インターネット上で話題となった面白い広告をまとめました。
今回は2021年6月に話題となった広告4選についてご紹介します。
進撃の巨人最終巻発売!朝日新聞にまさかの…全面広告
2021年6月9日に朝日新聞で掲載された『進撃の巨人』最終34巻の全面(15段)広告が面白いと話題となりました。
進撃の巨人は、週刊少年マガジンに掲載されていた人気漫画。2009年10月から連載を開始、コミックスの世界累計発行部数は1億部を突破しており、ハリウッド映画化も決定している、多くの読者から注目を浴びている作品です。
本広告では、進撃の巨人の作者である諫山創氏による完全描き下ろしで、最終34巻の内容を告知する1ページ漫画となっています。内容を告知するといっても、進撃の巨人を少しでも知っている方であれば、その違和感に気づくはず。
実はこの演出は、「嘘予告」と呼ばれる演出で、本編の内容とは異なる予告となっています。単行本の巻末で何度も披露されており、コミックスを購入している読者にはお馴染みの演出とのこと。ファンには嬉しい展開ですね。
この新聞広告は、SNS上でも面白いと話題となりました。
・進撃の巨人、最終巻なのに新聞に異世界転生の偽予告出したのほんすこwwwさすがww
鬼滅みたいなやり方もあるのにこれでいいのか...って言ってる方もいて確かにwってなりましたww
・9日の進撃の巨人新聞新聞広告、わけわかんないけど…これはこれでイイね!鬼滅の刃の時みたいに感動系なのかと思った…(最終巻なのにコレ⁉︎って感じが良い)
・最終巻なのに、こういう新聞広告を出してくる進撃の巨人好きです
・今朝の新聞広告での進撃の巨人。ギャグパートだけど、どうしてもトラックに轢かれなければ異世界に行けないのか?w
・進撃の巨人の新聞広告がちょろっとした広告かと思ったらマジで一面広告なの笑ったわ。
同じ最終巻発売タイミング、新聞広告に掲載という観点から、昨年の12月に掲載された「鬼滅の刃」の新聞広告を対照に出されている方が多くみられました。「鬼滅の刃」の広告では、中央5紙それぞれに漫画内で登場したキャラクターが掲載される演出で話題となりましたが、今回は感動系ではなく、面白系のネタとしてファンを中心に話題となった印象です。
ちなみに、進撃の巨人最終巻に関する広告は、新聞広告のみならず新宿駅の大型サイネージ広告でも話題となりました。こちらは最終巻発売の2日前、2021年6月7日~6月13日に配信され、多くのファンが広告を見ようと新宿駅を訪れていました。
『新宿ウォール456』に掲載されたサイネージ広告
サイネージの前には動画で残そうと多くのファンが集まっていました
広告実施期間:2021年6月7日~13日(大型サイネージ)、6月9日(新聞広告)
「閲覧虫意」見たくないけど見たくなる!6月4日(ムシ)にちなんだ新聞広告
6月4日発行 日本経済新聞の夕刊全面(15段)広告
アース製薬株式会社が6月4日(金)『虫ケア用品の日』にちなんで実施した新聞広告が面白いと話題になりました。
“閲覧虫意”と大きく描かれたデザインが特徴的なこちらの広告。真ん中にあるQRコードの内容がすごく気になるところですが、“閲覧虫意”の一言が妙に引っかかる…そんな広告です。気になるQRコードを読み込むと、専用アプリを使わずに身近に潜むキケンな3種の虫のリアルなAR体験が可能となっています。
アース製薬では、使用者に対して「殺」という文字がネガティブなイメージを与えてしまうことや、殺虫を目的としない商品群が一定数あることから2017年10月に「殺虫剤」と呼ばれていた商品を「虫ケア用品」に呼称変更。6月4日を 『虫ケア用品の日』として制定し、一般社団法人日本記念日協会から2018年10月に登録認定されています。
同社はこの広告で、ARを通して「身近に潜むキケンな虫」の生態に即した動き、虫ケア用品を使用して駆除する演出を取り入れつつ、“虫を殺す”ことより“人を守る”ために虫ケア商品を使用してもらいたいという思いを込めています。
今回の広告は、ARを使用した読者参加型の広告でした。大の虫嫌いの私でも、“閲覧虫意”と記載されているにもかかわらずQRコードの先を見たくなるから不思議なものです。また、虫に関する広告でありながら広告デザインには虫が一切登場しない、思い切った仕掛けにも驚きました。QRコードを読み込む前提でユーザー導線が組まれているのかもしれませんね。
最近では、3Dホログラムサイネージ広告が実証実験を実施したことで話題となりましたが、今後もこういった新しい技術を用いた広告には注目ですね。
広告実施期間:2021年6月4日
「♪たん、たん、にしたんクリニック!」にしたんクリニックが渋谷大型広告をジャック
渋谷ビッグシートファイナル、渋谷ビックシートファイナル中段
にしたんクリニックが渋谷駅周辺で実施した大型ジャック広告が話題となりました。
今回の広告は、同社が2021年5月24日から全国放送しているテレビCM「フラメンコ」篇の世界観をそのまま再現した広告となっています。CM内で出てくる「♪たん、たん、にしたんクリニック!」のユニークなリズムがそのまま屋外看板となっており、渋谷駅を訪れる多くの方の目を引いていました。
渋谷憲章ボード
同社によると、ハチ公前の4大広告媒体(渋谷ビッグシートファイナル、渋谷ビッグシートファイナル中段、渋谷憲章ボード、ハチコーボード)を4面ジャックするのは日本初の試みであるとのこと。渋谷駅のどこを見渡しても「♪たん、たん、にしたんクリニック!」のクリエイティブが見える、面白い広告展開となっています。
ハチコーボード(「JR渋谷駅」の看板下)
ハチ公前の4媒体以外にも、渋谷センター街の屋外看板やアドトラック、渋谷駅東口構内など渋谷エリアで未だかつて見たことが無いような規模で実施していました。
今回の広告施策はSNS上でも話題となりました。
渋谷駅前がたん、たん、にしたんクリニック! pic.twitter.com/CiIg11sLSP
— ೬სコ🔃oʞıɥsoʇ (@_tontimanu) June 11, 2021
渋谷駅エリアの広告は、比較的短期(7日~)で販売されている広告枠が多く、ハチ公前4媒体の実施時期を合わせること自体、相当大変だったのでは…と思っています。規模もスケールも何もかもが突き抜けている、なかなか見ることができない面白いプロモーションであったように思います。
余談ですが、渋谷ビッグシートファイナルは2021年3月より設置された新しい屋外広告で、東急百貨店東急東横店跡地の壁面を利用している特性上、期間限定(※終了時期未定)の広告媒体となっています。今回のような渋谷エリアの大型看板を複数使った面白い広告展開が見られるのも、そう多くはないかもしれませんね。
広告実施期間:2021年6月7日~
証明写真機を活用した駅ばり広告で、就活生に向けてエール
東急渋谷駅『ビッグ8A』
Thinkings株式会社が各駅で実施した駅貼り広告が話題となりました。
この広告では、同社が運営する採用プラットフォーム「sonar」より、選考が解禁となった就活生に向けてエールを送ることがテーマ。就活生一人ひとりの個性や能力を、解像度高く理解する企業との出会いを願う、就活生に向けたメッセージ広告となっています。
今回の広告では、証明写真をビジュアルモチーフにしていることもあり、駅構内の証明写真機に最も近いスペースに掲出されています。
表参道駅
「証明写真機」近くに絞って広告を出している珍しいパターンとなっています。また、同社が運営する「sonar」はBtoB向けサービスですが、toC(一般消費者)に向けたメッセージ広告であることも面白いですよね。
2021年6月14日より、渋谷、表参道、日本橋などの駅を中心に計13駅にて掲載。掲載直後からSNS上では、意見と併せて多くの投稿が寄せられました。
大きな変化の中にある、仕事選びと採用。個人と企業の関係性が見直される中で、その最初の出会い方も見直されている。
— 寺口 浩大 🌐 ONE CAREER Inc. (@telinekd) June 17, 2021
いつも大きなうねりは個人から生まれていくから、はたらく人たちが自由を手にするために必要なことは何でもしたいし、アクションを起こす人たちのことはしっかり応援したい。 pic.twitter.com/6i8WflrUdd
この広告には「自分に本当に合う企業に出会ってほしい」という想いが込められています。解像度の低い「証明写真」は「ミスマッチ」の象徴。私も就活や転職で色んな企業に出会い、何度も喜んだし何度も落胆した。企業も個人も幸せになれるような真のマッチングに溢れる世の中にしていきたいと強く思う。 pic.twitter.com/vGGW0vvbuI
— Minako@週休3日の広報PR (@Minako3075) June 17, 2021
広告実施期間:2021年6月14日~20日(渋谷駅電飾看板のみ30日まで)
まとめ
2021年5月に話題となった面白い広告を紹介しました。
渋谷エリアをジャックしたにしたんクリニックの広告は、いまだかつて見た事がないような迫力で、渋谷を訪れた方に大きなインパクトを与えていました。掲載中、渋谷に行くたびに「♪たん、たん、にしたんクリニック!」のフレーズが頭から離れませんでした。
6月4日(ムシ)にちなんだアース製薬のAR広告は、インターネットとリアルを掛け合わせた面白い施策でした。“閲覧虫意”とかかれていながら見たい衝動を抑えられないこの広告。虫ケアと健康について考えさせられましたね。
Thinkings株式会社の駅貼り広告も、証明写真機の近くに絞って広告を出した面白いケースでした。メッセージを伝える手段はクリエイティブだけでなく、“場所”によってより受ける印象が異なることを感じた広告でした。
進撃の巨人の最終巻広告は、新聞、サイネージともに、読者には嬉しい広告施策だったように思います。サイネージ広告内でも読者への感謝を伝えるシーンがありましたが、読者に感謝している姿勢がものすごく伝わってきた施策だったように思います。
来月はどんな面白い広告が実施されるのか、楽しみですね。
今回ご紹介した広告以外にも、話題になった広告を以下の記事で紹介しているので、併せてご覧ください。
面白い広告まとめ | ネットでバズった話題の広告