アドクロ編集部がお届けする最新の広告費統計分析の解説。最新の広告費統計から見られる傾向と、直近あったオフラインマーケティングで抑えておくべき話題をピックアップし、解説します。
最新の広告費統計から見る傾向(2024年2月)
経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。最新2024年2月分の広告業売上高について詳細を見ていきます。
広告費全体では前年同月比99.5%とほぼ横ばい
全体の広告費としては4,191億円と、前年同月比で99.5%とほぼ横ばいで推移しています。2023年2月の前年(2022年2月)同月比で99.2%であったことを考慮しても、2月に特出して大きな変化がある様子は見受けられませんでした。
4マス全体は98.6%、「雑誌」で伸長
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの売上高は合計約1,171億円。前年対比では98.6%となっています。
テレビ・ラジオはほぼ横ばいで推移しています。テレビについては、2023年11月〜2024年1月の直近3カ月は月あたり1,000億を超えていましたが、2月は961億と1,000億を割っています。ただ、2023年2月も同様に1,000億を割っていることを加味しても、2月は出稿量が比較的落ち着く時期とも言えるでしょう。
一方で雑誌は117.6%と伸長(前年同月24.9億から29.3億)。2024年1月も前年同月比で120.8%と、上昇傾向にあるようでした。
インターネット広告は引き続き堅調
インターネット広告について、直近は昨年同月比で102〜105%程度を堅調に推移しています。数パーセントの伸びではありますが、2023年2月で1,213億、2024年2月で1,233億と20億程度伸長していました。2024年2月のテレビ広告費が961億である事を考慮しても、既に200億近い差がついており、じりじりとその差が広がっている印象があります。
13カ月連続で前年比100%超えの交通広告
少し興味深いカテゴリーに「交通広告」が挙げられます。2023年2月から今月にかけて、13カ月連続で前年同月比100%を超えており、今年2月も106億と前年同月比110.6%での着地となっています。
ここ最近、主要駅では空き枠を見る機会が少なくなった印象もありますし、人気枠は数カ月先まで埋まっている状態もうかがえます。引き続き動向には注目していきたいところです。
その他、4マスやインターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると海外広告が139.1%と増加。また、先ほど取り上げた交通広告110.6%、ジャンルとしては近しい屋外広告も103.5%と伸長傾向がみられました。その他、折込・DM88.3%、SP・PR・催事企画102.3%と折込・DMが若干下降しているようでした。
2024年5月の注目トピックス
続いて、広告や宣伝を担当されている方なら押さえておきたい、最新の広告業界トピックスを解説します。
6月30日から広告宣伝車(アドトラック)規制開始
東京都は、屋外広告物条例の規制を改正し、これまで都内ナンバーのみを対象としていた広告トラック規制を都外ナンバーにも適用することを発表。この改正は来月6月30日から施行されます。
東京都が2023年11月に新宿区、警視庁と合同で実施した広告宣伝車に関する実態調査によれば、18時~19時で西武新宿駅前通りを通過した広告宣伝車は横浜ナンバー6台、野田ナンバー2台と、全てが都外ナンバーでした(参照:東京都・新宿区・警視庁合同で広告宣伝車の実態調査)
都内ナンバーの広告宣伝車については、電光表示装置等により映像を映し出すものなど、運転者の注意力を著しく低下させるおそれのあるもの(運転者をげん惑させるおそれのある発光、蛍光素材など)の規制や、許可申請に当たり都の認定を受けた委員会等のデザイン審査を受けることが必要などのルールがあります。
ただ、上記規制は都外ナンバーの広告宣伝車には適用されず、車両登録地の条例が適応されていました。ゆえに都外ナンバーであれば、都内の規制を考慮せず走行することが出来ていました。今回の規制によって、都外ナンバーの広告宣伝車についても都内での規則が適応される格好となります。
事業者側は「営業所が都内にない場合でも、都内で屋外広告物に関わる場合は、都の登録が必要」になったり、「都内走行で都外ナンバーの広告宣伝車を利用する場合でも、最初に周回走行を行うルートのある区又は多摩建築指導事務所に申請」などが必要となります。
広告宣伝車を自社保有して走らせている事業者は多くはないと思いますが、広告手段として活用していく際は、運営会社が規則を遵守しているかどうかは確認いただくと良いかもしれません。