トレインジャック(電車ジャック広告)は、1編成を広告主が独占して利用できる究極のメディアジャック。電車の中や車両の外に掲載する広告のことを「電車広告」と言いますが、その電車広告の中でも抜群の視認性を誇るのがこの広告貸切電車です。車内の広告を貸切っているので、圧倒的な訴求力も持っている媒体です。
統一感のある広告が並べられた車内は、自然に電車利用者の興味関心を引くことができます。なお、鉄道会社によっては、部分的な貸切も可能。電車内のステッカー広告や車内ビジョンなどすべての広告を貸切るものから、人気の高い中吊り広告のみを貸切るものなど、予算や目的にあわせてさまざまなプランが用意されています。
今回は、トレインジャック(電車ジャック広告)の特徴や料金体系、事例を紹介します。
トレインジャック(電車ジャック広告)とは?
トレインジャック(電車ジャック広告)とは、電車内に設置された広告スペースを貸切って利用すること。基本的には、1編成の中吊り広告、まど上ポスター、ステッカー広告などの車内広告をすべて1社の広告主が独占して利用でき、「キャンペーン電車」とも呼ばれている電車広告です。
人数で見ると、1編成のみの貸切では広告に接触する電車利用者は限られます。しかし、接触した人へは広告主の広告を強制的に見せられるため、結果、高い注目を得られます。見た目のインパクトの強さから、商品の販売促進や企業のPRなど多くの目的で広告貸切電車は利用されています。
トレインジャックの販売プランは路線によって異なりますが、なかには「中吊り広告のみ」など部分的な貸切が可能な路線もあります。また、オプションとして車体前面や側面にラッピングを施す「電車車体広告(電車ラッピング)」と組み合わせれば電車のフルジャックとなり、より効果的なアプローチにつながります。
トレインジャック(電車ジャック広告)の特徴
電車利用者に強いインパクトを与えられる
トレインジャックの特徴には、まず、電車利用者に強烈なインパクトを与えられるという点が挙げられます。1編成がまるごと同じ広告主によってジャックされるため、電車に居合わせた人に強い印象を残すことができます。貸切により強制視認になるため、おのずと広告注目率が高くなる点も、トレインジャックのメリットです。
貸切利用で多くの情報を伝えられる
2つめに、1編成を貸切って広告掲載することでより多くのメッセージを伝えられる点も特徴の一つです。そもそも電車内という限られた空間は、広告を文章など細かい部分まで読んでもらいやすいメリットがあります。加えて貸切により複数の広告面を使えば、異なるメッセージを何枚かにわたって発信することも可能。多くの広告スペースを使い、他の電車広告では成しえないたくさんの情報を伝えられる点が、トレインジャック最大の魅力です。
路線選択で広告エリアのセグメントが可能
3つめの特徴として、トレインジャックはエリアセグメントが可能という点も挙げられます。トレインジャックは、基本的に路線ごとにプランが用意されています。ターゲットが利用するエリアにあわせた路線で広告掲出することで、より広告の効果を高めることができます。地域のイベントなど、地域に密着したプロモーションも可能です。その他、つり革広告や電車内ビジョンなど、電車広告にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。電車広告については以下の記事で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。
電車広告について徹底解説! | 「電車内」という限られた空間で展開できる広告媒体
トレインジャック(電車ジャック広告)の料金体系
トレインジャックの料金体系は鉄道会社によって異なります。また、利用する広告枠や掲出期間、路線によっても料金は変わってきます。
JR東日本では、中吊り広告に加えてドア横ポスターや映像メディアまでも独占できる「ADトレイン」と、人気の高い中吊り広告を1編成貸切できる「中吊り貸切」が用意されています。
<JR東日本 料金例(掲出期間)>
東京メトロでは、中吊り広告、まど上ポスター、ステッカー広告、ドア横ポスター、TMV(Tokyo Metro Vision)をフルジャックできるプランが路線ごとに用意されています。プランによっては複数路線を組み合わせた展開も可能。また、掲出期間5日~7日間で中吊り広告のみを貸切できる「SUライナー」というプランもあります。
<東京メトロ 料金例(掲出期間)>
トレインジャック(電車ジャック広告)の事例
森永乳業株式会社 マウントレーニア「深い癒やしトレイン」運行
出典:全国の動物園の人気者たちが電車をジャック!電車の中を癒やしの空間にかえる「深い癒やしトレイン」が登場
森永乳業株式会社が販売するチルドカップコーヒー「マウントレーニア」新パッケージのプロモーション。新パッケージは「深い癒やしパッケージ」と題し、全国5つの動物園で撮影された動物の赤ちゃんが見られるパッケージです。
販売に合わせ、かわいい動物の赤ちゃん写真で車内を埋め尽くしたラッピングトレインを運行。JR東日本、東京メトロ、名古屋市営地下鉄、阪急電鉄と全国各地の路線で実施されました。コロナ禍の緊張した中で電車を利用する人たちへ向け、癒しを届ける内容となっています。
株式会社pdc 酒粕の白さを伝える山手線ジャック
出典:「真っ白な山手線、誕生。車両まるごと酒粕パック。」 酒粕の「白さ」と「質感」を伝える、期間限定の車両ジャック企画 「ワフードメイド 酒粕パック」トレインジャック 2/17(月)走行開始予定
「ワフードメイド 酒粕パック」を取り扱う株式会社pdcが行ったプロモーション。「酒粕」の白さと質感を伝えるべく、「車両そのものをパックした」という設定でトレインジャックを行いました。
JR山手線、JR大阪環状線、JR京都線・神戸線で実施され、車内には文字が入っていない真っ白な中吊り広告が電車内に登場。特に山手線内に掲出された立体印刷のポスターは、まるで広告自体にテクスチャーが塗られているかのような仕上がりで、電車利用者に商品の魅力を伝えました。
公益財団法人全日本柔道連盟 「黒帯の一本道でつなぐ!2019世界柔道トレイン」
出典:柔道日本代表をはじめ、世界中から総勢2,000名以上の柔道家が大集結した、『黒帯の一本道でつなぐ!2019世界柔道トレイン』本日より運行開始
全日本柔道連盟が行った2019世界柔道のプロモーション。世界中の柔道家から集まった応募写真の中から2,019枚を選定し、一本につながった様子を見せるインパクト抜群の電車広告を展開しました。
広告はJR山手線の1編成を貸切る形で登場。白黒の広告が電車利用者の関心を引く内容となりました。
アイロボットジャパン合同会社 床面装飾も生かしたルンバのプロモーション
出典:ロボット掃除機「ルンバe5」 本日より発売開始 原寸大のルンバが銀座線、丸ノ内線をジャック!
ロボット掃除機「ルンバ」シリーズを取り扱うアイロボットジャパン合同会社。ルンバの使用者と未使用者の印象ギャップを埋めるため、実際に利用している人の声を盛り込んだ電車広告を設置しました。
東京メトロ銀座線と丸ノ内線で実施されたトレインジャックでは、床面に設置する「フロア広告」も取り入れ、まるでルンバが電車内を走るようなビジュアルに。電車を利用中のルンバ未使用者に向けて、実際の使用イメージを沸かせるプロモーションです。
丸美屋食品工業株式会社 京急電鉄コラボの「丸美屋ハッピートレイン」運行
出典:丸美屋×「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」トレインジャック特別企画 運行期間:2020年9月20日(日)から10月10日(土)
「のりたま」「釜めしの素」「麻婆豆腐の素」の長期販売を記念し、同商品を取り扱う丸美屋食品工業株式会社が行ったプロモーション。京浜急行電鉄株式会社の「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」とコラボレーションし、感謝の想いを込めたラッピングトレインを運行しました。
もともと、京急電鉄には事業用の黄色い電動貨車があり、めったに見られないことから「しあわせの黄色い電車」と呼ばれています。この電動貨車をモチーフに運行開始したのが、黄色い車両の「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」。丸美屋との企画では、外装ラッピングで駅にいる人の関心も引ける他、クイズや間違い探しを取り入れた車内広告で、電車を利用する子どもから大人まで注目を集めました。