高単価商材とInstagramの相性は◎
―――フィードやリールなどの投稿の種類がありますが、どれが一番効果的なのでしょうか?
投稿の種類も運用の目的に合わせたものを選ぶべきだと考えています。リール・フィードそれぞれ、以下のような目的に合わせて選ぶと良いと思います。
例えば、リーチがなかなか伸びないという場合には、フィード投稿よりもリーチが伸びやすいリール投稿を中心に運用することをおすすめします。
また、フィード投稿はストック性が高いコンテンツを投稿することで、ユーザーに保存されやすくなります。その為、フォロワーに自社のアカウントを何度も見てもらう機会を作ることができます。
―――どんな商品・サービスがInstagramと相性が良いのでしょうか?
アパレル・化粧品・育児関連の商品・サービスはInstagramとの相性は良いと思います。
また、私たちは「高単価商材と相性は良いのではないか」という仮説を立てています。弊社の研究チームである「サキダチラボ」が生活者を対象にアンケート調査を実施しました。「10万円以上の商品・サービスを購入する際、Instagramに投稿されている関連情報を参考にしましたか?」という質問をしたところ、半数以上の人が「参考にした」と回答しました。
さらに、「その中でもどのような商品・サービスの情報を参考にしましたか?」という質問には、美容クリニックや家具・インテリアなど、比較的高額かつ、ビジュアルやデザインを重視するものが中心でした。
上位4つの業界については、高額であるからこそ「失敗したくない」や「この金額は相場なのか」などのような気持ちが起こりやすい為、“他の人はどうしているのか”という、インサイトに紐づいた業界です。このような業界は、Instagramに投稿される情報へのニーズが高いのではないかと考えています。
Instagramの投稿を参考にすると言っても、企業アカウントだけでなく、インフルエンサーや一般の方の投稿など情報源は様々ですが、購入前に企業アカウントを見ている人が結構多かったんです。このような調査結果から、Instagramは高単価な商材の購入検討の後押しや参考にもなっているのではないかと感じていて、今後さらにInstagramの活用の幅が広がるのではないかと考えています。
「小説×デート」で1日乗車券が欲しくなる投稿
―――印象に残っている事例はありますか?
弊社で支援させて頂いた東京メトロの「#東京デートストーリー」は印象に残っています。東京メトロ沿線を1日中何回でも乗車できる1日乗車券の販売促進を目的としたInstagram運用です。
1日乗車券って、東京メトロに乗る用事がないと使いませんよね。そこで私たちは、1日乗車券を使って東京メトロに乗るきっかけを作るため、東京メトロ沿線にある魅力的な飲食店に注目しまして。ユーザーに投稿を通して、様々な飲食店を目的地としたプランを提案し、1日乗車券の利用意欲を高めようと企画を検討しました。
しかし、Instagramにはすでに多くの飲食店の紹介が投稿されています。そこで、Instagramの定番となっている「飲食店の紹介」に、当時トレンドだった「デート」を掛け合わせた「#東京デートストーリー」というアカウントを作りました。ただ、デートにおすすめの飲食店を紹介しただけでは他の飲食店の情報に埋もれてしまうため、「小説」と掛け合わせることにしました。
ライターさんが書いた小説と一緒に、小説の世界観を体感できるお店やスポットを紹介していく、というフィード投稿を実施しました。一つのフィード投稿で複数の飲食店を紹介していますが、全て最寄り駅が異なるお店を選定しています。一つの駅の最寄りのお店を紹介しても、1日乗車券を買いたいという需要には繋がらないと考えたからです。
投稿で見た場所に行きたくなって1日乗車券を買う、という行動に繋がるように投稿の順番も意識しています。すると、小説を楽しみにしてくれている方がフォローしてくれたり、小説をじっくり読んでもらうことで滞在時間を増やしアルゴリズム的にも投稿を露出させることができたり、高い効果を得ることができました。
「開発秘話」と「試飲会レポート」投稿に注力
―――他に印象に残っている事例はありますか?
他の事例として、株式会社生活総合サービスが手掛ける青汁のブランド「ボコとデコ」の公式アカウントの事例も印象に残っています。こちらは当初、Instagram運用の内製化に向けたアカウントの方向性定義や、投稿コンテンツ設計についてご相談いただきました。
ブランドの世界観をInstagramでどう体現するか悩まれていました。私たちはまず、フォロワーに商品について理解してもらうべく、商品をダイジェスト的に紹介する「開発のこぼれ話」というフィード投稿を実施し、親近感を演出。そのフィード投稿は保存数が前月比でプラスになるなど、高いエンゲージメントを得ることができました。
その後の施策の検証で「開発秘話」と「試飲会レポート」のリーチ数・エンゲージメント数が特に高いことが分かり、この分野の投稿に注力することになりました。
さらに、運用ガイドラインやロードマップの策定など、内製化に向けた支援を行いながら、フォロワーキャンペーンを実施。最終的にアカウント運用も内製化することができました。安定的なInstagram運用でブランドの信頼度向上に繋がったようです。
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アルゴリズムを逆手に取った情報収集術
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