屋外広告全般を指すOOH広告の一種であるアドトラック(トラック広告)。一般に、公道を走行するトラックの荷台スペースを広告面として活用した広告宣伝車の事を指します。その派手さや人通りの多い繁華街中心に走行することもあり、街を行き交う大勢の人やドライバーにアプローチする事が出来ます。
今回は、アドトラックの持つ特徴やメリットや特徴、掲出時の注意についてまとめてみました。
アドトラック(トラック広告)とは?
アドトラック(トラック広告)は、トラックの荷台スペースに大きな広告を掲示し、その状態で公道を走行するOOH広告です。英語では「advertising truck」といい、「アドトラック」はこの略称になります。別名、広告宣伝車や宣伝カー、ラッピングトラックなどとも呼ばれています。
例えば、人通りの多い繁華街を走行することで、周辺住民をはじめとした、街を行き交う不特定多数の方へ広告を目にしてもらうことができます。歩行者だけでなく、公道ですれ違うドライバーへのアプローチも可能です。車両に掲載した広告によるアプローチに加え、昼間は音声による拡散、夜間はライトアップによる視認性の向上が可能となっており、効率的により多くの人の注目を集めることができます。
また、走行ルートの指定や、広告掲載期間の細かい調整なども可能。「休日・昼間・渋谷」のように走行エリアや時間帯などを限定することで、属性やエリアの特徴に合わせて、高い精度でターゲティングを行うことができ、高い費用対効果を期待できる手法といえます。
大きさや種類が豊富
アドトラックで使われるトラックの種類にはさまざまなものがあります。大きいアドトラックであるほど目立ちますがその分費用も高額になるので、予算や求める規模感をよく考えた上で決めることをおすすめします。小さいトラックでも「目を引く画像」や「LED電球」を活用する等、目立たせる工夫を施すといった手段や演出もあります。主なアドトラックの種類は下記の通りです。
・2トン内照式 : 全長5m程度と小型。大型では走行不可な小道も走行可能。
・4トン内照式 : 全長9m程度。トラック広告で最も一般的であり、大きな広告、音響効果で目を引くことが可能。
・40トンフィートトレーラー : 全長40フィート(=約12m)と大型。4トンタイプよりも広告面が広く、目を引きやすい。
※「内照式」とは、内部にLEDや蛍光灯などの照明を設置して、中から照らすことでコンテンツ全体をムラなく照らすこと。
その他にも、トラックの荷台をビジョンに加工して動画広告等を放映するトラックサイネージなど、一目引くようなユニークな演出も可能です。
また、アドトラック(トラック広告)に似たものとして、仮装したドライバーが複数台の車両で街を走行するアドカートや「デコレンタ」というラッピング宣伝カーもあります。ユニークで可愛いデザインの電気自動車を複数台運行することで注目を集めることが可能です。
その特徴的な形ゆえSNSに掲載されるほか、停車時にはお客様に声を掛けていただくことが多いのが特徴です。そのタイミングを利用して、販促物をお渡しすることでより深くお客様へアプローチすることもできます。
1日からのピンポイントで利用が可能
種類にもよりますが、アドトラック(トラック広告)は1日からの利用が可能です。そのため、ピンポイントでOOH広告の展開をお考えのお客様にオススメの広告手法となります。そのほか、1週間、2週間のように、週単位での利用も可能。
初回の制作費がかかる場合があるので、長期で実施した方が結果的にはお得な場合もあります。ただ、例えばCDのリリースなど、即時性を求められる広告の場合、1日単位のスポットで実施するケースも多くあります。
日本武道館でのライブ告知で渋谷駅近くを走るアドトラック
時間帯や場所の自由度が高いアドトラックは、エリアや時期などの要望に合わせて広告を打ち出すことが可能。トラックの走行ルートを把握できるので、他のプロモーションとミックスして展開したり、事前告知などが行いやすい点がポイントです。お祭りやイベントなどの人が盛んに出入りする時を狙って実施することも可能です。お祭りやイベントの内容によっては車両の通行止めをしている場合や、そもそもトラック広告が出来ないケースもあるので、事前確認が必要ですが、実施できれば効率良くPRできます。
注目を集めやすく、SNSでの拡散も期待できる 目の引くような、拡散したくなるようなデザインで広告を出すことで、「バズ」(=SNSを介して口コミで話題になることを指します)を引き起こすことも可能。狙ってできるものではありませんが、SNS上で取り上げられて話題となれば、爆発的に拡散されることもあります。
また、アドトラック(トラック広告)の場合、常に人が集まる繁華街エリアを走行するため、より多くの方にリーチする事が可能なOOHといえます。
アドトラック(トラック広告)の費用
アドトラックの料金を決めるポイントには以下のようなものがあります。
・広告掲載期間
・運行時間
・運行エリア
・トラック、広告のサイズ
・ラッピング費、デザイン費
・音源製作費 ・ドライバーの人件費
・駐車場の料金
・車両の燃料費
・道路使用許可申請費
・デザイン審査済証発行手数料
トラックの運行や広告のデザイン制作、トラックのラッピング作業など、自社でイチから行うととてつもない作業量になりますが、アドトラックを取り扱う媒体社を通せば、これら全ての手配や手続きを行ってくれます。
次に、アドトラック(トラック広告)のサイズ別の相場について見てみましょう。
これらに加えて、以下の費用が加わるイメージとなります。
・デザイン費 : 100,000 円 ~ 200,000 円
・音源製作費 : 30,000 円 ~ 100,000 円
・道路使用許可申請費 : 2,000 円 ~ 2,500 円
・デザイン審査済証発行手数料 : 10,000 円
※令和2年10月1日より※トラックの大きさや期間、エリアによって上記費用は変動します。
アドトラックは一見、費用が高く感じるかもしれませんが、インパクトのある演出で多くの人にリーチできることを考えると、費用対効果は良い方ではないでしょうか。また、必要な場所に、必要な時間・エリアにだけピンポイントで広告を打ち出せるというメリットもあるので、他の広告媒体以上の広告効果が期待できます。
アドトラック(トラック広告)の事例
繁華街などを走行しながら、多くのユーザーにリーチが出来るアドトラック。ここでは、その実例をいくつか見ていきましょう。
こちらは、デビュー告知のアドトラックのようです。基本的にアドトラックは看板やサイネージと違って、その場にとどまらず走行し続けます。 広告が掲載されたトラックを見つけたファンがSNSで拡散、結果的にトラックが走行していないエリアにも幅広くリーチする事が出来ます。
アドトラック(トラック広告)の規制・注意点
アドトラックを実施する際には事前に法律・条例について必ず確認するようにしましょう。ここでは、トラック広告の具体的な規制内容について解説します。
屋外広告物条例施行規則
街の景観を損ねるデザインや、公序良俗の面で不適切な広告を使用した場合、道路を走行する許可が下りない仕組みのことです。例えば、東京でトラック広告を行う場合は、公益社団法人「東京屋外広告協会」によるトラック広告のデザイン審査を行い、許可をもらうことで初めて道路を走行することができるようになります。
審査のポイントは下記の通りとなります。
(1) 交通安全に配慮したデザインとすること。
(2) 公共空間に相応しいデザインとすること。
(3) 街区の景観に配慮したデザインとすること。
(4) 街区の賑わいに資する洗練されたデザインとすること。
(5) 年齢、性別に係らず人々に不快感を与えないデザインとすること。
(6) 社会的弱者に配慮したデザイン及び広告方法とすること。
出典 : 広告宣伝車 自主審査基準 | 公益社団法人 東京屋外広告協会
繫華街エリア等を走行するアドトラックは、大勢の人の目に止まる分、表現の成約があるケースが多くなっています。他の媒体でOKでも、屋外を走るアドトラックではNGの場合もあります。
審査期間はおよそ7日~10日間になり、合格したデザインには、「審査済証」が交付されます。この「審査済証」を持たずにアドトラック(トラック広告)を実施することは出来ません。
判断に迷う場合は、まずは専門業者に相談するようにしましょう。
拡声器暴走音規制条例
拡声器暴走音規制条例は、拡声機による暴騒音によって、近隣住民などに迷惑をかけることを防止する目的で制定された条例です。
「暴騒音」については、都道府県公安委員会規則で、当該音を生じさせる装置から10メートル以上離れた地点において測定したものとした場合における音量が一定のデシベル数(概ね85デシベル)を超えた場合と定義されています。
この条例では、過剰な音量の広告で住民に迷惑をかけないことを目的にしています。各地域によって基準が異なる場合があるので、詳しくは各自治体の情報を事前に確認してみてください。
アドトラック(トラック広告)の媒体例
アドトラック(トラック広告)まとめ
今回紹介した通り、トラック広告はオフライン広告の中でも比較的自由度の高いOOH広告となっています。代表的な広告メディアであるテレビや新聞などと比べると、リーチできるお客様の数は限られますが、地域や時間帯などの自由度から客層を絞ることが可能といったメリットがあります。
トラック広告を成功させるためには、各車種の特徴を把握するとともに、ターゲットとなる客層を明確にした上で出稿を決定することが重要です。本記事を参考に、トラック広告を検討されてみてはいかがでしょうか?