アドクロ編集部がお届けするニュース解説。マーケティング関連で気になるニュースをピックアップし、担当者が詳しく解説します。
株式会社Faber Company(ファベルカンパニー)は生成AIを活用し、ヒートマップデータの解析・改善提案をする「ヒートマップ自動解析機能」β版をミエルカヒートマップに追加しました。
ミエルカヒートマップは、サイト上の行動を可視化し、ユーザー体験(UX)の向上を目指すツールです。ヒートマップ自動解析機能は、ヒートマップ画像をアップロードするだけで、ページのどこが注目されているかや離脱したポイントはどこか、どこがクリックされているかなどのデータを自動解析します。解析結果から導き出せるWEBページの改善案を説明文とともに提示してくれるので「自社のWEBページを改善したい」という企業さまにおすすめです。
本機能で使用している生成AIは、Faber Companyが長年蓄積してきたCRO(※「Conversion Rate Optimization」の略で、コンバージョン率最適化と訳されます)に関する専門知識を取り入れています。
プロの持つ知識や知見をAIに組み込むことで、自由に活用でき、誰でも素早くページを改善できるでしょう。
考察
SEO対策の中でも難しいとされるUXはAIの活用で最適化
コンテンツ作成におけるSEO対策では、検索キーワードを見出しやタイトルの中に入れたり上位記事の構成を参考にしたりするのが一般的ですが、あくまでコンテンツ内だけに関係するのでWEBページ自体の最適化まで至っていません。
さらにGoogleでは、「UXを意識したWEBページをユーザーに届ける」といった方針が決まっているので、同じ方針のサイトを作成したら、検索上位を獲得しやすいといえます。とはいえ、どの構成・デザインがユーザーにとって使いやすいか判断しにくいのではないでしょうか。
SEO記事であれば、キーワードを検索し、上位記事から想定読者やどのような悩みを持って検索しているか判断できますが、企業サイトではユーザーがどの部分を見ているのか、どこに注目しているのかという一貫性はありません。人の手だけヒートマップを解析すると、ユーザーは商品の性能や料金部分に注目すると判断できますが、その後にユーザーがどこに注目するかという解析は難しいかもしれません。サイトに項目がたくさんあり、注目されている部分を特定できないためです。
AIを使ったヒートマップ自動解析は、人の目では見逃してしまう離脱ポイントやクリックポイントなども可視化できるので、難しいといわれているUXの最適化が容易となるでしょう。
どこに注目してほしいかという追求を忘れずに
ヒートマップ自動解析は、これまで培った情報をもとに最適な提案をしてくれる非常に便利なツールといえます。しかし、解析結果に基づいて最適化すると、競合サイトとの差別化ができなくなり、独自性を失ってしまうかもしれません。
例えば「旅館紹介サイトの運営」では、ユーザーの行動と運営側の意図にしばしば差異が生じることがあります。サイトを訪れるユーザーは価格やプランといった具体的な情報に注目し、それらの項目が頻繁にクリックされる傾向があります。一方、運営側が最も伝えたいのは、旅館の特徴や魅力、宿泊客の体験など、より深い内容かもしれません。これら旅館の本質的な価値を表す情報ですが、ユーザーの即時的な関心を引きにくい場合があります。
サイト運営において、単にアクセス解析の結果に基づいてページを構築するだけでは不十分かもしれません。ユーザーの実用的なニーズを満たしつつ、いかにして運営側が重視する情報にも注目を集めるか、バランスの取れた戦略を考える必要があります。そして考えて構築したWEBページをもう一度、自動解析ツールに入れて確認するといったPDCAを回し続けると、見てほしい部分を担保しつつ、ユーザーフレンドリーなWEBページが完成するでしょう。
ヒートマップ自動解析で導き出された結果は、WEBページの最適化はもちろん「どうすれば理想的なWEBページにできるか」という視点で、構築・実践を繰り返すことが可能です。今後もAIは発達していく見込みですが「そのまま利用」ではなく「あくまで活用」という姿勢で対応していきたいですね。