デジタル全盛の時代に、なぜ紙のチラシやダイレクトメール(DM)が依然として強力な集客ツールであり続けているのか。その答えは、ターゲットの郵便受けに直接届けられるダイレクト性にあります。
自動車ディーラーから大手小売店、さらには急成長中のデリバリーサービス企業まで、多様なクライアントの集客を成功に導いてきた株式会社フィーオ・ブレイン。その代表である梶原氏に、アドクロ編集部で取材を実施。
デジタルとアナログの境界線が曖昧になる現代のマーケティング環境で、紙媒体がいかに進化し、そして力強く機能し続けているのか。第2回の今回は、ポスティングの具体的な配布事例を見ながら、ダイレクトマーケティング手法の奥深い世界を見ていきます。
「ペット相談可のマンション」にペットホテルや動物病院のチラシを配布
編集部:ポスティングを展開していく上で、配布戦略はどのように考えれば良いでしょうか。
梶原(フィーオ・ブレイン):大きく分けて2パターンで認知優先で「広く多く狙っていく場合」と「特定のターゲットを狙う場合」。それぞれ配布戦略は異なってきます。
誰でも使う可能性があるサービス(=無差別に狙っていく場合)は間違いなく“配布量”が大事です。フードデリバリーとかフィットネスジムとかはわかりやすいですね。あとは保険とかも商圏内の配布量一択ですね。
【株式会社フィーオ・ブレイン 代表取締役 梶原隆司 氏】
一方、「特定のターゲットを狙う場合」はターゲットに届く“打率”を意識して配布先を絞っていく必要があります。結婚相談所なら「ワンルームマンション」に絞ったり、学習塾なら「ファミリーマンション」って感じです。同じようでターゲティング精度が違いますよね。
過去に「乗馬体験」のチラシでポスティングしたりもしましたね。乗馬場が都心部から離れた山の方でしたが、通える範囲のエリアを選定し、都心部のファミリー層を中心にアプローチできる形を取りました。
その他、有料老人ホームの事例があります。入居で数千万かかる施設でしたが「戸建て」と「ファミリー分譲マンション」に絞り、継続してポスティングを実施しました。
編集部:「戸建て」と「ファミリー分譲マンション」に絞った理由って何ですか?
梶原:「戸建て」はメインとなる“入居者”を意識して、「ファミリー分譲マンション」は“ご子息”を狙って展開しています。
実情は、入居に伴う金額が大きいので入居する本人の意思だけで決められないケースも多く…そうなったときに、ご子息のサポートで入居を決める場合もあるためです。
編集部:なるほど、だからご子息も狙って実施されたのですね。
梶原:そうですね。ご子息を狙いつつ、戸建てでご本人も狙う戦略を取りました。あと興味深い事例として、「ペット相談可のマンション」にペットサロン・ペットホテルや動物病院のチラシを配布した事例がありました。
ペット業界のお客様は行動範囲が広いので、必然的に配布範囲が広くなります。オーソドックスな店舗周辺配布だけかと思いきや、東京都内でも3区に渡って50,000〜100,000部配布なんてことも普通。
編集部:東京都内でも区をまたがるってかなり広い商圏ですね。
梶原:そうなんです。ペットオーナーさんって自宅近くの店舗も当然利用するのですが、例えば、電車で「六本木」でショッピングするってなった時、“一時的に”ペットを預けたいってなるそうなんです。店に同伴させられないから。
だから、“一時的に”ってマインドになる事を見越して、「ペットホテルが近くにあること」を広く広告を出しておくことで「旅行のタイミング」でも顧客獲得に繋がるんです。
編集部:業種とかサービスによって全然事情が違うんですね。
梶原:狙いたいターゲットがどういう行動をとるのかを把握することはとても重要です。ターゲットを打率高く狙える手段、セグメントを意識する事が反響を出すうえで意識すべきポイントになります。
ポスティング一択で上手くいった事例を知らない
編集部:その他、ポスティングで成果を出すために重要なポイントって何かありますか。
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