「F2層」は古くから広告業界などで使用されてきた言葉で、「35歳~49歳の女性」を指すマーケティング用語です。広告やマーケティングにおいては、性別や年齢でターゲットの大まかな特徴を踏まえ、あわせたプロモーションを行うのが重要とされてきました。しかし、結婚や出産などを経験する世代のF2層は人によって生き方が異なり、興味の対象もさまざまです。そのため、最近の広告業界では、性別や年齢でひとくくりにしてしまう考え方はマーケティングにおいて不十分だとする意見もあります。今回は、広告やマーケティングにおいて使用される用語「F2層」について解説します。
F2層とは?
「F2層」は性別や年齢によって分けられたターゲットの区分を表す言葉。性別や年齢ごとの特徴を踏まえた商品開発やプロモーションを行うために、広告業界やマーケティング業界で使用されてきました。具体的には、「F」は性別の「女性(Female)」、「2」は年齢の「35歳〜49歳」を意味します。つまり、F2層は「35歳~49歳の女性」を指したマーケティング用語です。他にも、広告業界では「男性(Male)」を「M」、「子供(Child)」を「C」とした区分が使用されてきました。近年は少子高齢化の影響で若手世代の人口が減少しており、30代後半~40代の女性の人口は、20代~30代の女性より多くなっています。総務省統計局の調査によると、2021年4月時点の日本人総人口は1億2541万人。総人口の内、「F2層」にあたる35歳~49歳の女性人口は1,251万人です。そして、「F1層」の人口は931万人、20歳~34歳の男性を指す「M1層」の人口は987万人でした。若手と比較して人口が多いF2層は広告やマーケティングにおいて重要なポジションともいえます。
F2層の特徴
社会に出始めたばかりの「F1層」や、子育ても一段落する50歳以上の女性「F3層」と比べると、F2層は最もライフスタイルに変化が訪れる世代です。そんな彼女たちへ向けて広告を打つ場合、30代後半~40代女性の考え方や悩みを理解してメッセージを考える必要があります。ここでは、具体的なF2層の特徴を3つ紹介します。
F1層よりも高額消費が活発
F2層の特徴1つめは、高額な消費が活発になる点です。若手でまだ経済力に乏しいF1層と比較すると、働くF2層は会社でもある程度のポジションを獲得し、収入にも余裕が増えてくる世代。未婚女性であれば、さらなる昇進を目指して資格取得や講座へ通うなどの自己投資が活発になります。また、資産運用を始めたり自宅の購入を検討したりと、将来への備えをする女性も増えていきます。また、既婚女性であれば、新しい家族が増える年代でもあります。家族が増えたことでマイホームを検討したり、子供を習い事に通わせたりと家族への消費が活発になります。働いている既婚者であれば、仕事と育児の両立を叶えるための時短商品に興味を持つことも。専業主婦の場合でも、ある程度家庭での決裁権を握っている場合が多いです。
子育てに励む時期
F2層の特徴2つめは、子育て期にいる人が多い点です。近年は特に晩婚化が進んでおり、30代~40代にかけて妊娠や出産を経験する女性が増えています。そのため、30代~40代にかけてはフルタイムでの労働ではなく、時短勤務や育休を利用する女性が多いと言われています。
厚生労働省が発表している「令和元年版働く女性の実情」を見ると、30歳~40歳の女性の労働率が一度落ち込んでいます。調査結果からも、F2層にあたる30代後半~40代の女性は家事や育児に専念している人が多いのがわかります。
悩みが多い世代
F2層の特徴3つめは、悩みを抱える人が多い点です。人によってさまざまなライフステージにいるF2層ですが、将来への不安が高まる時期である点は共通しています。未婚女性であれば、悩みは結婚や老後についてなど。婚活サービスに登録したり将来に備えて資産運用を検討したりと行動を起こす人が増えます。働いている既婚女性であれば、悩みは仕事と家庭の両立。近年は働き方改革が叫ばれ、リモートワークや時短勤務などの制度を導入する企業も増えてきました。しかし、育児をする女性にとっては、昇進やキャリアアップしたいと考えていてもキャリアを描きにくい点は昔より変わっていません。また、F2層のなかには子育てに加えて親の介護が重なる人もいます。なお、30代後半~40代は女性にとって身体にも変化が訪れる時期。更年期による不調が増え、男性よりも早く健康状態を気にし始める女性が多いです。美容グッズでは、エイジングケアに関連した商品に興味を持ち始めます。