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コンテンツとして余白を残す|平井健一郎
空間メディア入門 僕たちは空間を使って何ができるのか 著書 / 平野 暁臣
川崎市岡本太郎美術館などのプロデュースを手がけた平野暁臣氏による、空間を通じたコミュニケーションの本質を探る一冊です。著者が手掛けた様々な展覧会やイベントの事例を引き合いに、「空間メディア」について講義形式で語られています。
私が長年生業としてきたOOHの企画を考える上でも必要な要素が多く散りばめられており、空間メディアを扱う者としてバイブルとしてきた書籍のうちの一つです。
空間メディアは、「情報を四次元×五感で伝えられること」「情報の受け手の反応を肌で感じられること」等、マスやインターネットとは異なる独自の特性を持っています。こうした特性を活かし、本書では情報を完パケにせずにそこに余韻や余白を残すことで、ユーザーの解釈とともにコンテンツを共有してもらうことが、空間でコミュニケーションを行う重要なポイントだと伝えています。これはOOHをソーシャルコミュニケーション上での一つのコンテンツと捉え、UGC(User Generated Content)として拡散してもらうことを狙う手法が当たり前になった昨今の使われ方にも繋がる話です。
2009年という、SNSも充分に普及していない時代に書かれた書籍ですが、今でも色褪せないばかりか、むしろメディア環境が当時よりも複雑になっている中で、空間を活用したコミュニケーションの特徴がより際立つ内容となっています。
講義形式ですぐわかる 心に響く情報空間のつくり方
「六本木ヒルズアリーナ」「岡本太郎〈明日の神話〉再生プロジェクト」を仕掛けたカリスマプロデューサーの渾身の書き下ろし。空間づくりの達人が解き明かすウェブ時代の「空間を使いこなす発想と技術」とは?
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