デジタル化が進む現代において、企業の広告戦略もまた多様化し続けています。
特にSNS広告やリスティング広告といったデジタル広告の利用が増加する中で、どの業界も自社の商品やサービスを効果的に市場に訴求しようと試行錯誤を重ねています。
アドクロ編集部が独自に実施した2024年4~6月の広告動向調査から、広告媒体の選択、予算配分、重視する評価指標などの現状が見えてきました。本記事では、その調査結果を基に、読み解ける各社の広告の動きを解説していきます。
調査について
調査概要
調査期間:2024年4月8日~12日
調査方法:インターネットによる任意回答
有効回答数:14社
設問数:7問
調査結果
Q1:会社の業種属性についてご選択ください
Q2:会社の従業員数についてご選択ください
Q3:今後直近3ヶ月において広告予算にかける月平均はどれくらいですか?
6割以上の企業が広告費で月300,000円以上利用している。
Q4:今後直近3ヶ月において広告費はどの媒体に使っていますか?(複数選択可)
WEB広告(SNS・リスティング)で50%以上、ポスティング・サンプリング・新聞折込が続く。オフライン広告では、1対nのマス広告よりも消費者に直接届くダイレクトメディアが好まれている傾向に。
Q5:広告出稿を検討する際に、重要視するポイントは何ですか?(複数選択可)
ターゲットとのマッチ度以上に、コスト効率に重点を置いている企業が多い。
Q6:広告予算を割り当てる際に、重視している要素は何ですか?(複数選択可)
広告予算は、最新のマーケットトレンドや行動パターンを意識しつつも、過去のデータや分析を考慮した上で決定。
Q7:広告効果を振り返る際に、最も重要視する指標は何ですか?
コンバージョン率や顧客獲得単価を重要視する企業が約7割。1件あたりの獲得コストに注力。
考察
1、リスティング広告など獲得に直結するメディアが選定されやすい傾向に
アンケートから、リスティング広告やSNS広告など、ほとんどの企業が獲得に直結するWEBマーケティングに力を入れている様子が伺えました。
一方でオフラインマーケティングについては、交通広告や屋外広告、テレビCMなど1対n型の媒体ではなく、1対1でアプローチ可能なポスティングやサンプリング等が選ばれているようです。
交通広告や屋外広告など1対n型の媒体は、今でも効果計測の方法に課題があり、実施前のシュミレーションや実施後の振り返りが数値的に行いにくい難しさがあります。また、定量調査で外部機関の調査を用いるにもコストがかさむケースも多く、売上に直結したか判断が難しいこともあってか、各社優先度はそこまで高くないように見られました。
効果を振り返る際の指標で、「コンバージョン率」と「顧客獲得単価(CPA)」を選択した企業が多数であったことも踏まえても、認知獲得やブランディングよりも売上に直結する施策の優先度が高い企業が多いようです。
2、「実際の販売数」や「リード獲得」を重視
広告効果の振り返りにおいて、14社中10社で「コンバージョン率」と「顧客獲得単価(CPA)」を最も重要な指標としており、実際の販売数やリード獲得に直結する結果を最も重視している様子が伺えました。
広告が単にブランド認知度を高めるだけでなく、具体的な売上増加やコスト削減に貢献しているかを見極めたいという企業意向を反映しているように考えられます。
実際、14社中12社が広告出検討時に重要視するポイントとして「コスト効率の良さ」を挙げている点も踏まえても、いかに少ない広告予算で確実に売り上げを作っていくかが焦点になっていると推察されます。一方、本調査では300名未満の会社の回答となっているため、施策の優先度は企業規模によって異なる結果になる可能性はありそうです。
広告は“見える化”した投資対効果が求められている
2024年4~6月度調査では、企業の広告戦略は効果重視の方向にある様子が伺えました。
多くの企業が「コンバージョン率」や「顧客獲得単価」といった、売上や集客に直結する数値指標を重視しており、ブランディングや認知度向上という数値化が比較的難しい領域については後回しにされていることが推察されます。
広告の「投資対効果」が厳しく問われるようになり、担当者自身も数値化が難しい要素を二の次にせざるを得ない状況に置かれているのかもしれません。