リスティングの部分一致は結局効果的なのか?


リスティング広告を運用している方であれば一度は考えたことがあろうだろう悩み「部分一致って有効的なの?」
リスティング自体がアルゴリズムの進化によりここ数年で大きな変化を遂げており、それはキーワードのマッチタイプにも波及しています。

今回はリスティングの部分一致は結局有効的に使用することができるのか、について解説したいと思います。


そもそも部分一致とは?

今この記事を読んでくださっている方の中にはリスティングの運用を始めてまだ間もない方やこれから運用を始めるという方も多くいるかと思います。
そのため、まずリスティングにおけるマッチタイプの1つである部分一致についての解説を簡単に行います。

部分一致とはリスティングにおけるマッチタイプの1つです。そもそもマッチタイプとは、リスティング広告でキーワードを入稿する際に特定のキーワードと広告の表示条件をどのように一致させるかを指定する方法です。
現在のマッチタイプは3種類あり、それぞれ完全一致、フレーズ一致、そして部分一致にわかれています。

完全一致:

広告が表示されるのは、広告主が指定したキーワードと完全に一致する検索キーワードが行われた場合です。例えば、キーワードが「チョコレート おすすめ」であれば、検索クエリが「チョコレート おすすめ」という意味の組み合わせのみの場合に広告が表示されます。
そのため、「おすすめ チョコレート」や「チョコ おすすめ」でも表示はされます。

フレーズ一致:

広告が表示されるのは広告主が指定したキーワードと検索意図が一致するフレーズが検索キーワードに含まれている場合です。フレーズが一致していれば広告が表示される仕組みのため、例えば「チョコレート おすすめ」のキーワードであれば以下の検索語句が当てはまります。
・チョコレート おすすめ
・チョコレート おすすめ ケーキ 
・チョコレート おすすめ 東京

この2つと大きく異なるマッチタイプが本記事でメインとして取り上げる部分一致です。
部分一致は指定したキーワードに部分的に一致する検索キーワードが含まれている場合です。
上記の例で挙げた「チョコレート おすすめ」の場合、
・チョコレートケーキ おすすめ
・チョコレート お菓子
・チョコ バレンタイン
などの検索キーワードに引っかかります。

完全一致やフレーズ一致と違い、より広くキーワードを拾ってくることが可能なため、広告主側が予想していなかった新しいキーワードの発見にも役立てることができます。

この拡張性は広告運用をする際に欠かすことができず、特に運用費が大きくなればなるほどキーワードの管理も大変になるので重宝したいマッチタイプです。
一方で部分一致には課題もあると言われており、それが「拡張性が高くなりすぎる」ということです。

部分一致は拡張しすぎるという認識

私も運用していた際に「部分一致は拡張しすぎるからあまり使わないでおこう」と思ったことがあります。
例えば実際に運用していた際に起きた事例として、「デジタルサイネージ 広告」というキーワードを部分一致で登録した際、以下の検索語句に引っかかっていました。
「デジタル チラシ」
「サイネージ レンタル」
「広告代理店 ランキング」

本来であれば弊社で取り扱っているようなデジタルサイネージで広告を出したいという方向けに出稿していましたが、これらのキーワードは全く別の意図で検索されたもので、当然コンバージョンすることはありませんでした。

「デジタル チラシ」も、おそらく広告出稿を行いたいという方もいらっしゃるとは思いますが、実際に検索してみるとスーパーマーケットやドラッグストアが出しているお得なクーポンがついたデジタルチラシが上位表示されているため、広告出稿とは全く関係のないユーザーも紛れ込んでしまっているでしょう。

考え方によっては部分一致のため「デジタル」や「サイネージ」など部分的にキーワードを拾っているので正しいとも言えますが、広告主側の意図が反映されておらず、「部分一致は拡張しすぎる設定である」という認識をしていました。

そのため、当時のキーワードの組み方として全体の8割を完全一致、もしくはフレーズ一致で登録をして残りの2割を部分一致で拡張するという方法を使用していました。

進化した部分一致の効果とシグナル

そうした部分一致の認識がしばらく続き、部分一致の拡張性に困っている方も多く出ていましたが、ここ数年で一気に性能が強化されています。

マッチタイプ別の日々の数字を見比べても以前であれば部分一致は費用が多くかかりクリックも稼げるがコンバージョンをなかなかせずCPAが悪化する、という状態でありましたが現在はむしろ設定したCPA以内で最大限のコンバージョンの獲得が可能になっています。

ではなぜ部分一致の効果はそこまでよくなったのでしょうか。
実は数年前より部分一致でしか拾うことのできないシグナルというものが登場しました。
そのシグナルとは下記の通りです。



完全一致とフレーズ一致ではとらえられないユーザーの動きを部分一致ではとらえられるようになり、広告主の意図したニーズで検索するユーザーをしっかりと追うことができるようになったのです。

例えば前述した「デジタルサイネージ 広告」の例で、
・「デジタル チラシ」
という検索キーワードが出てきた際、部分一致での登録をしている場合はユーザーの過去の検索履歴などを考慮し、「明らかに広告を探していない」ことが判明しているユーザーには広告を表示しなくなります。

反対に完全一致やフレーズ一致の場合はそのシグナルを検知することができないため、キーワードの選定を誤ってしまい、「実はキーワードのほとんどは完全一致とフレーズ一致で入稿しています」という方は、もしかすると本来取れるはずのコンバージョンを多く逃してしまっている可能性もあります。

実際のマッチタイプ別の効果

部分一致がこの数年で性能が上がったことはマッチタイプ別で数字を見ることで明確になります。
下記はとある実際の運用実績の6か月分をマッチタイプ別で表したものです。


入稿の割合のほとんどを既に部分一致にしているためクリック数や表示回数にははじめから大きな差が出てしまっていますが、注目していただきたいのはコンバージョン率CPAです。

以前は効果が悪いとされていた部分一致がそのどちらの指標においても圧倒的に良い数字を出しており、部分一致のみでキーワードを構成しても良いのではと思うほどの結果となっています。

また、クリック単価も極端に高くなることはなく、以前の部分一致が大暴れしてしまうような心配もこれを見る限りはないと言えます。

これからは部分一致での入稿割合を増やそう

部分一致は拡張性はいいが効果が悪い、というのはもはや昔の話になりつつあります。
とはいえ、すぐに今入稿している完全一致とフレーズ一致のキーワードを部分一致に変更することにリスクを感じる方も一定いると思います。

その場合は組み合わせの数が多いキーワードから順番にテスト的に部分一致に変更していくことをおすすめします。
例えば、「チョコレート」と「チョコレート おすすめ 東京」という2つのキーワードを並べた際、後者のキーワードのほうがより目的が明らかで検索意図がわかりやすいです。
これはGoogle側も同じ認識のため、組み合わせの多いキーワードであればキーワードの拡張も大きく起こる心配がなく、なおかつ効果も期待できると思います。

また、除外キーワード設定も忘れてはいけません。
いくら部分一致の性能が向上したとはいえ、まだ関係の薄いキーワードを拾ってしまうことはあります。
可能であれば週に1回程度は管理画面としっかり向き合い、必要のないキーワードを除外設定することで広告効果を大きく上げることができます。

まとめ

いかがでしたか?
昔は部分一致に対してあまりよくないイメージを持っていた私も今では大きく助けられています。
リスティングの運用をするうえで今後は欠かせないマッチタイプのため、是非部分一致の活用をしてみてください。