新聞は綿密な取材や調査に基づいて情報を発信する、信頼性の高いメディアです。毎日の締め切りに間に合うよう入稿形式が厳しく定められており、同時に「新聞広告」も色やサイズなどの制約が多いのが特徴です。それゆえ、どんなデザインの新聞広告を制作すべきか悩む方も多いのではないでしょうか。
新聞社ごとに細かいルールの違いはあるものの、新聞広告には共通して押さえるべきポイントがいくつか存在します。まずは重視すべきポイントを把握し、読み手に見やすい新聞広告を制作するのが重要。加えて読者の目を引くデザインを採用すれば、問い合わせや購入といった次のアクションへ繋がる可能性があります。
今回は新聞広告制作の際に押さえておくべきポイントや、デザインの参考になるサイトを紹介します。
新聞広告のレイアウト
新聞広告制作にあたり、まず覚えておくべき点が新聞広告のレイアウトです。新聞1ページは「12段」もしくは「15段」という単位で構成されています。新聞読者の高齢化により、近年は新聞の文字サイズが大きめに変化しました。文字サイズの変化にあわせ、以前は主流だった15段構成に代わり12段構成の新聞も徐々に増えてきています。
新聞広告は1ページの下半分に掲載される場合が多いですが、新聞1ページを丸ごと使用し、大々的な広告を打ち出す場合もあります。
新聞広告デザインのポイント
サイズ
新聞の縦幅を12分割、あるいは15分割したサイズが「1段」です。新聞広告のサイズで最も主流なのは、5つ分のスペースを使用した「全5段」ですが、5段を縦半分にした「半5段」も多いです。
ただし、同じ全5段でも新聞社によって数ミリ程度違いがあるため注意が必要です。例えば、読売新聞の全5段は「横379mm×縦168mm」、朝日新聞の全5段は「横382mm×縦170mm」の大きさです。サイズが異なると入稿時に受け付けてもらえないため、入稿前に必ず確認しましょう。
カラー
新聞広告のカラーは基本的にスミ1色で構成されます。色の変化をつけたい場合は、文字を白抜きにしたりベタを敷いたりするとメリハリがつきます。
なお、カラー写真をモノクロにして広告に使用する場合は、カラーの状態で1度コントラストを強めてからモノクロに変換しましょう。そのままの状態でモノクロにしてしまうと、元の色によっては微妙なグレー色で変換されてしまい、全体的にぼんやりとした印象になってしまう恐れがあります。
インク量
紙の1か所に重ね合わせるインク量のことを「インク総量」と言います。新聞広告のインク総量は、大体250%と決められている場合が多いです。
新聞は雑誌などと比べて紙が薄く、裏移りしやすいのが特徴です。さらに、何十万部を高速で印刷するため、インクを多く入れすぎると乾かずににじんでしまう可能性があります。そのため、印刷した時に綺麗な状態で掲載されるようインク総量が厳しく定められています。
新聞広告をデザインする際は、インク総量が規定より上回らないように注意しましょう。ただし、インク総量が少なすぎても文字がかすれてしまう場合があります。事前に新聞社に確認のうえ、適度なインク総量に調節するのがポイントです。
レイアウト
右綴じの新聞の場合、広告は縦書きのレイアウトを使用する場合が多いです。ただし、あえて横書きのレイアウトを採用することで親しみやすい印象になる可能性もあるため、広告内容やターゲットにあわせてレイアウトを工夫しましょう。
また、近年は新聞印刷の質が向上している点から、写真や絵を多く取り入れたデザインが増加傾向にあります。新聞自体が文字の多いメディアのため、写真や絵で視覚的に訴えれば読者の印象に残りやすくなります。
文字の書体
新聞広告の文字書体は、基本的に決まりはありません。ただし、砕けすぎている書体は信頼性の高い新聞にそぐわないため避けましょう。加えて、細めのフォントも高齢者が見づらい可能性があるため使用しない方が無難です。新聞全体のバランスを考慮し、悪目立ちしない書体を選びましょう。
なお、さまざまな読者層にあわせて文字の大きさや表記を工夫するのもポイントです。高齢の読者を考えて文字サイズを大きめにしたり、アルファベット表記を避けてカタカナ表記にしたりすると幅広い世代に読みやすい広告に仕上がります。
新聞広告デザイン参考サイト
新聞広告データアーカイブ
出典:新聞広告データアーカイブ
新聞広告のデザインに迷ったら、参考サイトをチェックしてみましょう。「新聞広告データアーカイブ」は、日本新聞協会広告委員会が運営するサイトです。1,300件以上の広告事例を紹介しており、眺めるだけで広告デザインのヒントが見つかります。
事例ページは「広告データ」「広告手法」「業種」の3種類から検索が可能です。例えば、競合がどんな広告を出しているか知りたい場合、「業種」から自社と同じ業種の広告を選んで閲覧できます。広告詳細ページに飛べば、「実際の広告画像」「広告の狙い・内容」「反響・効果」「広告主・掲載紙・掲載日」などの細かいデータをチェックできます。
また、事例以外に新聞に関するデータを閲覧できるのも「新聞広告データアーカイブ」の特徴です。例えば「新聞関連データ」ページをクリックすると、新聞の読者層や平均閲覧時間のデータが記載されています。ターゲットを分析する際の参考になり、新聞広告初心者にもおすすめのサイトです。
まとめ
情報収集にインターネットを活用する人が増える中で、新聞は信頼性の高いメディアとして再び注目を集めています。同時に新聞広告も読者の信頼度が高く、読者は気になる広告に対してアクションを起こしやすい特徴があります。
なお、最近は新聞広告上で専用Webサイトへの遷移を促し、より多くの情報を届ける広告事例も登場しています。このように、メディアを組み合わせた宣伝手法を取り入れることで、より高い広告効果が期待できます。本記事で紹介したポイントや過去事例を参考にして、読者の目を引く新聞広告を制作してください。
新聞広告については、以下の記事で詳しく説明しています。併せてご覧ください。