AI Overview(SGE)をご存じでしょうか?
元々はSGE、Search Generative Experiencesの略で展開されており、簡単に説明すると検索結果に生成AIが組み込まれた、これまでにない新たな検索体験ができる機能です。
日本では2023年の8月にテスト的に開始されており、希望者はSearch Labより実際に体験することが可能です。例えば、「コーヒー カフェイン量」と調べたときの、通常の検索結果は以下のような形です。
AI Overview(SGE)をオンにした状態で同じ検索語句で検索すると以下のような結果になります。
通常の検索結果よりも上に生成AIによる回答が記載されています。
Googleは兼ねてよりユーザーの検索したことに対して適切な答えを返せるようにしていきたいというビジョンがあり、検索アルゴリズムもそれに沿ったアップデートを続けてきました。
このAI Overviewはそのビジョンが最も表されたものであり、質問に対してシンプルに答えを返せるようになっています。そんなAI Overviewの登場により、従来のSEO対策はもう意味がなくなるのではないかともいわれており、WEB業界に衝撃を与えました。
では、WEB担当者はAI Overviewを意識したサイト作りをしていくべきなのでしょうか。
そもそもAI Overviewは何がすごいのか
1.知りたいことをすぐに知れる
「いやいや、普通の検索でも知りたい情報は山のようにあるし何が違うの?」と思う方もいるかもしれません。
AI overviewでは検索した語句に対する答えを非常にシンプルに返してくれます。先ほどの「コーヒー カフェイン量」と調べたときの結果をもう一度見てみましょう。
ソース元もしっかりと明記されており、なおかつ「カフェイン量」を明確に回答するだけではなく付随して知りたいであろう情報も追記してくれています。
料理をするときに食材の保存期間が知りたい、記事広告を出すときの相場価格を知りたいなど日常で気になることから、仕事ですぐに調べたいことまですべて明確な回答をすぐに出してくれるため使い勝手は良いと言えるでしょう。
2.複雑な質問であっても答えが出る
これは日本ではまだ実装されていませんが、既に米国でリリースされているものです。
Googleで調べごとをするときにチャットのように長い文章形式で検索することはあまりないと思います。
先ほどのコーヒーの例の場合、「コーヒーに含まれているカフェインの量とカフェインを摂取することの影響を知りたい」とはなかなか調べないですよね。
AI overviewではこのような複雑な質問に対しても明確に答えを返すことが可能です。
実際にGoogleが出している例だと、「ボストンで1番良いヨガかピラティススタジオを探してほしい。特典の情報とビーコンヒルからどれくらい時間がかかるのかも調べて」という文章を打ち込んだ際の検索結果が以下です。
複数のヨガもしくはピラティススタジオを候補として出し的確に回答しており、まさに従来の検索よりも高精度であることがわかります。
もはや検索は単語を打ち込んで自分の好みの検索結果を選ぶのではなく、聞きたいことを文章に起こしてそれに対する答えが自動で返ってくることがスタンダードになるかもしれません。
AI overviewを意識したサイト作りは行うべき
検索は段々とユーザーの意図に合った答えをすぐに出せるようになる形式になりつつあります。
従来のSEOのように自分の欲しい情報が載っているサイトをわざわざ探す必要がなくなり、検索語はスクロールすらしないという現象も起こるでしょう。
そのため、今後はSEOならぬ「AI overview対策」が必要になります。
では、AI overview対策は具体的にどのようなことを行えばいいのでしょうか?
1.検索語句に対して網羅的な回答をページ内に用意する
AI overviewはユーザーの欲しい情報を的確に提供する機能です。
そのため、ユーザーが検索するであろう検索語句に対し、答えを用意するのはもちろんですが付随して知りたい情報を網羅的に用意することが効果的と考えられます。
先ほどの「コーヒー カフェイン量」であれば、カフェイン量だけではなく規定量や飲んだときに起こる影響についても表示がされており、ユーザーが知りたいであろう情報を出しています。
そのため、ある商品の良さについて説明する記事を書く際も併せてその商品のデメリットの部分も記載するとSGE対策としては有効でしょう。
今後はよりユーザー目線を持つことが対策として重宝されることになります。
2.FAQコンテンツを用意する
Google側に認識させるためにFAQコンテンツを用意することは有効的と考えられます。
特に物事について知りたいときの検索語句、所謂Knowクエリに対応するページの場合はFAQコンテンツも作りやすいと思いますので、まず対策を行うのであればこのKnow系クエリに対応したページからはじめてみましょう。
3.記事型ページの強化
AI overviewに表示される文字のリンク元は記事型ページが多いと言われています。
明確に記事型ページを評価しているという発表があるわけではありませんが、特にKnow系に関しては商品ページよりも記事型ページのほうが情報も多く掲載されているため要約対象として採用される可能性があります。
既に対策キーワードを商品ページで使用している場合はカニバリが起こる可能性があるため、この辺りは下調べを十分に行ったうえで作成をするようにしましょう。
AI overviewの機能は日本ではまだすべてリリースされていませんが、そう長くないうちに使えるようになるでしょう。
調べたいことを打ち込むとすぐに回答が返ってくる、ユーザーにとっては嬉しい機能のためサイトを作る側はこれまでよりもユーザー目線を持って質の高い、なおかつUI/UXを意識していく必要があるでしょう。