電車の車体広告は電車ラッピングとも呼ばれ、車体の側面などに掲出される電車広告です。駅のホームで電車を待つ人や、電車が走る周辺に居合わせた人々へ向けて訴求できる広告で、見た目のインパクトから高い注目を得られます。鉄道会社や路線によって電車車体広告が実施できるかは異なりますが、首都圏ではJR東日本の鉄道をはじめ、電車車体広告を施した電車(電車ラッピング)が多く運行される様子が見られます。駅で気になったラッピング電車を撮影する人も多く、電車車体広告はSNSでの拡散も狙った広告展開が可能です。今回は電車車体広告の特徴や料金体系、事例を紹介します。
電車ラッピング(車体広告)とは?
車体広告とは、電車の前面や側面のスペースを利用して掲出する広告。電車の外側をジャックできる広告で、別名「電車ラッピング」とも呼ばれます。車体広告は「まど上ポスター」や「ステッカー広告」などと同じ電車広告に分類されます。しかし、電車に施す広告でありながら、車体広告は電車の外にいる人への訴求が目的である点が、他の電車広告とは異なる点になります。車体広告は主にホームで電車を待つ駅利用者や電車が走る周辺に居合わせた人へアプローチでき、見た目のインパクトから、広告を見る人の興味を引きつけられます。車体広告は、特に大型のキャンペーンやイベントなどでの利用が多い媒体です。電車内部をジャックする「広告貸切電車」とあわせて利用すれば電車をまるごとジャックでき、より高い広告効果が期待できます。また、車体広告は1週間からの短い掲載も可能で、短期的なプロモーションにも向いています。なお、ラッピング広告の注意点としては、掲載までに時間がかかる点です。車体広告では文字の大きさなどデザインの規制が厳しく、審査に時間がかかります。そのため、車体広告を採用する場合は、広告掲載したい2~3ヶ月前など早い段階での申し込みが必要となります。
電車ラッピング(車体広告)の特徴
見た目のインパクトが強く、注目されやすい
電車ラッピングの特徴として、まず、見た目のインパクトの強さから見た人の注目を浴びやすい点が挙げられます。車体広告は、通常は電車の何も無いスペースに掲出されるため、車体広告を施した電車が現れたときのインパクトは大きくなります。
出典:メトロアドエージェンシー メディアデータ『データライブラリ』
メトロアドエージェンシーが発表した資料によると、東京メトロにおける車体広告の広告到達率は48.0%でした。性別・年齢別でみると、50代男性42.1%、50代女性35.7%に対し、10代男性では77.8%、10代女性では60.9%という広告到達率となっています。この調査結果から、特に若い世代が車体広告へ関心を示したことがわかります。
SNSやメディアでの拡散性が見込める
2つめに、電車ラッピングはSNSやメディアでの拡散が見込める点が特徴です。自由に電車側面をデザインできる車体広告は、話題性が高く人々の注目を集めやすい電車広告です。例えば、好きなキャラクターがデザインされた電車が走っていれば、記念に電車を撮影する人もいます。撮影者がTwitterなどのSNSに写真を投稿すれば、投稿を見た人もラッピング電車の存在を知ります。このように、駅周辺を利用する人だけでなく、SNSでの拡散によって幅広いユーザーへ興味関心を持ってもらえるチャンスがあるのも、車体広告の魅力です。
乗車前に接触するため、印象に残りやすい
3つめに、電車ラッピングは接触するタイミングによって印象に残りやすい点が特徴として挙げられます。電車利用者が車体広告に接触するのは電車が駅に到着してから乗車するまでです。そのため、車体広告自体に接触する時間は、電車内に掲出される広告よりも短くなります。しかし、乗車前という電車に一番に注意を払うタイミングで接触するため、非常に乗客の印象に残りやすいとされています。
路線を選んで広告展開できる
最後に、電車ラッピングはエリアセグメントも可能な点が特徴です。車体広告は基本的に路線を選んで広告を設置できます。つまり、ターゲットが利用するエリアに絞って広告展開すれば、広告費用を抑えつつも高い効果を得られる可能性があります。そのため、車体広告は沿線イベントや付近の観光施設など、地域に密着したプロモーションにも向いています。
車体広告の他にも、電車広告には中吊り広告やまど上ポスター広告など、さまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。電車広告については、以下の記事で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。
電車広告について徹底解説! | 「電車内」という限られた空間で展開できる広告媒体
電車ラッピング(車体広告)の費用
電車ラッピングの料金体系は、各鉄道会社や路線によって異なります。JR東日本では2週間から掲出可能なプランが用意されており、最大で12週間もの長期間の掲出も可能です。東京メトロでは丸ノ内線と東西線のみで実施しており、最短1ヶ月から最長1年間まで掲出可能なプランがあります。なお、広告サイズについては「車体側面総面積の10%」のように制限が設けられているため、採用時にあわせて確認が必要です。
<料金例(掲出期間)>
電車ラッピング(車体広告)の事例
株式会社ブシロード ヴァンガード&ヴァンガード ZEROのラッピングトレイン運行
出典:ヴァンガード&ヴァンガード ZEROの山手線ラッピングトレインが運行!!
株式会社ブシロードが取り扱うトレーディングカードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」。テレビアニメ放映の他、映画やイベントなどさまざまなメディアで展開されている若い世代に人気のカードゲームです。2020年3月にはJR山手線をジャックしたラッピングトレインを運行。キャラクター達が描かれた全21種のデザインの広告が山手線側面に掲出され、山手線や周辺エリアを利用する人たちへ向けて関心を引く電車広告となりました。
株式会社ブシロード μ’sとAqoursのメンバー別ラッピングトレイン運行
出典:μ’sとAqoursのメンバー別ラッピングトレインがJR山手線に登場!!
株式会社ブシロードとKLab株式会社が共同開発したスマートフォン向けアプリ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」のプロモーション。登場するキャラクターたちが電車側面に描かれた、JR山手線のラッピングトレインを運行しました。車体広告に登場するキャラクターは日によって変わるという凝った演出も。山手線を利用する人へ向けて、毎日異なるデザインが楽しめる広告展開となりました。
株式会社キョウエイアドインターナショナル 株式会社大垣ケーブルテレビの新ロゴマークをあしらったラッピング電車
出典:【キョウエイアドインターナショナル】大垣ケーブルテレビ新ロゴデザインの養老鉄道ラッピング電車が運行開始
岐阜県大垣市を中心に放送事業を行う株式会社大垣ケーブルテレビ。開局30周年を記念してロゴマークを一新し、ロゴに込められた地域に対する想いを近隣住民に伝えたいと考えました。プロモーションには地元住民が頻繁に利用する養老鉄道を利用。交通広告事業を行う株式会社キョウエイアドインターナショナルの協力のもと、新ロゴデザインを施したラッピング電車を運行し、地元住民への訴求を狙いました。