまり差がなかったためと思われます。しかし、コロナ流行前の広告費と比較するとまだ回復には至っていない状況です。
4マス全体は前年同月比94.5%。雑誌のみ大幅なマイナスに。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,379億円。前年対比では94.5%となっています。
新聞広告が前年対比98.5%と、前年とあまり変わらない数値となった一方で、同じ紙媒体である雑誌は87.9%と大幅に減少。近年、デジタルシフトによる影響で雑誌の休刊・廃刊が多く、その影響によるものと思われます。雑誌については今後さらに減少していくかもしれません。
一方、テレビ94.1%、ラジオ95.0%と新聞同様、こちらもほぼ横ばいという結果となりました。
インターネット広告は105.0%と引き続きプラスを維持。
2020年10月から前年同月比でプラスが続いているインターネット広告。2022年11月は前年比105.0%となっており、ほぼ横ばいとなりました。デジタルシフトの流れの中で、新型コロナウイルス感染症による自粛の影響で急増したインターネット広告費でしたが、最近になり落ち着いてきたように感じます。しかし、今後は世界的インフレの影響がインターネット広告費に影響を及ぼすかもしれません。
屋外広告は118.7%と大幅増加。その他のカテゴリーは横ばいに。
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると屋外広告が118.7%と大幅に増加となりました。その他のカテゴリーは、交通広告97.8%、折込・DM98.1%、SP・PR・催事企画102.4%、海外広告93.0%と、どのカテゴリーもほぼ横ばいに。コロナの影響を受けやすいカテゴリーであることから、前年と比べてコロナの影響についてはあまり差がなかったことが分かります。
コロナの影響を受ける前、2019年11月との比較
新型コロナウイルス感染症が流行する前の2019年11月と比較し、どこまでの回復が見られたのかを調べました。まず、広告費全体は93.5%でほぼ横ばいとなり、コロナ以前の数値までに回復しつつあります。
カテゴリー別に見ると、どのカテゴリーも減少または横ばいという結果に。コロナが落ち着きつつある状況ではあるものの、コロナ以前と比較するとまだまだ回復には至っていません。
しかし、そんな中、インターネット広告費のみは182.2%と大きく増加。この3年間でインターネット広告市場が急成長を遂げていたことが分かります。
世界的インフレの影響を受けながらも、コロナの流行が落ち着いていたこともあり、どのカテゴリーも比較的、前年比では大きな差はありませんでした。2022年12月頃からはコロナ第8波が影響を及ぼしてくるため、広告費にどのように影響を与えるのか、引き続き注視していきたいと思います。