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2024年上半期、広告への苦情は4,095件!気を付けたい広告表記とは
日本広告審査機構(JARO)は、2024年度上半期(4月〜9月)の広告に対する苦情の受付・審査に関する統計を発表した。
調査方法:日本広告審査機構(JARO)に寄せられた広告に対する苦情と審査に関する結果を年2回公表
総受付件数:5,311件
調査期間:2024年4月〜9月
2024年度4月〜9月、日本広告審査機構(JARO)への広告に関する総受付件数は5,311件であった。うち、苦情が4,095件で前年同期比92.3%と減少した。これは、2023年10月からステルスマーケティングが景品表示法違反になったことなどの広告規制が影響している可能性がある。
次に苦情4,095件を業種別で見ると1位は前年同期と同じく医薬部外品であった。次いで健康食品(保健機能食品以外)、オンラインゲームという結果になった。
1位の医薬部外品については、
・「1回限り、解約不要、追加料金一切なし」と大書しながら実際には購入する画面で定期購入契約となることが分かりにくく表示されている
・解約に追加料金がかかる
といった事例があった。その他にも、顔のシミを表現した加工した画像への不快感も多かったようだ。
次に、美容健康系商品4業種の苦情件数推移については、保健機能食品が前年同期より増加した。特に、精力増強をうたう広告への苦情が急増した。生成AIを使うなどして多くが性的なビジュアルを使用しており、「卑わいである」、「広告を非表示にすることができない」、「一般的なサイトを閲覧していて表示される」などの苦情が多数寄せられた。広告主や広告を配信するプラットフォームは、不適切な広告が表示されないよう、より厳格な審査を行うことが課題だろう。
見解(消費者からの苦情に対して、JAROが審査を行い、その広告が適正かどうかを判断した結果のこと)の対象となった商品・サービス、媒体は11件であった。そのうち、定期購入の事例が6件、「No.1」「高評価」「%」といった表示が含まれていたのが5件、アフィリエイトが関係するものが6件であった。
厳重警告の例として、医薬部外品(クリーム)では「若返りすぎて炎上」「絶対にしわが消える」などの違法な効果の表示や、合理的根拠に基づかない「堂々の3冠受賞」、「美容皮膚科医の間で話題」などの広告が対象となった。
化粧品では、美容液に「肌のサビ抜き」などの違法な効果の表示があったことや、わずか1日のみ1位を獲得したことについて「○○(大手通販サイト)で3冠獲得」などと表示した事例が挙げられた。
これらの表記は、広告を出す側が法規制の複雑さや専門知識の不足などにより、無意識のうちに違法な表現を用いてしまっているケースもあれば、意図的に法のグレーゾーンを突くことで、競合との差別化を図ろうとしているケースも考えられる。いずれにしても、消費者を守るためにより厳格な規制が必要となりそうだ。
2024年度上半期の広告に関する苦情件数は、前年同期比で減少したものの、医薬部外品や美容健康食品などの分野では増加傾向となった。特に、生成AIによる不適切な画像を用いた広告は、今後も議論を呼びそうだ。広告は、消費者が商品やサービスの内容を正確に理解できる内容かつ、法令や倫理に則った表現がこれまで以上に求められるだろう。
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