経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2023年1月分の広告業売上高について解説します。
広告費全体では前年同月比99.0%とほぼ横ばい
全体の売上高としては4,086億円と、前年同月比で99.0%とほぼ横ばいで推移しています。
新型コロナウイルス感染症の流行や世界的インフレなどの影響を受けることが多かった広告費の数値ですが、前月同様、大きな変化は見られませんでした。
4マス全体は前年同月比95.8%。新聞が引き続きマイナスに。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,340億円。前年対比では95.8%となっています。
全体的にほぼ横ばいではありますが、新聞91.7%、雑誌97.3%と紙媒体の緩やかな減少傾向は続いています。ラジオのみが102.3%とプラスになり、引き続き安定した数値となりました。テレビも96.3%とほぼ横ばいに。今後も紙媒体の減少傾向は続くことが予想されます。
インターネット広告は104.0%と引き続きプラスを維持。
2020年10月から前年同月比でプラスが続いているインターネット広告。2023年1月は前年比104.0%となっており、若干のプラスとなりました。デジタルシフトにより、紙媒体の数値と反比例して順調なインターネット広告費ですが、今後もこの増加は続くとと思われます。
屋外広告は116.8%と大幅増加。その他のカテゴリーはほぼ横ばいに。
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると屋外広告が116.8%と大幅に増加となりました。海外広告のみ88.4%とやや減少しましたが、交通広告は97.3%、折込・DMは95.4%、SP・PR・催事企画は99.0%と全体的にほぼ横ばいとなりました。しかし、コロナ流行前までの水準には回復しきれておらず、今後も増減を繰り返していくのではないでしょうか。
コロナの影響を受ける前、2020年1月との比較
新型コロナウイルス感染症が流行する前の2020年1月と比較し、どこまでの回復が見られたのかを調べました。まず、広告費全体は76.6%で大きくマイナスとなっています。コロナ以前の数値までにはまだまだ回復できていないようです。
カテゴリー別に見ると、インターネット広告が138.5%と大きな成長を見せている中、紙媒体である雑誌も106.6%と盛り返しを見せています。しかし同じ紙媒体である新聞は81.0%と前月に引き続き、マイナスという結果になりました。
コロナの影響を受けやすい屋外広告や折込・DMもコロナ以前では回復しきれていない数値となりましたが、特に交通広告は57.5%と最も大きなマイナスとなりました。このカテゴリーの数値はしばらくマイナスが続くことが予想されます。
世界的インフレの影響を大きく受けると思われましたが、それ以上にオミクロン株による第8波やデジタルシフトの影響が大きかったように思います。2023年2月にはコロナ第8波がピークアウトとなるため、広告費の数値にも動きが見られるのではないでしょうか。今後も引き続き注視していきたいと思います。