春は新しいことがスタートする季節。春らしい明るくポジティブな言葉やイメージは人々の新しい始まりや前向きな気持ちに訴えかけます。春にちなんだキャッチコピーの実例から、商品やサービスの魅力を最大限に引き出すためのヒントをお伝えします。
そもそもキャッチコピーとは?
キャッチコピーとは、消費者の興味を惹きつけるために広告や宣伝などで用いる短いフレーズのことを指します。キャッチコピーは大きく2種類に分かれ、イメージコピー(商品やサービスのイメージや価値観を印象づけるもの)とセールスコピー(商品やサービスの販売促進や購買行動に結びつけるもの)があります。
「お口の恋人」(ロッテ)や「インテル入ってる」(intel)、「そうだ。京都へいこう。」(JR東海)がイメージコピーの一例です。企業や商品のイメージアップや認知向上のためのコピーですので、印象的な表現や言葉のリズム感といった、目にしたときに心に残るようなフレーズで見る人に一瞬でインパクトを与えます。
一方、セールスコピーは購買活動や売上に直結させることが目的のため、商品やサービス自体のベネフィット(利益)を印象的に伝える必要があります。「たった●日で●●できるようになる」「●秒に1本売れています」といった具体的なメリットや信頼性を伝え、消費者の購買意欲をそそります。
キャッチコピーといってもイメージコピー、セールスコピーと目的が全く異なるので、目的に合わせて考えることが大切です。
広告に与える影響とは?
キャッチコピーは視覚や感情に訴えかけて一瞬で心をつかみ、商品やサービスの認知度や購買意欲を高めるだけでなく、ブランドや商品のイメージを象徴する重要な役割を持っています。
春らしいキャッチコピーを使うことは消費者に春の訪れや新しい季節に向けた気分を味あわせることができ、商品やサービスへの関心や購買意欲を高める効果が期待できます。
また、4月は新生活を始める方も多く、「期が変わるタイミング」であったり「新学期」といった新しいことにチャレンジするマインドが高まりやすい季節のため、季節に合ったタイムリーなキャッチコピーは、共感を深め、訴求しやすい特徴があります。
春らしいキャッチコピーの広告事例
では、春らしいキャッチコピーについて、実際に掲載された広告の事例から見ていきましょう。
1、春めかしく、柔らかな、さわやかさ
引用:サントリー公式HP
サントリーが2024年に掲載した広告のコピーです。春の訪れや桜の美しさをイメージしたキャッチコピーとなっています。
春をテーマにしたキャッチコピーを使うことで、商品やサービスが季節感や特別な時間を提供する存在であることを強調し、消費者に商品やサービスを購入することで春の訪れを感じたり、特別なひとときを過ごすことができるという魅力を伝えている点が特徴です。
2、春、好き?てりたま好き?
マクドナルドの春の定番「てりたま」シリーズの広告のコピーです。
まず、「春、好き?」という問いかけは、読者に季節の変わり目や新しい季節を楽しむ気持ちを呼び起こさせる効果があります。そして、「てりたま好き?」という問いかけは、商品を知っている人や「てりたま」が好きな人を想定しています。
季節感を取り入れつつも、商品の魅力やターゲット層にアプローチすることで、商品をより魅力的に見せる効果があります。
X(旧Twitter)では「春、好き?てりたま好き?」のコピーを引用して反応するユーザーも見られました。
3、永遠みたいな春になれ
学生をターゲットにしたユニバーサル・スタジオ・ジャパンの広告コピーです。
春は出会いや別れの季節で、特に学生にとっては卒業や入学シーズンと変化の季節となります。「永遠みたいな春になれ」という表現は、その時、その仲間との特別な体験やサービスが永遠に忘れられない思い出として残るようなポジティブな印象を与え、効果的に表現しています。
4、春に変わるんじゃない。変わるから、春が来る。
2024年、ルミネ・ニュウマンで新しい季節をいち早く楽しむキャンペーンの広告コピーです。
春ははじまりの季節。春の訪れを待つのではなく自ら前進し変わることで春の高揚感やエネルギーが湧いてくるだけでなく、新たな可能性を感じさせる前向きなメッセージを持っています。
ファッションを通して内側から湧き出るエネルギーや鮮やかさが周囲へ広がっていき、やがて街全体が春らしい景色へと変わっていくイメージを感じさせます。
5、さあ、あたらしい春が始まる。BRAND NEW ME 私を着替えよう。
ロペピクニック春の最新LOOKの広告コピーです。
春のはじまりや変化の季節を表現しながら、春になって新しい洋服を着ることで全く違う自分を発見したり、まるで服を着替えるように何度でも新しい自分になれるといった、新しい一歩を後押しするメッセージを感じます。
6、みんな、いい顔してる。
引用:資生堂公式HP
2023年4月に新聞各社に掲載された資生堂の広告コピーです。
春は新しい始まりや活力を象徴する季節であり、制限が解けつつあるこの年の春に、少しずつ前向きに感じられる日常へと変化を遂げようとしています。
豊かな表情が行き交う日常を共に喜び、美の力をもって自信を持ち自分らしく輝くことで「いい顔」があふれることを応援しているこのコピーはシンプルながら力強いメッセージ性があります。
7、寄り道も、思い出になる春。
引用:名古屋鉄道公式HP
2022年春の名古屋鉄道の広告コピーです。
鉄道を利用して春の観光やお出かけを楽しむことを提案しているだけでなく、日常の中でのちょっとした行動や場所への立ち寄りが春の訪れを感じ、特別な時間や思い出となるような季節を楽しむ気持ちを呼び起こさせます。
8、春が来る。
UNIQLOを展開する株式会社ファーストリテイリングの2022年春の広告コピーです。
まだ寒さが残る中、春の到来を前に一足早く春の訪れを告げ、春をイメージさせる色使いのコレクションから春らしいスタイルの提案をしています。
淡いピンクのセーターを着用した綾瀬はるかさんが暖かな日差しと春風が舞う中で、ピアノの演奏に合わせて童謡「春が来た」の替え歌を歌い、春の訪れを宣言するスペシャルムービーも公開されています。
9、春うらら。さくらの恵み、あなたに。
2021年のローソンの広告コピーです。
春の訪れを告げる桜をイメージしたフレーズであり、春の訪れや桜の美しさを通じて、消費者に季節感をイメージさせるだけでなく、新商品や季節限定商品の注目度を高めるコピーとなっています。
10、春ダカラ、カラダ。
スポーツの習慣化をテーマにしたTIPNESSの広告コピーです。
キャッチーなフレーズなだけでなく、何かをはじめたり変化が多い春の季節感にぴったりのコピーです。体調の変化が多い季節の変わり目に、自分の体に意識を向けることを促す表現になっています。
春に使えるキャッチコピーの特徴
ここまでご紹介した事例から、春や桜をテーマにしたキャッチコピーの特徴をまとめました。
1、季節感の表現をつかっている
「春めかしく」「柔らかな」「さわやかさ」「春うらら」など、春の特徴である明るさや爽やかさ、透明感を表現しています。また「桜のような透明感」「さくらの恵み」など、春の象徴の風景や花々を連想させる言葉やイメージを用いることで季節感を感じさせます。
2、新生活や新たな出会いを連想させる表現をつかっている
春は新たな生活や出会いの季節として捉えられることが多いため、「永遠みたいな春になれ」「さあ、あたらしい春が始まる。BRAND NEW ME 私を着替えよう。」など、春が新たなスタートや変化を連想させる言葉が使用されています。
3、感動や変化を強調させる表現をつかっている
「春に変わるんじゃない。変わるから、春が来る。」「みんな、いい顔してる。」「寄り道も、思い出になる春。」など、春がもたらす感動や変化を強調しています。
4、デザインにも、爽やかさや明るさを表現をつかっている
春の特徴として爽やかさや明るさがあるため、視覚的にも春を表現する言葉や色彩を使用することで、商品やサービスの魅力を引き立てています。
いずれのキャッチコピーもポジティブなメッセージを含んでおり、新しい季節や自己改革に対する期待や希望が感じられます。また季節感を演出することにより、その商品やサービスが季節限定であるかのような印象を与えることができるため、購買意欲を高める効果が期待できます。
まとめ
情報やモノがあふれている中で、一瞬で消費者の興味関心を惹きつけるキャッチコピーの役割はより重要になっています。
春の訪れとともに前向きな気持ちになり、新たな目標や夢に向かって動き始める春は、美しい自然やポジティブな感情を起こさせるような表現によって商品やサービスの魅力をより引き出すことができるでしょう。
春にちなんだ広告のコピーに使用される言葉として「新生活」を意識した前向きになれるポジティブな単語や、「スタート」「始まる」「新生活」など、“新しい”事にちなんだ表現が多く使われているので、コピーを考える際は参考にしてみてください。