ジオターゲティング広告はスマートフォンなどの通信機器と位置情報サービスを利用した広告手法です。スマートフォンや通信機器を利用し、消費者の行動履歴などのデータを参照するため、非常に精度の高いターゲティングが可能となっています。
例えば、渋谷周辺を歩いている方に近隣居酒屋のクーポンを表示させたり、品川駅の利用者向けに、ビジネス雑誌の広告や宣伝を配信したりなど、属性やエリア特徴に合わせて高い精度でのターゲティングを行えるので、高い費用対効果を期待できます。
ジオターゲティング広告とは
ジオターゲティング広告とは、スマートフォンなどのモバイルデバイスと、Wi-FiやBluetooth、GPSなどの位置情報サービスを利用した広告サービスです。
特定の店舗、駅への訪問履歴や、特定エリアの居住者など、利用する位置情報サービスによって得られる情報の深度が違うため、自社の商品・サービスに必要なデータを収集できる広告サービスを選ぶことが重要です。
商圏内の消費者への認知度拡大や、実店舗への訪問履歴から新規顧客・リピーター獲得、来店した消費者へのクーポン配布など様々な用途でジオターゲティング広告は利用されています。
ビズ男(初心者)
ジオターゲティング広告?ジオって「地理」とか「土地」って意味のあのジオですか?
あまり聞かない広告手法ですね。
アドクロ先生
比較的新しい広告手法なので広く一般には知られていないかもしれませんね。
ビズ男さんも知らないうちにスマホでジオターゲティング広告を受け取っていると思いますよ。
ビズ男(初心者)
そうなんですね!「これはジオターゲティング広告」って表示されていれば分かりますけど、見分けがつかないです(笑)
スマートフォンの履歴や位置情報機能とかを利用して広告配信を行うということですか?
アドクロ先生
そうですね。取得した位置情報データを基に、エリアに即したターゲティングを行い広告を出稿する、というイメージです。
ターゲティングしたいエリア規模によってはWi-FiやBluetoothなどの無線通信を利用する広告もあります。
ジオターゲティング広告の仕組みと種類
ジオターゲティング広告は、スマートフォンやPCなどの端末と位置情報サービスを利用した広告手法。位置情報サービスとの通信がオンになっているモバイル端末を通して消費者の位置情報を取得、現在の位置や過去の行動履歴などの詳細なデータを参照することで効果的な広告出稿が可能です。
ジオターゲティング広告は主にWi-Fi、Bluetooth、GPSといった位置情報サービスを利用した広告手法を指しますが、利用する位置情報サービスによってその特徴は大きく異なります。
Wi-Fiを利用したジオターゲティング広告
Wi-Fiとは親機であるWi-FiルーターにスマートフォンやPCなどのモバイル端末を無線接続することでインターネットへの接続を可能にする機能を指します。 最近では公共の施設、バス停や駅、カフェやスーパーマーケットなど大型施設には無料で接続可能な無料Wi-Fiが多く設置されています。
ジオターゲティング広告ではこの無料で開放されているWi-Fiルーターへの接続履歴を元にターゲットとなる消費者を選定、広告出稿を行うことが可能です。 Wi-Fiの接続履歴を参照するジオターゲティング広告では消費者の指定エリアへの訪問回数や、行動エリアの絞り込みが可能なため、地域密着型の商店などで非常に高い広告効果が期待できます。
ビズ男(初心者)
確かに最近ではどこに行っても無料Wi-Fiが設置されていますよね。
まさかいつも使っている無料Wi-Fiから広告のターゲティングが可能になるとは思ってもみませんでした。
アドクロ先生
Wi-Fiから参照できる位置情報は購買行動と非常に密接な関係のある情報なんですよ。
消費者の行動範囲やよく利用する商店、居住地など広告のターゲティングに重要な要素が位置情報には詰まっています。
ビズ菜(ベテラン)
行動範囲がわかれば自社のサービスの見込み客になるかどうかも判断がつきやすいですよね。
Wi-Fiは10~100mは通信可能と言われ、非常に高い精度で位置情報履歴を把握することができるようです。
Bluetoothを利用したジオターゲティング広告
BluetoothはスマートフォンやPCなどのモバイル端末とデバイスを無線で接続する機能です。通信範囲はWi-Fiに比べると狭いですが、接続している通信機器がどの方向にあるかを正確に把握できるなど細かい位置情報の特定が可能です。
商店などではこのBluetoothの機能を利用した『beacon』が急速に普及していると言われています。店舗に小型のBluetooth発信機『beacon』を設置することで、近くの通行人や来店した消費者のモバイル端末へ接続、クーポンやセール情報などのジオターゲティング広告を直接配信することが可能になります。
Wi-Fiを利用したジオターゲティング広告と比べると事前の調査やデータに基づいたターゲティングが不要で、直接見込み客となり得る消費者にリアルタイムな広告配信ができるため、多くの人通りが期待できる立地の小売店などでは非常に高い効果が期待できます。
ビズ男(初心者)
Bluetoothってイヤホンやマイクを無線接続するときに使用する無線通信ですよね?
ずっと自分の端末と周辺機器を接続するためのものだと思っていました。
アドクロ先生
確かにBluetoothは通信範囲が狭く周辺機器などとの接続に適している無線通信です。
接続されている機器の距離や方角なども把握できるため小さい範囲での位置情報の把握が効果的なシーンで利用されています。
ビズ菜(ベテラン)
有名なところだとLINEにもBluetoothを使ったLINE Beaconという機能があります。
LINE Beaconの設定をオンにしていればクーポンなどを配信している店舗に近づいただけで自動で情報が受け取れる優れものです。
GPSを利用したジオターゲティング広告
GPSはグローバル・ポジショニング・システムの略で人工衛星を利用した位置情報測定システムを指します。現在では数多くの人工衛星が地球の軌道上に打ち上げられており、高い精度での位置情報の測定が可能となっています。
GPSは対象のモバイル端末がいつどの地点にどれだけの時間滞在したかの詳細なデータを把握することができるため、消費者の行動履歴として広告出稿の際のターゲティングに活用されています。
自店舗の商圏内の見込み顧客へのリーチや、競合他社への滞在履歴がある顧客へターゲティングするなど、GPSを利用したジオターゲティング広告は多くの企業に利用されています。
ビズ菜(ベテラン)
GPSを使った地図アプリは今や遠出するときの必携品です。
GPSは普段からお世話になっている機能ですけど、広告サービスにとっても今や重要な技術の一つですよね。
アドクロ先生
その通り、GPSはジオターゲティング広告とは切っても切れない関係です。
GPSは全国の位置情報データが収集可能ですので、より広い範囲での消費者行動を把握することが可能です。
ジオターゲティング広告の特徴・メリット
ジオターゲティング広告は、消費者の行動履歴に基づく精度の高いターゲティングが可能なため、有力な見込み客へのみ広告出稿が可能な費用対効果の高い広告手法として注目されています。
電車広告や雑誌広告でも、利用者層やエリアである程度の絞り込みは可能ですが、どちらかと言うと「行動を予測して事前に打ち出す」施策であり、ジオターゲティング広告のように行動履歴を用いた絞り込みは出来ません。
企業のマーケティング担当の皆さんは限られた広告費の中で最もコストパフォーマンスの高い広告媒体を選ぶことが日常的に求められているかと思います。色々な広告媒体と比較した上で、ジオターゲティング広告のメリットについてまとめました。
ジオターゲティング広告のメリット ~高い精度の効果測定~
ジオターゲティング広告では消費者の行動履歴や現在地などの位置情報を利用した広告出稿が可能です。そのため広告を受け取った消費者のその後の行動履歴も追うことができる点が大きなメリットの一つです。
実店舗への来店を促す広告を配信した場合、広告を受け取った消費者がその後店舗へ来店したか、また来店はどのタイミングにどういった経路だったか、来店しなかった場合、その後の行動履歴に競合他社への来店が含まれていないかなど詳細なデータを把握することが可能です。
把握した詳細なデータは次回以降の広告出稿の精度をより高めることに利用でき、繰り返し広告出稿を行うことで費用対効果を高めていくことができます。
ビズ男(初心者)
効果測定の実施は広告宣伝を繰り返し行う上で大切ですよね。
他のオンライン広告と比べて、ジオターゲティング広告を受け取った消費者のその後の行動が把握しやすいということですね。
アドクロ先生
その通りです。
行動履歴が把握できるということは自社の広告宣伝によってどういう行動が喚起されたかの確認ができるということですからね。
ジオターゲティング広告のメリット ~高い費用対効果~
消費者の位置情報を利用したジオターゲティング広告はターゲティングに特化した広告手法の一つです。
見込み客となる可能性の高い消費者にのみ広告配信をすることが可能なため、不必要に不特定多数の人へ配信する必要がなく、広告出稿の費用が抑えられる傾向にあります。 そのため少ない費用で多くの見込み客へリーチした広告出稿が可能となり、他の広告媒体と比べて高い費用対効果が期待できます。
ジオターゲティング広告は、折込チラシやDMのように印刷・出力する必要がないため印刷コストと印刷に必要なリードタイムが不要な点からも、新鮮な情報を低コストで広告出稿できる非常に使いやすい広告媒体です。
ビズ菜(ベテラン)
ターゲットを絞った広告配信は高い費用対効果が期待できますよね。
単純に『性別』『年齢』『趣味・志向』などでターゲティングする広告サービスよりも位置情報によるターゲティングは効果が高くなりそうですよね。
アドクロ先生
行動履歴から購買行動の履歴を把握することも可能ですからね。
確実に見込み客になる消費者にのみ広告配信をすることも現実的に可能なのがジオターゲティング広告の凄いところでもあります。
ジオターゲティング広告の特徴 ~実店舗向けの広告手法~
ジオターゲティング広告は消費者の行動履歴や現在地などの位置情報を基にターゲティングを行う広告手法です。そのためOtoO(Offline to Online)、オンライン広告から実店舗への誘導で最も高い効果を発揮します。
ジオターゲティング広告は、近隣住民への認知度向上や、行動履歴から見込み客を選定し来店動機となり得るクーポン・キャンペーン情報の配信など実店舗を持つ企業にとって有用な広告手法です。
ビズ男(初心者)
確かに実店舗への誘導が主な広告内容になりそうですね。
消費者の行動履歴に自社のサービスを付け加えられるような広告宣伝が効果的ということですね。
アドクロ先生
その通りですね。
消費者の生活動線の中に自社のサービスがある場合は認知の向上だけでも一定の効果が得られると思います。
ジオターゲティング広告の料金体系
ジオターゲティング広告はターゲティングに特化した広告手法の一つです。精度の高いターゲティングから見込み顧客となり得る顧客にのみ広告配信が可能なため、少ない費用で効果の高い広告出稿が可能です。
ジオターゲティング広告出稿の料金体系は、基本的に「クリック課金型」と「インプレッション課金型」のどちらかがほとんどです。クリック型課金では広告を受け取った消費者によって広告がクリックされた回数に応じて費用が発生する料金体系です。
一方、インプレッション課金型では消費者に広告を表示される度に費用が発生する料金体系です。 どちらの料金体系でも設定された予算を限度額とし、限度額に達するまで広告が配信される手法が多く取られています。その料金は広告媒体によって様々ですが、10万円~100万円程度と多くの人にリーチできる広告媒体としては比較的安価で広告出稿が可能です。
ひと月での契約となる媒体や、数か月間まとめて契約する媒体など様々で、複数月契約の媒体ではどの月にどれぐらいの予算を使用するかなど細かい設定が可能な媒体が多いのも特徴です。
ビズ男(初心者)
データの収集など手が込んでるイメージでしたけど意外と費用は高くないものが多いんですね。
これなら多くの企業で利用できそうですね。
アドクロ先生
細かいターゲティングが可能なため、見込み客になりそうにない消費者への配信に費用がかからないのが大きな特徴ですね。
情報を届けたい消費者にのみ広告宣伝ができる非常に費用対効果の高い広告手法と言えますね。
ジオターゲティング広告の例
Adgram
出典:株式会社ヴァル研究所 Adgram
株式会社ヴァル研究所が運営する「Adgram」はNTTドコモ、GeoLogicにより開発されたジオターゲティング広告。乗換案内「駅すぱあと」の独自の移動予測データをもとにしたジオターゲティング広告です。
店舗への来店を促す施策として、キャンペーンのプロモーションにて競合店へよく行く消費者に絞った広告展開や、店舗付近が生活圏の消費者へアプローチすることが可能です。
ASE(エース)
出典:株式会社フリークアウト ASE
ASE(エース)は、株式会社フリークアウトが提供する、流通・小売事業者の集客・顧客分析の効果及び利便性向上を実現するマーケティングプラットフォーム。
取得された消費者の位置情報に基づき、任意の店舗への来店者、エリアの居住者を識別・セグメント化し、RedやLINE Ads Platform、SNSを通じた広告配信を可能にしたジオターゲティング広告です。広告を閲覧したユーザーが実店舗への来店を行ったかを計測する来店コンバージョンの計測も可能です。
GeoLogic Ad
出典:株式会社ジオロジック GeoLogic Ad
GeoLogic Ad(ジオロジック・アド)は、スマートフォンユーザーの位置情報にもとづいた広告を配信をする、位置情報広告(ジオターゲティング広告)です。
低コスト、かつかんたん・シンプルな設定で、店舗周辺に「今いる人」「過去に訪問した人」「住んでいる人」のスマートフォンへ、チラシ配りの感覚で広告配信が可能です。
プロファイルパスポートAD
出典:株式会社ブログウォッチャー プロファイルパスポートAD
プロファイルパスポートADは、株式会社ブログウォッチャーが提供するスマートフォンの位置データに基づくジオターゲティング広告サービス。
消費者の生活エリア情報や来訪履歴を活用し、精度の高いターゲティングが可能。「提携アプリをダウンロードし、位置情報の取得を許可したユーザー」のスマートフォン端末から、GPSで補足した位置情報データをDSPと連携し配信するスマートフォン用のディスプレイ広告です。広告効果を可視化する来店計測も可能で、集客施策や認知拡大に効果を発揮します。
ジオオターゲティング広告まとめ
インターネットの普及に伴い拡大していくオンライン広告市場。パソコンやスマートフォンを始めIoT化が加速していく中で広告宣伝を取り巻く環境も日々変化し続けています。
現在、スマートフォンは国内での世帯普及率が約90%、個人普及率は約65%とほとんどの家庭が通信手段としてスマートフォンを利用していると言われています。ジオターゲティング広告はこういった市場の変化を正確に捉えた広告手法の一つです。 年齢・性別問わず多くの人がスマートフォンを携帯しているため、折込チラシやDMといった多媒体の流通経路や個人情報を利用する広告媒体と違い、見込み客になる可能性の高い地域住民の大多数をターゲットとすることが可能です。
無線通信を利用した広告手法であるためオンライン広告の一つとして考えられますが、地域に密着したオフライン広告のような使い方ができる広告手法でもあります。 不特定多数へ発信されることの多いオンライン広告と違い、地域や行動履歴など消費者自身に関わりのある広告内容が配信されるため、広告を受け取った消費者の関心度も高くなる傾向にあります。
多くの企業で採用されているジオターゲティング広告ですが、広告手法としてまだ利用したことのない企業が大半の新しい広告手法です。少ない費用で高い精度での効果測定が可能な広告媒体であるジオターゲティング広告。実店舗を持つ企業にはお勧めの広告媒体の一つです。