プログラマティックOOHとは複数の広告枠をオンラインで繋ぎ、取引や広告の配信を自動化したOOH広告を指します。実は、何気なく見ている屋外広告ですが、日々変化を続けています。
今回は、進化するOOHであるプログラマティックOOH広告についてご紹介します。
プログラマティックOOHとは
プログラマティックOOHは、一言で表現するとDOOHのさらに発展したものとなっており、複数の広告をオンラインでネットワークにつなぎ、取引や配信を自由化したものとなります。具体的に言うと、プログラマティックOOH広告は、広告の枠・指標・配信が一括管理できる仕組みが出来た広告のことを指します。プログラマティックOOHは、プログラマティックという言葉と、OOHの組み合わせた造語です。プログラマティックとは、データに基づいてプラットフォームを介して自動で行われる取引を指し、OOHは、「Out Of Home」の略語がOOHで屋外広告を意味しています。プログラマティックOOHとは「屋外広告の自動広告取引」を指します。
そもそもOOHとは?
OOHとは、「Out Of Home」の略語です。直訳すると、屋外・室外・家の外と言った意味になり、一般的には看板や屋外ビジョンなどの屋外広告の事を示します。OOH広告は基本的にエリアが絞られているケースが多く、その場にいる人に向けてのメッセージ性が強いものとなっているので、ある特定の人とエリアに特化した情報発信に有効的です。
OOHには、主に屋外広告と交通広告の2種類に分けられます。
屋外広告では、屋外ビジョン、看板広告、その他(店頭広告、トラック広告など)幅広くあります。一方、交通広告では、鉄道、空港、バス、タクシーなどが多いです。
OOHについては下記記事で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。
OOH広告の種類や特徴を解説|狙ったターゲットに効率よくアプローチできる広告
プログラマティックOOHの主な特徴
広告出稿までがスピーディー
プログラマティックOOH広告は広告枠の管理から、広告の発信までを一元化されたネットワークで行うため、今まで以上にスピーディーに空き枠の確認や入稿、配信の対応が可能となります。広告の取引や配信が自動化されているため、従来の屋外ビジョンやOOH広告のように空き枠状況の確認などを、都度媒体社に問い合わせる必要がありません。広告枠の空き状況から広告の公開までの一連の流れを、プラットフォームの内で完結します。
ターゲティングが容易
プログラマティックOOHはターゲットを絞って広告を打つことが可能です。オーディエンスが求めている情報や広告を通じて発信する事が出来ます。広告出稿がスピーディーにできるので、例えばその日の天候や対象人数から広告の出稿先を決めたりすることも可能です。
自動で広告枠を買い付け
プログラマティックOOH広告は、広告の表示方法においてもデジタル広告とは違う点があります。従来の広告は、すである固定の広告枠を買い付けて、その枠に決まった時期・タイミングで広告を掲載するものが多数でした。例えば、Webメディアの広告では、トップページやサイドバーにバナー広告などの固定枠を用意していることが多く、「1か月◯◯円」「広告の表示1回につき◯◯円」などの条件で広告を実施します。これに対しプログラマティックOOHは、あらかじめ指定した条件をもとに自動で入札、広告枠の買い付けを行います。「1再生あたり〇円」といった形で契約、その時提示された最も高い再生単価の広告を自動的に配信します。プログラマティックOOHでは、ネットワークによって自動化されたプラットフォームで自由に且つすばやく広告枠を得る事が出来ます。
プログラマティックOOHの事例
株式会社ジーニーと株式会社ヒットの業務提携により首都高速デジタルLEDボード12面ネットワークにてサービス開始
出典:ヒットとジーニーが業務提携 大型屋外ビジョンへのプログラマティックOOH広告を配信開始 ~首都高速デジタルLEDボード12面ネットワークにてサービス始動~
日本最大級の広告ビジョンを保有・運営している株式会社ヒットは株式会社ジーニーと業務提携を行い、首都高速道路沿いに設置されているデジタルLEDボード(12面ネットワーク)へプログラマティックOOH広告の配信サービスを開始しました。この首都高速デジタルLEDボードでのプログラマティックOOH広告配信は、東京オリンピック開催や次世代通信「5G」の本格的始動により、OOH広告のさらなる市場拡大が予想されるため、広告掲出までの運用効率化を目指した取り組みの一つとして始まりました。
京王エージェンシーとジーニーが業務連携 デジタル広告効果の可視化に向け実証実験
出典:京王エージェンシーとジーニーが業務連携 広告価値の可視化に向けた実証実験を開始
株式会社ヒットと業務提携を行った株式会社ジーニーはさらに株式会社京王エージェンシーと業務連携し、京王井の頭線の下北沢駅と吉祥寺駅の駅構内にあるデジタルサイネージで、シナラシステムズジャパンが提供するWi-Fiアクセスポイントなどのデータを活用して実証実験を行いました。このシステムは、デジタルサイネージにWi-Fiスポットを設置し、ユーザーデータを収集することで、広告視認可能者数やその属性の推定が可能です。これにより、ユーザーの属性に合わせた広告を掲出できるようになり、より効率的な広告展開が実現できます。
出典:京王エージェンシーとジーニーが業務連携 広告価値の可視化に向けた実証実験を開始
CCIと電通 グーグルが提供するシステムを活用しOOH広告のプログラマティック取引と配信の実証実験を開始
株式会社サイバー・コミュニケーションズと株式会社電通は、都内の屋外・主要駅のデジタルサイネージ合計274面でGoogle Display & Video 360とGoogle Ad Managerを活用したプログラマティックOOHの広告取引と広告配信の実証実験を行いました。Google Display & Video 360とGoogle Ad Managerを活用することにより、広告主はオンライン上でインターネット広告とOOH広告の両方への出稿が可能になり、媒体社はプログラマティック環境が適用され、効率的に広告配信を管理することができます。
出典:CCIと電通、Google Display & Video 360とGoogle Ad Managerを活用し、都内でOOH広告のプログラマティック取引と配信の実証実験を開始
まとめ
今回は、プログラマティックOOHについて紹介しました。
日本国内では、まだまだ認知度の低いプログラマティックOOHですが、もっと手軽に屋外ビジョンなどのOOH広告を出稿できるようになるため、普及が進むことが推測されます。また、今後は、広告の分野だけではなく幅広い分野においてこの仕組みが導入されていくことでしょう。
プログラマティックOOHの今後の動向にも注目していきたいところです。