新幹線は、北海道から九州まで、全国各地で開通が進んでおり、2022年には九州新幹線の西九州ルートが開通予定、リニア新幹線も2027年の開通を目指して建設が進められています。また、1日の平均利用者数は東海道・山陽新幹線で約66万人にも及び、日々多くの人々が利用する交通機関です。新幹線は利用者が多いだけではなく、利用者の大半がビジネスパーソンである、という特徴を持っています。電車・バスや、同じ長距離移動で利用する飛行機など、他の交通機関と比べてもビジネスパーソンの利用率が際立っています。そういった意味で、新幹線広告はビジネスパーソンをターゲットとした広告を展開する際には最適の広告媒体です。
そんな他の交通機関にはない利用客層を持っている新幹線広告について、その種類や特徴などについて詳しく解説していきます。
新幹線広告とは?
新幹線広告は新幹線内にて掲出するものと、駅構内で掲出するものの大きく2つに分けられます。新幹線の車内には通常の電車内と同じような壁貼りのポスターの他に、電光表示板に文字だけ出す広告枠や、グリーン車の利用客を狙ったものなどもあります。いずれの新幹線広告も、電車に比べて車内で掲出されている広告の数が少ないので、利用客からの注目度はその分高くなっています。また、他の交通機関に比べて乗車時間が長く、何時間にも及ぶことが多いので、乗客に接触される可能性が高いのも特徴です。
また、新幹線の駅構内に掲出する新幹線広告に関しても、在来線とは違った特徴があります。新幹線のホームや駅構内は在来線より長く、空間としても広いことが多いので、駅構内での新幹線広告はダイナミックな広告展開をすることも可能です。
新幹線内広告の種類と特徴
それでは、実際に新幹線の車内で出稿することができる新幹線広告の種類について紹介していきます。
新幹線ボード(通常・ライト・グリーン)
車両内、客席に掲出されるポスタータイプの新幹線広告で、掲載される車両や位置によって3種類のタイプがあります。1つ目は通常の「新幹線ボード」で普通車両の全車両・3列席側に掲出されます。2つ目はグリーン車に掲出されるタイプで、グリーン車を利用する経営層や富裕層を狙った広告展開をする際には最適な広告枠です。3つ目は「ライト」と呼ばれる枠で、普通車両の2列席側に掲出され、偶数車両もしくは奇数車両のどちらかに掲出することができます。「ライト」は通常の「新幹線ボード」に比べると掲載数は少なくなりますが、その分安価なのでコストパフォーマンスが高い広告枠です。
いずれも乗客が座る前方に掲出されるため注目度が高く、車両移動の際にも目にすることができ、乗客の接触頻度も高い新幹線広告になります。
電光文字広告
車両前方に設置されている電光表示板に文字を表示するタイプの新幹線広告です。JRからのお知らせなどと一緒に64文字のメッセージを流すことができ、文字の色も6種類から選ぶことができます。文字情報だけではありますが、誰もが目にする電光表示板に流れるため、乗客に対して高い広告効果を見込むことができる新幹線広告です。
デッキ広告
新幹線の乗車口付近のデッキに掲出されるポスタータイプの新幹線広告です。乗客が新幹線を乗り降りする際や、車両を移動する際に目に付く位置に掲出されるため、新幹線ボードと同様、多くの乗客に対して訴求することができる新幹線広告になります。
おしぼり広告
グリーン車で配られるおしぼりの裏面に掲出することができる新幹線広告です。グリーン席利用客に対してアプローチすることができるため、ビジネスパーソンの中でも役職者や、高所得層に向けた商材やサービスを訴求する際に効果的な新幹線広告です。
新幹線搭載誌
グリーン車の各席前面の座席ポケットに各路線特有の雑誌が入っているケースが多くあり、そうした雑誌内に広告を掲載することもできます。
たとえば、東海道・山陽新幹線には『Wedge』、『ひととき』といった雑誌が搭載されています。長い移動時間の合間でこうした雑誌に目を通す経営層や高所得層の乗客も多く、グリーン車利用客に効率的にアプローチできる新幹線広告のひとつです。
新幹線駅広告の種類と特徴
新幹線の駅構内にも車内同様、様々な種類の広告枠が用意されています。新幹線の駅構内に掲出される新幹線広告の種類と特徴について解説していきます。
新幹線駅セットパネル
改札前などに設置された広告枠です。大型パネルによるインパクトある広告露出が可能で、乗車前や乗車後の乗客に対してアプローチできる新幹線広告です。
新幹線駅ポスターセット
新幹線駅構内の階段などに掲出できるポスタータイプの新幹線広告です。こちらも新幹線乗客への接触率が高い広告枠で、新幹線車内の広告と合わせて掲出することで相乗効果を生み出すこともできます。
ホームドアシート
駅ホームに設置されているホームドアのうち、グリーン車の乗車位置付近のホームドアに掲出されるシートタイプの新幹線広告です。ターゲットをグリーン車利用客に絞って効果的に訴求することができる新幹線広告になります。
臨時集中貼り(特設パネル)
新幹線の主要駅のホームに向かう階段やエスカレーター周辺に掲出されるポスタータイプの新幹線広告です。ビジネスパーソンを中心とした新幹線利用客に対して短期集中的に訴求することができます。駅を選択して掲出することや、複数の駅で同時に展開することもできるため、多くの新幹線利用客にアプローチすることができる新幹線広告です。
サインボード
新幹線駅構内のホームやコンコースなどに設置された様々なサインボードに掲出するタイプの新幹線広告です。ホームに向かうコンコースや階段の壁面、ホームの壁面など新幹線利用客に様々な場所で接点を持つことができます。ビジネスパーソン向けの広告を始め、その土地を訪れた乗客向けに地場産業や名産品などの広告を掲出する際にも効果が見込める新幹線広告です。
スカイメディア品川
新幹線品川駅の改札口正面、高輪口と港南口をつなぐコンコース上に掲出される巨大バナー広告です。品川駅にはオフィスビルが集中し、多くのビジネスパーソンが利用する駅でもあるので、新幹線の利用客以外のビジネスパーソンにも注目される新幹線広告になります。
新横浜 交通広場SPメディア
新横浜駅のメインエリアとなる交通広場にて展開する新幹線広告です。大型バナーやアドピラー、臨時集中貼りなどの広告枠が用意されており、複数のメディアを合わせて活用することで駅全体を活用したダイナミックな広告展開をすることも可能です。
新幹線広告のメリット
新幹線は利用者のデモグラフィック属性に特徴があり、新幹線広告には他の交通広告にはないメリットがいくつもあります。ここでは新幹線広告のメリットについて3つ紹介していきたいと思います。
圧倒的なビジネスパーソンの利用率
出典:JR西日本コミュニケーションズ JR西日本交通広告データブック-新幹線データ
東海道新幹線の利用者を見てみると、意外にも旅行を目的とした新幹線利用者は全体の約1割程度に過ぎず、出張やビジネス目的で利用する人が7割近くにもなります。
職業別に見てみると、実に全体の8割近くがビジネスパーソンになっており、ここまで日々、多くのビジネスパーソンに利用される交通機関は他にはありません。そのため、他の広告媒体に比べてBtoB向けの広告を出稿するには格段に効果的なのが新幹線広告です。
出典:JR西日本コミュニケーションズ JR西日本交通広告データブック-新幹線データ
また、ビジネスパーソンの役職別に見てみると、5割ほどが課長クラス以上になっており、グリーン車に限ると7割以上が課長以上の役職者になっています。
そのため、利用者の多くが決定権者であることが多く、ITシステムなどの導入を検討できる経営層や役職者に向けて商品やサービスの認知率向上を図るなど、対ビジネスパーソンに向けて活用するには最適な広告媒体です。
富裕層への訴求
出典:JR西日本コミュニケーションズ JR西日本交通広告データブック-新幹線データ
新幹線利用者を所得別に見てみると、約3人に1人が世帯年収1,000万円を超え、約4人に1人が所有資産3,000万円を超える層になります。グリーン車に限ると、約5割が年収1,000万円以上、40%近くが所有資産3,000万円以上となり、高所得者層の割合も跳ね上がります。こうした層は会社でも経営層であることが多いため、BtoB向けの広告が有効であることに加え、富裕層向けの商品やサービスを訴求する際には新幹線広告が効果的だといえます。新幹線広告の中には、グリーン車利用客にターゲットを絞って訴求できる広告枠が数多く用意されているので、富裕層に対してコストパフォーマンス高く効率的にアプローチすることも可能です。
希少性の高い広告枠
新幹線の車内や駅構内は、通常の駅や車両に比べて広告の枠が少ないのが特徴的です。在来線の電車内にあるサイネージや中吊りなどが新幹線車内にはないため、その分新幹線広告は希少性が高く、注目度も高くなります。
数が少ない広告枠を効果的に活用するため、駅構内と新幹線車内を合わせて展開するケースも見られます。乗車前、乗車中、乗車後それぞれに広告への接触ポイントを作ることで、ビジネスパーソン中心に効果的に広告効果を刷り込むことができます。
新幹線広告は広告枠が他の交通広告に比べて少ないことに加え、ビジネスパーソンに効率的にアプローチできるため、目立つ掲載箇所の新幹線広告を長期契約する企業も多く、空きがなかなか出ない媒体でもあります。
新幹線広告の事例
新幹線広告はビジネスパーソンをターゲットとした広告を出稿するには効果的な媒体であることを紹介しましたが、帰省や上京する際に利用する乗客も多いため、リクルート対策にも効果的という一面もあります。
ここではリクルート広告として新幹線広告を効果的に生かしたフラー株式会社の事例について紹介していきます。
出典:フラー、上越新幹線と新潟ローカルCM等で採用広告を展開
フラー株式会社は2011年に茨城県つくば市で創業したIT企業です。フラーでは、新型コロナウィルスの感染拡大に伴って働き方が大きく変わってきた中で、2020年11月に登記上の本店を創業者の出身地である新潟に移し、柏の葉本社と新潟本社の二本社体制を構築しました。それに伴い、2021年1月の1ヶ月間、主に新潟出身者をターゲットとしたリクルート広告を上越新幹線にて展開しました。
新潟で働くことを訴求したクリエイティブを掲出し、新潟への帰省の行き帰りで多くの人が利用するタイミングで上越新幹線にて新幹線広告を実施しました。
フラーでは2020年1月にも同様のリクルート向けの新幹線広告を実施しており、その広告を見て入社を決めたデザイナーが2021年の広告ビジュアルのデザインを担当したというストーリーもあったようです。新幹線で帰省する際にポスター広告を見たのが社名を明確に認識するきっかけになったそうで、ここからも新幹線広告の高い広告効果をうかがい知ることができます。
地方出身者にとっては帰省する際に費用がかかってしまう飛行機より、安価な新幹線の方が利用する機会が多く、そうした新幹線ユーザーの特徴をうまく利用した新幹線広告の事例です。東京や大阪などの都市圏から移動する乗客に向けて、各地域に根ざした企業が効果的にアプローチできる点も新幹線広告ならではの特徴といえるでしょう。
まとめ
新幹線というと飛行機と並んで長距離移動できる交通機関というイメージしかない人も多いと思いますが、利用者の圧倒的多数がビジネスパーソンという他の交通機関と比べても抜きん出た特徴が明らかになったと思います。
特にビジネスパーソンの中でも経営層や決裁権を持つ役職者も多く利用しており、そういった層をターゲットとして訴求できる広告媒体は他にはなかなかありません。また、グリーン車に限ると乗客の多くが高所得層のため、富裕層向けの商品やサービスを広告する際には絶好の媒体です。
一方、新幹線広告には広告の枠が少ないということもありますが、長期で契約している企業も多いため空きがなかなか出ないという一面もあります。ここからも新幹線広告の人気の高さがうかがえます。
ビジネスパーソンに向けたBtoB広告や富裕層向けの広告を検討されている場合は、新幹線広告への出稿を選択肢のひとつとして検討してみるのはいかがでしょうか。
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首都圏の駅、電車広告をほぼ全て網羅した交通広告料金表もございます。併せてご覧ください。>2021年度版 交通広告料金表