OOH広告の中の一つであるポスター広告。交通機関など生活者が行き交う場所で多く見られる広告ですが、近年はデジタルサイネージの普及によりその数は減少傾向にあります。しかし、その費用の安さや紙だからこそ出せる味は他の媒体にはない強みと言えます。今回は、そのポスター広告の説明を、そのメリットと掲載される場所、実例を紹介しながら説明していきたいと思います。
ポスター広告とは
ポスター広告とはその名の通り、ポスターによる広告を指し、OOH(アウト・オブ・ホーム)広告の種類の中の一つです。OOH広告とは、自宅以外の場所に設置された屋外の広告のことで、大型ビジョンなどの屋外広告や、駅構内や電車の中にあるデジタルサイネージ、チラシ、ラッピングカーなどがこの広告に分類されます。
ポスター広告のメリット
費用が安い
新聞や雑誌などのマスメディアと呼ばれるメディアへの掲出は、どうしても莫大な費用がかかってしまい、ある程度の企業でないとハードルが高くなります。しかし、ポスター広告の場合はそれらより遥かに安価に広告掲出ができます。また、紙媒体なので制作費用自体も安く、一度完成してしまえば設置しておくだけで長期間に渡って宣伝することが可能です。大変コストパフォーマンスが高い媒体と言えます。
繰り返し見ることができる
ポスター広告は人々の目につきやすい場所に掲出されることが多いため、ターゲットとする人々の導線に効果的に配置することで、繰り返し見られることが期待でき、それによりポジティブな印象を与えることができます。例え、最初はそのポスター広告に対して何の意識もしていない状態だとしても、繰り返し接触することで潜在意識に刷り込まれていきます。特に駅などの交通機関の場所への掲出は、このメリットが多く働く場所です。その駅を利用している人は必然的にほぼ毎日のようにそのポスター広告と接触することになります。このように、特定のターゲットへの繰り返しの訴求には効果的なメディアと言えます。
インパクトが強い
基本的に、ポスター広告を見る人々は、歩きながらそれを見る場合が大多数を占めるのでその内容はシンプルなものが多くなっています。短い時間だからこそ、逆にインパクトを与えることができればより見た人の印象に残りやすくなります。また、デジタルサイネージが急速に増えている今だからこそ紙の特性を活かしたポスター広告を作成することができれば、その広告効果はデジタルサイネージを上回ることも十分可能です。
押しつけがましさがない
テレビCMのように番組の間に挿入されるわけではなく、デジタル広告のように突然スマートフォン上に現れるわけでもなく、ポスター広告自体は常に特定の場所に掲出され続けているだけです。興味をもった人だけが詳細な情報まで見ることができるという、受動的なメディアであるので押し付けがましくなりません。
接触数の予想が容易である
ポスター広告は不特定多数の人々へ向けた広告ではないため、特定の期間での接触数はある程度予想ができます。特に駅の利用者数は毎日そう大きく変わるものではないので、よりその予想は容易になります。
ポスター広告が掲出できる場所の例
駅構内
ポスター広告をより多くの人の目に触れてもらいたいのであれば駅が最も有効です。イベントや企業の新商品の宣伝のために掲出されることが多い傾向にあります。ただ、接触人数とその回数は多い一方で、基本的に歩きながらの接触なので、目に留めてもらう時間は非常に短くなります。その限られた時間でいかにインパクトを残せるかが重要になるので、色、デザイン、コピーなどを最大限工夫をしなくてはいけません。難易度は高いと言えます。
電車内
車内で自然に目に入ることが多く、また、乗車中は一定の滞留時間が発生するため、広告をじっくり見てもらえるというメリットがあります。文字数、情報量が多い広告も電車内であれば読んでもらえる可能性が高くなり、高い効果が期待できます。
カフェやファミリーレストラン
特定のターゲットに絞って訴求をしたいのであれば、カフェやファミレスなど人々が集まる場所へのポスター広告の掲出は有効です。そのお店の客層を正確に把握することで高い広告効果が期待できます。
駅構内などとは違い、数十分は座ってその場所にいることになるので時間をかけてじっくり見てもらえる可能性があります。そのため、カフェやファミレスなどへ掲出するポスター広告は、情報量を多めに掲載することで宣伝内容が伝わりやすくなります。
デパートやショッピングモール
こちらもカフェやファミレス同様人々が集まるので、ファミリーやカップル層に合わせたポスター広告の掲出は有効です。また、流行に敏感なユーザーへのアプローチにも効果的なので、ファッションやグルメ、イベントなどのPRにおすすめのスポットです。
街中
学校や政党、不動産、地域のイベント情報など、よりその地域に密着した宣伝が可能です。ただ、駅構内と同様に歩いているユーザーの目に留まるような広告にする必要があるため、デザインやコピー、掲出する場所など工夫することでより効果的な広告展開が可能となります。
面白い交通広告まとめ
ここでは、ユニークなポスター広告を3つご紹介します。
花王株式会社の「キュキュット」の駅貼りポスター広告
出典:「毎日のお弁当づくり、おつかれさまでした。」お弁当づくりの「卒業証書」を キュキュットブランドサイト・駅ポスターにて公開開始。
2021年3月、花王株式会社の食器用洗剤のブランドである「キュキュット」のポスター広告が京王線明大前駅などに掲示されました。「毎日のお弁当づくり、おつかれさまでした。」というコピーとともに、お弁当の中身を卒業証書に見立てて、それまでお弁当を作ってきた親御さんなどへ敬意を込めた内容になっています。卒業シーズンに合わせた、見た人がほっこりするようなポスター広告になっています。
森永乳業株式会社の「マウントレーニア」の電車広告
出典:全国の動物園の人気者たちが電車をジャック!電車の中を癒やしの空間にかえる「深い癒やしトレイン」が登場
2021年4月、森永乳業株式会社のチルドカップコーヒーブランドである「マウントレーニア」が、全国5つの動物園で撮影された動物の赤ちゃんたちを商品のパッケージにする「マウントレーニア 深い癒しプロジェクト」を展開しました。それに伴い、「深い癒しトレイン」として動物の赤ちゃんの写真で電車内をポスター広告などでジャックする広告施策を実施しました。コロナ禍でさまざまなストレスを抱える人々へ癒しを届ける内容となりました。
広島県観光連盟の「ばかたれーっ!!」ポスター広告
2020年12月、広島県観光連盟は東京駅や新宿駅など計6駅に、「ばかたれーっ!!」という言葉から始まるポスター広告を掲出しました。新型コロナウイルスの影響で、年末年始に帰省ができない広島県出身者へ向けたものです。「ばかたれーっ!!」というインパクトあるコピーによって、広島県出身者以外の人々も少しばかり元気になれるようなポスター広告になっています。
まとめ
今回は、ポスター広告についてご説明しました。ポスター広告とは、OOH(アウト・オブ・ホーム)広告の種類の中の一つであり、駅や電車などの人々が多く行き交う場所で見られます。近年はデジタルサイネージによる広告が増加していますが、ポスター広告は、費用の安さやターゲティングのしやすさ、印象に残りやすいなど数多くのメリットがあります。そのメリットを活用し、テレビや新聞などのマスメディアと組み合わせてポスター広告を掲出する企業もかなり多くなっています。掲出場所をしっかりと選定し、コピーやデザインを工夫することで高い広告効果を期待できるメディアと言えるでしょう。