スマートフォンやタブレット端末の急速な普及により、広告業界で年々需要が増加しつつあるWEB広告。テレビCMや新聞などのマス広告を見ない日はあっても、WEB広告を見ない日は無いという人も多いのではないでしょうか?
しかし、目にする機会はあってもその種類や仕組みの違いがわからないという方も多いかと思います。そこで今回は、WEB広告全般について、その種類や特徴、料金形態について徹底解説していきます。
ビズ男(初心者)
たしかに、SNSや動画サイトでもいろんなWEB広告が流れてきますね。
ビズ菜(ベテラン)
最近のWEB広告は、
今までテレビCMや街頭広告では見なかったような
新しいジャンルの広告が増えてきたような気がします。
アドクロ先生
スマホやタブレットの普及でネット人口が急速に増え、
それに伴いWEB広告を上手く活用する企業が増加したということですね。
WEB広告とは?
WEB広告とは、インターネット上に掲載される広告のことで、検索エンジン、SNS、スマホアプリ、動画サイト、ブログ、メールなど、さまざまな媒体に掲載されています。
インターネットでの閲覧履歴やログイン情報などのあらゆるデータを分析して、ユーザーに応じた適切な広告を表示させることが可能であり、効率的に商品やサービスを宣伝することができるという特徴があります。
WEB広告業界の状況、市場規模
今までの日本の広告は、テレビCMや新聞や雑誌などが主流でしたが、近年はパソコン、タブレット、スマートフォンなどの普及により、多くの企業が徐々にWEB広告にシフトしてきています。また、低コストでありながら効率的にWEB広告を配信できる仕組みも開発され、予算が少ない中小企業でも広告を掲載できるようになりました。
そういった背景から、WEB広告費は6年連続で2桁成長を続けており、2019年のWEB広告の広告投資額は2兆円を超え、遂にテレビ広告の金額を上回りました。技術の進歩により、現在も新たな広告の開発に力を入れているので、WEB広告業界はまだまだ成長すると予想されています。
ビズ菜(ベテラン)
低コストということは、
予算が少ない中小企業でも
広告を掲載することができますよね。
アドクロ先生
その通りです。企業数で言うと日本の企業の99.7%が中小企業なので
中小企業が広告費を投じやすい点はWEB広告が成長した大きな要因のひとつと考えられますね。
WEB広告のメリット
WEB広告のメリットとして以下の4つが挙げられます。
- 低コストで出稿できる
- 細かいターゲティングで効率的なユーザーへのアプローチが可能
- 行動を数値化することができるので、改善しやすい
- 即効性がある
詳しく解説していきます。
低コストで出稿できる
WEB広告は、クリック課金など成果に応じて課金される料金形態が多いため、少ない予算で広告を掲載することができます。
雑誌広告やフリーペーパー広告は「1回〇枠30万円」といった枠ごとの料金体系が多いですが、WEB広告は1クリック〇円といった成果報酬型の料金体系のため、予め上限を設定しておくことで決まった予算内で運用、広告を出す事が出来ます。
細かいターゲティングで効率的なユーザーへのアプローチが可能
閲覧履歴やログイン情報などあらゆるデータを分析して、ユーザーに応じた適切なWEB広告を表示させることが可能であり、効率的に商品やサービスを宣伝することができます。
性別・年代はもちろん、行動履歴や過去に閲覧したページの特性、特徴等に合わせて広告を出し分ける事が出来ます。
行動を数値化することができるので、改善しやすい
WEB広告は、広告表示回数・クリック数・購入率・獲得単価・ページ離脱率など、ユーザーのあらゆる行動を数値化・可視化できるので、分析や効果測定がしやすいと言えます。
即効性がある
WEB広告は、運用開始から成果に繋がるまでのスピードが早く、運用中のデータを分析し改善した後も、短期間で効果を確認することができます。
WEB広告のデメリット
WEB広告のデメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 想定よりも広告費がかかる可能性がある
- 専門知識が必要で新規開拓が難しい
- ユーザーに不信感・嫌悪感を抱かれる可能性がある
詳しく解説していきます。
想定よりも広告費がかかる可能性がある
WEB広告掲出にかかる費用は、クリック単価やインプレッション単価などによって決まります。そのため、競合が多いキーワードやサイトに広告を出す場合、クリック単価が高騰することがあり、想定よりも広告費がかかってしまう場合があります。
専門知識が必要で新規開拓が難しい
WEB広告はユーザーが検索したキーワードや、ユーザーが閲覧したサイトなどの情報をもとに表示されるよう設定します。WEB広告の広告効果を最大限発揮させるには、適切なキーワード設定やターゲティング、効果測定などが必要になるため、専門知識やノウハウが必要になります。 また、WEB広告は主に商品・サービスに興味を持ちそうなユーザーにターゲットを絞ってアプローチするため、新規開拓が難しいというデメリットがあります。
ユーザーに不信感・嫌悪感を抱かれる可能性がある
ユーザーが同じ広告を何度も見ることになると、広告に対する感受性が低下し、不信感や嫌悪感を抱くようになる場合があります。
WEB広告の種類と特徴、相場観
WEB広告の代表的なものとして、リスティング広告やディスプレイ広告、アフィリエイト広告、バナー広告などが挙げられ、それぞれ特徴やユーザーへのアプローチの仕方、相場などが異なります。WEB広告の種類や特徴、相場観などについて解説します。
リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索した際、検索結果のページ内に表示されるWEB広告のことを指します。自然検索1位のサイトよりも上に表示されていて、【広告】と書かれているものがリスティング広告にあたります。
検索したキーワードに応じたWEB広告が表示されるため、その広告に対しての興味・関心度が高く、集客や購入に繋がりやすいという特徴があります。
一方、特定のキーワードを検索しなければ表示されないので、商品やサービスの存在を知らない「潜在顧客」に対してはアプローチできません。また、シーズンやトレンドの変化に応じてこまめに修正していく必要があるので、運用には手間や専門知識が必要になります。
リスティング広告の課金形態は、広告をクリックされた回数によって費用が発生する「クリック課金」です。
クリック単価は各広告主が自由に決めることができますが、単価が高い広告主の方が表示回数が多い傾向にあるため、あまり相場より安く設定すると表示されない可能性があります。1クリックあたりの相場は、商品やサービスや市場規模によって大きく異なりますが、数十円〜数百円、中には数千円のものもあります。そのため、同じクリック数でも相場が高い商品ほど多くの予算が必要になってきます。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、WEBサイトやアプリなどの広告枠に表示される画像や動画やテキスト形式のWEB広告のことを指します。リスティング広告と混同されがちですが、リスティング広告は検索結果画面、ディスプレイ広告は広告枠に表示されるという違いがあります。
ディスプレイ広告は、年齢・性別・地域・インターネットでの閲覧履歴などからターゲティングできるのが特徴で、リスティング広告ではアプローチできない「潜在顧客」に対してのアプローチも可能なWEB広告です。画像や動画を使用することで、ユーザーの目に止まりやすいのもメリットのひとつです。
幅広いサイトで広告が掲載できるので認知度の拡大には非常に有効ですが、リスティング広告に比べるとユーザーの関心は薄い可能性が高いため、コンバージョン率(最終的な成果)は低くなる傾向があります。
料金形態はリスティング広告と同じ「クリック課金」が主流ですが、広告の表示回数に応じて課金される「インプレッション課金」を採用しているものもあります。インプレッション課金の相場は数十円〜数百円程度です。
リターゲティング広告(リマーケティング広告)
Yahoo!では「リターゲティング」、Googleでは「リマーケティング」と呼ばれています。
過去に1回でも自社サイトを訪問したことがあるユーザーに対して、その後も継続的に自社広告を表示されるWEB広告です。広告をクリックしたものの、成果(購入や入会など)に至らず離脱するユーザーは9割以上と言われています。そのため、自社サイトを訪れたことがあるユーザーを追跡して再度自社サイトへ誘導し成果に繋げることを目的としています。
「Cookie」というシステムによって、サイトの訪問履歴やログイン情報などのデータを保存することで、ユーザーを識別して追跡しています。再訪問したユーザーは興味関心度が高いので、コンバージョン率が高くなりやすいと言えます。しかし、ユーザー目線で考えると何度も同じ広告が表示されるので、「しつこい」「鬱陶しい」と不快に感じられるケースも多く、やりすぎには注意が必要なWEB広告とも言えます。
料金形態は、クリック課金制とインプレッション課金制の2種類となっています。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、「アフィリエイター」と呼ばれる人たちのブログやWEBサイトで、自社の商品やサービスの紹介をしてもらう形のWEB広告です。広告主とアフィリエイターとの仲介役になる「アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)」というサービスを通じて、出稿を依頼します。
購入・入会・資料請求などの成果に繋がった場合に初めて費用が発生する「成果報酬型」の料金形態となるので、他のWEB広告に比べて費用対効果が高い特徴があります。
アフィリエイト広告は、アフィリエイターが自分の紹介しやすい商品や報酬内容によって掲載する広告を選ぶため、必ず掲載されるという保証はありません。また、アフィリエイターに対しては成功報酬型ですが、ASPに対しては初期費用(0〜5万円程度)と月額料金(3〜5万円程度)が必要になるので、万が一広告が掲載されなかった場合でもASPへの費用は発生してしまいます。
アフィリエイターへの成果報酬の相場は、商品やサービスによって異なります。成果1件あたり数百円〜数千円程度ですが、この金額は広告主が自由に決めることができます。
また、アフィリエイターが成果に至った場合、ASPにも手数料を支払う必要があり、手数料はだいたいどのASPも成果報酬の20~30%となっています。
DSP広告
DSPとは「デマンド・サイド・プラットフォーム」の略で、直訳すると「需要側のプラットフォーム」、つまり、広告主側の広告効果を最大化するためのプラットフォームという意味です。DSP広告とはディスプレイ広告の運用方法のうちのひとつで、このDSPを使って掲載するWEB広告のことを指し、SSP(サプライ・サイド・プラットフォーム/媒体側の収益を最大化するためのプラットフォーム)と常に連携して掲載されています。
このWEB広告の仕組みは、
①ユーザーが広告枠のあるWEBサイトを閲覧(=インプレッション)
②SSPにユーザー情報や広告リクエストが送信される
③SSPが各DSPに入札リクエストを送信し、オークションを行う
④各DSPがSSPに入札額を送信
⑤SSPが最高入札額のDPSを選定
⑥ユーザーが閲覧しているWEBサイトに広告が掲載される
という流れで広告が掲載されており、この一連の流れを「RTB(リアルタイムビッディング)」と言います。上記のようにオークション形式になるので、相場はさまざまです。
DPS広告は、Cookie情報を用いてセグメント分けを行い、特定のユーザーに対して広告を配信することができます。しかし、広告主はどこの媒体に掲載されたかを把握することができないため、今後の運用改善のためのデータを得ることができないという特徴があります。
DSP広告の利用には広告費以外にも初期費用と手数料が必要で、最低契約期間や最低出稿金額が設定されている会社もあります。
SNS広告
SNS広告とは、その名の通り、Twitter・Instagram・Facebook・LINE・TikTokなどのSNSに掲載されるWEB広告です。各SNSの登録時に入力する年齢・性別・地域・職業・趣味などの個人情報や、いいねした投稿、閲覧した画像や再生した動画、フォローしているアカウントなど、膨大な量のユーザー情報が蓄積されているため、細かくターゲティングができるという特徴があります。また、多くのユーザーに対して広告を配信できるため、潜在顧客へのアプローチも可能となります。
それぞれ拡散力が強いメディアなので、他の人にシェアしたいと思わせられるような内容であれば効率的に成果に繋げられますが、逆に「炎上」という悪い意味で拡散する場合もあるので、広告のデザインや文章には注意が必要です。
料金形態は各SNSごとに異なり、クリック課金、インプレッション課金、アプリインストール課金、フォロワー課金、動画再生課金などがあり、相場は1成果あたり数十円〜数百円程度が多いです。
バナー広告
「バナー」とは「旗印、横断幕、のぼり」という意味で、WEBサイト上で画像や動画を用いて掲載されているWEB広告のことをバナー広告と呼び、ディスプレイ広告のうちのひとつです。バナー広告には広告枠を買い取って掲載する「純広告型」と、閲覧しているユーザーに応じた広告を表示させる「運用型」の2種類があります。
料金形態は、一定期間その広告枠を買い取る「期間保証型」と、クリック課金、インプレッション課金、成果報酬型があります。期間保証型の相場は、サイズが小さく画面下部の位置であれば月数万円程度、サイズが大きく画面上部や目立つ位置であれば月数十万〜100万円程度のものもあります。
記事広告
記事広告とは、ポータルサイトやブロガーやインフルエンサーなどの既存のWEBサイト内で、宣伝用の記事を掲載してもらうWEB広告のことを指し、「タイアップ広告」とも呼ばれます。
媒体(ブロガーやインフルエンサー)のブランド力を利用することで、信頼度や信憑性が上がり、商品やサービスの認知度を一気に広げることができます。また、各媒体には特定の層の読者やファンが存在するため、ターゲットを絞って宣伝することが可能です。
取材や写真撮影など、制作側の手間がかかることや、高い効果が期待されるため、価格はやや高めとなっています。相場は100万〜200万円が多いようですが、依頼する相手によっては数百万円以上必要になる場合もあります。
メール広告
メール広告とは、メールで配信されるWEB広告です。
ユーザー自身が登録しているメールマガジンなので、自社の存在を既に知っていて関心度も高いため、成果に繋がりやすい傾向があります。配信までの期間が短いのも特徴です。メール広告の多くは会員情報に紐づいてセグメントが行えるため、チラシ折込やポスティングよりもよりターゲットの絞り込みが可能となっています。
料金は1通3円~の場合は多く、配信先の絞り込み項目1つにつき+〇円といった課金モデルとなっています。
また、メルマガの1部として送るだけでなく、1社単独のメールを送る事も可能。URL等を付けて、自社サービスページへ誘導することも可能なため、特にWEBサイト上でサービス申し込みが完結するサービスにはお勧めです。
ビズ男(初心者)
WEB広告ってこんなにたくさん種類があるんですね!
ビズ菜(ベテラン)
「低コストだから」という理由だけで始めるのではなく
それぞれのWEB広告のメリット・デメリットを理解して自社の商品やサービスに合った方法を選ばないといけませんね。
アドクロ先生
WEB広告は、日々細かい分析や改善をするために専門的な知識も必要になってきます。
正しく運用しないとなかなか成果は得られませんが、
それぞれ上手く使い分けて活用すると大きな広告効果が得られますよ。
WEB広告の課金形態
クリック課金
広告をクリックするごとに費用が発生します。SNS広告やリスティング広告に多く、WEB広告の中でも最も主流な課金形態です。
インプレッション課金
広告が表示されるごとに費用が発生します。1,000回を一つの単位とする事が多く、その場合はCPM(Cost Per Mille)という言葉が使われます。Milleはラテン語で「1,000」という意味があります。
エンゲージメント課金
SNS上で、ユーザーがいいね・シェア・フォロー・画像やURLのクリックなどの行動を起こした場合に費用が発生します。
成果報酬課金
購入や会員登録など、コンバージョン(成果)に至った場合に費用が発生し、アフィリエイト広告に多い料金形態です。
配信数課金
メール広告に多く、一定期間の広告の配信数を保証されている料金形態です。
期間保証型
純広告に多い料金形態です。一定期間の特定の広告枠を買い取ることで、その期間内のWEB広告の掲載が保証されます。
視聴課金
広告掲載期間は決まっておらず、契約した表示回数に到達するまで掲載され続けます。動画広告などでよく採用される課金形態です。
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まとめ
今回は、年々需要が増加しているWEB広告について解説しました。WEB広告はとにかく種類が豊富なので、それぞれの特徴を把握して、自身に適した広告を選ぶことが重要となってきます。
また、ユーザーの行動履歴を追いやすく、数値で広告の成果を分析できるため、効果測定がしやすいため、PDCAを回しやすい点もポイントとなります。少額スタートが可能なWEB広告。まだトライしたことが無い方は、是非1度検討してみてくださいね。