自社の顧客リスト獲得のためにセミナーを開催している企業は多いのではないでしょうか。特にコロナ禍を契機に、多くのセミナーがオンラインでの開催に以降しました。
オンラインセミナーはコスト効率も高く、会場の手配や物理的な準備が不要であり、参加者数に制約がないため、オフラインでの開催と比較して、集客が容易になります。また、セミナーの録画やオンデマンド配信も可能であり、参加者は自分の都合に合わせて内容を視聴することができるため、開催企業にとっても参加者にとっても非常に利便性が高いといえます。
一方で、開催が容易になったことで競合他社でも類似したセミナーが開催されるようになり参加者の奪い合いも加速しているのではないでしょうか。2021年Peatixイベント調査レポートによるとオンラインイベントを主催する際に感じた課題の中で最も多くの人が選んだ項目が「集客、視聴者集め(65.6%)」となっていました。
数十万円の広告費をかけたが実際に集客出来た人数は数名でCPAが何万円もかかったという企業も珍しくないでしょう。
そこで、本記事では効果的なセミナー集客手段を紹介しながら、各手段のコスト相場について解説していきたいと思います。
■セミナー用サイト(LP)の作成
セミナーに関する情報をまとめた専用のサイトを作成することは有効な手段の一つです。
サイト上に記載されるセミナーの詳細や登壇者情報、スケジュール、参加登録フォームなどを提供するため、興味を持った人々が簡単にアクセスできます。
費用としては、自社で作成するのか、外部へ委託するのかによっても異なりますが、10万円以下で作成することが可能です。
作成の方法としても、外部へ委託して納品してもらう方法や、数千円程度の月額費用を支払ってテンプレートを活用しながら作成することができます。
納期やデザインへのこだわり度合いによって金額が変わっていきますので、自分たちがこだわりたいポイントが何かを明確にすると良いと思います。
ただし、サイト自体が見られなければ意味がありませんので、自社サイトや顧客コミュニケーション上での導線の設計やインターネット広告の併用も検討すると良いでしょう。
■メールマーケティング
事前に関心を持ったユーザーに対してメールマーケティングを行うことも有効な手段の一つです。セミナーの魅力や特典を伝え、参加を促すメールを配信します。メールは個人に対して発信するものなので、他の手段と比較しても参加意欲を高める効果があります。
一般的なメール広告の料金形態と費用相場は以下の通りです。
・クリック課金
メルマガ広告がユーザーにクリックされることで費用が発生する方法で、コンバージョン率が比較的高いといわれています。
費用は1クリックあたり300~800円が相場といわれています。
・配信課金
メルマガの配信数に応じて課金される方法です。
配信する対象の属性(年齢、居住エリア、性別など)に合わせてターゲティングが可変である点が特徴として挙げられます。
費用相場は1件あたり5~100円とされていますが、ターゲティングする条件や、配信ボリュームによって単価が変動します。
・一斉配信契約
ターゲットを絞らずに広く配信する方法です。
費用相場は1件あたり0.1~2円でコストパフォーマンスが高い点が特徴です。
■SNSマーケティング
SNSを活用してセミナーを宣伝しましょう。セミナーに関する魅力的なコンテンツを共有し、参加者を募集します。日本においてもSNSを活用している人は全国民の約7割といわれていますので、労働人口に占めるSNSの利用率は更に高いでしょう。
非常に拡散力が高く、広範な参加者候補にリーチすることができることに加え、自社のアカウントで発信するだけであれば費用はかかりませんので、積極的に活用しましょう。
ただし、SNS上には情報が多くセミナー情報を配信しても埋もれてしまいがちですので、発信頻度を高めたり、興味関心が高そうな人に見てもらえるよう発信内容を工夫することが重要です。
■コンテンツマーケティング
セミナーの関連トピックについての有用なコンテンツを制作しましょう。ブログ記事、動画、参加者のコメントなどを通じて、専門知識や情報を提供します。セミナー自体の宣伝だけではなく、セミナーに関わる周辺情報を配信することで候補者に対して参加への関心を喚起します。
なお、発信にあたってはコンテンツが検索エンジン経由で見つかりやすくなるように、適切なキーワードの選定やメタデータの最適化を行いましょう。また、内部リンクや外部リンクの活用、ヘッダータグの設定など、SEOに効果的な要素を組み込むことも忘れずに行いましょう。
ただ、コンテンツマーケティングを自社のみで行うのはリソースがかかり困難かもしれません。
もし、外注する場合の相場は以下の通りです。
・オウンドメディアは保有しており記事制作のみ依頼する場合…月額10万円以下
・質の高い記事制作、アクセス解析も含む…月額10~30万円程度
・コンテンツの定期アップデート、SNS運用含む…月額30~50万円程度
サイト制作同様、質にこだわるほど費用はかさみますので、何を実現したいのかを明確にしておくと良いでしょう。
■インターネット広告
既に多くの企業が取組んでいるとは思いますが、インターネット広告を活用してセミナーの集客を行うことは有効です。
セミナーの集客でよく使われるのは「リスティング広告」「ディスプレイ広告」といわれています。
リスティング広告はユーザーが検索エンジンに入力したキーワードと関連性が高い場合に検索結果ページに表示される広告です。
人気があるキーワード程クリック当たりの値段が高くなるのが特徴です。1クリック10円から出稿可能ではありますが、十分な結果を出すためには月に数十万円必要になります。
また、ディスプレイ広告は、検索されたWEBサイトの内容に応じてサイト内にバナーが表示されるコンテンツ連動型の広告です。
費用相場は月に20~50万円程度となっています。
リスティング広告に比べてアプローチする層が広くなり、クリック単価は低いもののアクションにつながる比率も低くなりますので、費用対効果を上げるのは難し医のが特徴です。
手軽に実施できる分、効果を上げるためには専門の知識やスキルが必要なため専門の広告代理店へ委託する選択肢を持っておいても良いでしょう。
■ポータルサイトでの集客
セミナーのポータルサイトには日常的にセミナーへ参加しているか学習意欲の高い人たちが集まっているため、参加してもらえる確率は他の方法より高いと考えられます。
また、ポータルサイト側のテンプレートに沿って配信をするため、準備する手間が少ないという点も特徴的です。
かかる費用は利用するサイトによって区々となっています。
今回、調べたサービスの料金形態は以下の通りでした。
・A社
セミナー情報の掲載だけであれば無料。バナー掲出やSNS広告運用などの有料オプションあり
・B社
月額1,500円で実施可能なセミナー数は5件。実施可能な件数ごとに月額4,000円~16,000円まで選択可能
・C社
参加費無料のセミナーであれば無料。有料セミナーの場合は集客実績に応じて費用が発生
利用のハードルが高くないサービスが多くありますので、集客手段を増やす方法として取り入れやすいでしょう。
■プレスリリースでの集客
プレスリリースサービスを活用して、セミナー情報を配信する企業も多く存在します。あるプレスリリースサービスサイトでセミナー開催の告知は1日で約100件ありました。
プレスリリースサービスは各企業が配信した情報を様々なメディアへ配信してくれるほか、SNSアカウントなどでも配信してくれます。
ユニークなセミナーであればメディアに取り上げられ2次的な拡散も期待できます。
費用については3つのサービスを調べたところ、以下の通りとなっていました。
・A社
1配信3万円。配信数上限なしは7万円~
・B社
1配信3万円~6万円。金額に応じて配信可能な提携メディア数が変わったり、SNSの最低リーチ数を保証するオプションがついてきたりする。
・C社
1配信3万円。配信上限無制限で30日ごとに3.5万円or7万円のプランもあり。上位プランになるとメディアコンタクトが可能になったり、原稿作成サービスがついたりする。
プレスリリースサービスは既に利用している企業も多いと思いますので、試験的に配信してみて効果を測定するのも良いでしょう。
まとめ
本記事ではセミナー開催時の効果的な集客手段とそれぞれのコスト相場について解説してきました。
広くリーチが可能な手段やターゲットを絞り込むことが可能な手段、無料でできる手段や費用はかかるものの自社独自のネットワークでは接触できないターゲットにリーチできるもの等、幅広い選択肢があることをお伝えしてきました。
集客手段の正解は1つではありません。複数の手段の組み合わせによってトータルのコストをおさえつつ集客効率を高めることが重要です。
自社の特色を活かしたセミナーを開催し、最適な集客手段を見つけることは一朝一夕にはかないませんが、本記事が最適な手段を見つける一助になりましたら幸いです。