雑誌内に展開される「雑誌広告」。近年はインターネット広告の台頭もあり、雑誌広告の市場規模は減少傾向です。株式会社電通が発表している「2020年 日本の広告費」によれば、雑誌広告を含む「マスコミ四媒体」の広告費は2兆2,536億円で6年連続の減少。内訳を見ると、「テレビ」が1兆6,559億円、「新聞」が3,688億円、次いで「雑誌」が1,223億円です。一方、インターネット広告費は2兆2,290億円で毎年増加しており、今にもマスコミ四媒体を超える勢いを見せています。
しかし、雑誌広告にはインターネット広告や他のマス広告とは異なるメリットもあります。雑誌広告の特性を生かして広告展開すれば、より効果が期待できる可能性があります。
今回は雑誌広告の効果について、日本雑誌協会らが発表した「第6回 雑誌広告効果測定調査」の結果も交えて解説します。
雑誌広告って効果はあるの?
実際、雑誌広告は効果があるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。雑誌広告には、雑誌の特徴を踏まえた3つのメリットがあります。
信頼度が高いため情報の信ぴょう性が上がる
まず、雑誌広告は読者からの信頼度が高い点が特徴です。無料で見られるインターネットと違い、雑誌の読者はお金を出して質の高い情報を得たいと考えている人がほとんどです。その分、読者は雑誌に厚い信頼があり、雑誌に掲載されている広告にも興味を示しやすい傾向があります。
なお、雑誌広告は掲載までに厳しい審査があります。雑誌のイメージにそぐわない広告は雑誌のファンを不快にさせてしまう恐れがあり、雑誌側が掲載広告を慎重に判断しているためです。そんな厳しい審査を通過し、質の高い広告のみが掲載されます。
反復効果で購買に繋がりやすい
次に、雑誌広告には反復効果で購買に繋がりやすい特徴があります。一度購入した雑誌は、捨てずに保管する読者も多いです。そのため、一度しか表示されないインターネット広告や、保管されることは少ない新聞広告と違い、雑誌広告は何度も見てもらえる可能性があります。
また、雑誌の大きな特徴は長期にわたって流通される点です。最近はWeb上でいくつかの雑誌が読み放題になる、雑誌のサブスクリプションサービスも登場しました。Web上のサービスの場合、本屋に置いていないバックナンバーも簡単に読めます。つまり、一度掲載すれば長い期間アプローチできるのが雑誌広告の魅力です。そして、何度も見てもらえば自然に効果に繋がりやすくなります。なお、雑誌広告掲載の際には、長期間の掲載を意識した広告デザイン制作が必要です。
広告デザインについては、下記記事でも解説しているので是非ご覧ください。
雑誌広告で効果が出るデザインって? | 雑誌広告のデザインを組む上でのポイント
ターゲットが明確なため、売りたい相手に確実にアプローチが可能
最後に、雑誌広告はターゲットに確実にアプローチできる特徴があります。雑誌と同じマス媒体の新聞やテレビは、多くの人に内容を伝えられるものの細かいターゲットは絞れません。
一方、雑誌は性別や年齢はもちろん、趣味趣向にあわせてさまざまな層にあわせて制作されています。雑誌自体が細かいターゲットを絞っているため、雑誌の読み手にあわせた広告を掲載すれば効果に繋がる可能性は高くなります。
ターゲットに広告を届けるには、適切な雑誌広告枠を選択する必要があります。「表4」や「中面」ページなど、掲載面が様々なのも雑誌広告ならでは。下記記事では、雑誌氏広告の枠サイズについては下記記事で説明しているので、是非ご覧ください。
雑誌広告の掲載面、サイズ、カラーについて|表2、表3、◯◯対向とは?
雑誌広告の効果
「一般社団法人 日本雑誌協会」「一般社団法人 日本雑誌広告協会」「株式会社 ビデオリサーチ」は、2019年2月〜4月にかけて雑誌広告の効果測定調査を行いました。調査結果から、雑誌広告は半数の読者に興味関心を引き、かつ商品ジャンルや広告種類によっても効果に違いがあるのがわかります。
雑誌広告の広告注目率
21社33誌を対象に行った調査によれば、雑誌広告の注目率平均は46.4%。雑誌を読んだ人の半数以上が「広告を確かに見た」と回答しています。つまり、読者の半数近くに内容が届き効果が出ていると言えます。
また、広告を見た人の「興味関⼼度」は66.9%。調査結果から、広告に注目した人の半数以上が内容に興味を抱いたのがわかります。
広告種類別の雑誌広告の効果
雑誌広告の種類は、主に「純広告」とそれぞれの雑誌の編集スタイルに連動した「記事広告・タイアップ広告」に分かれます。
種類別に効果を見ると、広告注目率では純広告が51.1%と記事広告・タイアップ広告より高いです。一方、「購⼊・利⽤意向」では記事広告・タイアップ広告が55.8%と純広告を上回る結果となり、記事広告やタイアップ広告が読者へ上手く商品の魅力を伝えられているのがわかります。
雑誌広告の種類については下記記事で詳しく解説しています。是非ご覧ください。
雑誌広告の種類について解説! | 純広告や記事広告などの用語を解説
商品ジャンル別の雑誌広告効果
最後に、商品ジャンルごとの「広告接触率」「広告注目率」を見ると、いずれも「ファッション・アクセサリー」で高い結果が出ています。
一方、商品ジャンルごとの「購⼊・利⽤意向度」を見ると、一番効果が表れたのが「食品」で64.2%でした。購入や利用意向となると、日常的に購入する商品ジャンルで読者が高い関心を示すのがわかります。
まとめ
テレビCMや新聞広告と同じマス広告である「雑誌広告」。近年市場規模は縮小傾向にあるものの、雑誌の特性を生かして伝えたい相手に確実にメッセージを届けられる魅力があります。
日本雑誌協会などが発表している雑誌広告効果測定調査を見ても、雑誌を見ている人の多くが広告に興味を示し、きちんと効果が出ているのがわかります。しかし、調査結果はあくまで平均的なものであり、1つの広告に対する正確な効果がわかりづらいのは雑誌広告の注意点。インターネット広告であれば「どれくらい見られたか」「クリックされたか」などの効果が簡単に計測できますが、雑誌広告はいくら雑誌の発行部数が多くても、効果に繋がったかは判断できません。
最近は雑誌広告に加え、インターネット広告やテレビCMなど、複数の媒体を利用してプロモーションする企業も増えています。どんな広告にも、種類ごとにメリットとデメリットがある点は否めません。より高い効果を出すためにも、さまざまなメディアの特性を生かして利用していくのが重要です。