世界人口の約3割を占めるZ世代。日本の人口に占める割合は15%程と世界と比較すると多くはありませんが、2031年には全世界の収入の1/4以上に達するともいわれており、マーケターからの注目度も非常に高い世代になっています。
世界的に見れば量的にも質的にも消費や労働の主役になっていくZ世代。この記事では、改めて、なぜZ世代へのマーケティングが重要なのか、彼らの特徴や価値観、そしてどのような消費行動をとっているのかについて解説していきます。
なぜ、Z世代マーケティングは重要なのか
Z世代へのマーケティングが重要である理由。言い換えれば、なぜ他の世代のマーケティングが通用しないのか。それは、彼らがデジタルネイティブゆえに、他の世代とは異なる独特の価値観を持っているからです。まず、Z世代の定義から確認していきましょう。
■Z世代の定義
Z世代(ジェネレーションZ)とは1990年後期から2010年代に生まれた世代をさす消費区分のこと。1960年から70年代に生まれた人をさす「X世代」、1981年から1995年頃までに生まれた「ミレニアル世代(Y世代)」に続く世代として、アルファベット順から「Z世代」と呼ばれています。
■インターネットとの関わり
Z世代の一つ上のミレニアル世代(Y世代)はZ世代と同様に幼少期からインターネットを利用し、SNSを使ってもいますが、学生時代にポケベル・PHS・ガラケーを経てスマホの利用、SNSの利用に至っています。そのため、コミュニティの形成は学校や職場といったリアルな接点をSNS上でも反映する傾向があります。
一方、Z世代はデジタルネイティブかつソーシャルネイティブでもあります。2022年4月にStudyplusトレンド研究所が現役の中学1年生~高校3年生1,869名を対象に実施した「通学とスマートフォン・SNS利用に関するアンケート」ではInstagramでは7割以上、Twitterでは5割以上が複数アカウントを持っていることがわかりました。身近な人としか繋がらないアカウントや趣味のためのアカウントなど、目的によってSNS上のコミュニティを使い分けています。
Z世代はインターネットとの関わり方が他の世代とは大きく異なり、その価値観や行動特性は他の世代と大きく異なります。
そのため、他の世代で行ってきたマーケティング手法では通用せず、新しいマーケティング手法が求められています。
膨大な情報に囲まれるZ世代の価値観とは
では、Z世代の人たちはどのような特徴や価値観を持っているのでしょうか?
■コストパフォーマンス(コスパ)・タイムパフォーマンス(タイパ)を重視
まず、大きな特徴の一つとして挙げられるのはコスパの重視です。2008年のリーマンショックは彼らの親世代であるX世代の収入に大きな影響を与えました。そのため、Z世代の金銭感覚は保守的で、貯蓄や節約にも高い関心を持っています。また、何かを購入する際は、事前にSNSなどを活用して情報収集をしっかり行ってから消費行動をとります。
また、Z世代は、時間対効果「タイムパフォーマンス」を重視するのも特徴的です。最近では「タイパ」とも呼ばれており、Z世代の特徴を把握する上で重要な要素です。下の調査結果にもある通り、約8割の人が映像コンテンツを「ながら見」していますし、半数以上の人が「スキップ」してコンテンツを見ていることが分かります。
彼らは複数のSNSを使いこなしていますし、身の回りに様々な映像コンテンツが溢れています。全ての知りたいこと、見たいものに触れるためには圧倒的に時間が足りません。そのため、タイパを重視した行動が取られるものと考えられます。
■「失敗したくない」気持ちが強い
上のコスパ・タイパ重視とも繋がりますが、Z世代は幼少期から膨大な情報に囲まれて成長してきました。SNSですぐに情報収集ができる環境があることに加え多くの人が「周囲から浮かないようにしたい」という気持ちを持っています。そのため、「口コミの評価が高いかどうか」「信頼する人がおすすめしているかどうか」「自分に合っているかどうか」といったことを慎重に検討する傾向があります。
■グローバル化の加速で多様性が尊重されるように
SNSを使いこなす彼らは常に世界と繋がっています。世界中から配信されるコンテンツを世界中のZ世代の人たちと同じタイミングで見ており、国境を超えたグローバルなセンスが培われます。そのため、多様性を大切だと思い、自分と異なることを個性として尊重します。
また、株式会社電通デジタルの『デジタルネイティブ世代の消費・価値観調査21』によると、以下のような回答がありました。
・多様な考え方を持つ人と出会い、刺激をもらいながら生きていきたい(56.5%)
・好きな商品やサービスを通じて誰かとつながることがある(45.7%)
・どのような商品やサービスを利用しているかは、自分らしさを表現する上で大切だと思う(55.0%)
このことから、Z世代はSNS上で好きな商品やサービスという共通点でグローバルにつながりを持ち、何が好きか、何を利用しているかによって自分らしさを表現していると考えられます。
Z世代の消費行動は。彼らに広告は刺さるのか?
上記の特徴・価値観を踏まえた上でZ世代の消費行動を見ていきましょう。
■情報収集経路
以下の調査結果によると新しいブランドや商品についてはSNSを通じて情報を得ていることがわかります。ただ、女性は約70%の人がInstagramで情報収集を行っていますが、男性は33%と男女間でSNSの利用方法には違いがあるようです。
また、女性の中には、Instagram以外にTikTokや口コミアプリなどの検索機能を使って「実際の利用者の声」を集めている人もいます。一方、男性の場合は「広告を見て気になれば検索エンジンで調べる」など、広告訴求が届きやすい消費行動をとっていることがわかりました。そして、広告・PR投稿から購入経験がある人は男性で49.5%、女性で32.5%おり、4割以上の人が広告から購買へつながっているようです。
Z世代マーケティングで重要なこととは
Z世代はSNSを起点に情報収集をしており、広告・PR投稿も効果的であることが分かりました。また、失敗をしないために事前にしっかりと情報収集を行うことや口コミの評価が高いかどうか、信頼する人がおすすめしているかどうか、自分に合っているかどうかを重視していることが分かりました。
このことから、Z世代マーケティングにおいて、重要なのは次のようなポイントがあると考えられます。
■自分の価値観に合っていると感じてもらうこと
何を買うか、何が好きかは自分自身の表現方法の一つだと考えています。そのため、インパクトがある広告商品や広告をより多くの人に見てもらうようなマスマーケティングは好まれません。「自分の価値観に合っている」「自分らしさを表現できる」と感じてもらうことが重要です。商品やサービスそのものの機能性やデザインを訴求しても、おそらくあまり刺さりません。商品やサービスがどのように誕生したのかといった背景にあるエピソードを語ったり、社会や人々の生活に対してどのような価値を提供できるかに触れたりすることが有効です。
■オンライン上での口コミの形成
失敗したくないという志向性があるため、事前の情報収集をしっかりと行います。下の図にもある通り、男女ともにインフルエンサーや一般の人からの評価を参考にしている傾向があります。どんな内容の評価かという観点のほかに「誰の評価か」も重要な観点だといえます。また、そもそも口コミがあるという状態を作ることも大切ですので、積極的に口コミを書いてもらえる仕組みも必要になります。
■複数のチャネルで情報発信
Z世代は複数のSNSを使いこなしています。また、商品やサービスの購入前にはSNSだけでなく口コミサイトや通販サイト等でも情報収集を行います。様々なチャネルで情報を発信することで、つながりを強めることもできますし、SNSであれば双方向のコミュニケーションをとることも可能なため、ファンになってもらえる可能性も高くなります。
10代・20代をターゲットにした媒体紹介
アドクロでもZ世代に該当する10代・20代の方たちをターゲットとした広告媒体を多数取り扱っております。今回はその一部をご紹介したいと思います。
オンライン上で複数接点を持つことが重要と述べましたが、既にSNSやオンライン広告は十分行っている企業もあるかと思います。オンライン広告のCPAが上がってきた企業では、オフライン広告を併せて活用することで成果を出しているところもありますので、オンライン広告・オフライン広告をそれぞれ3媒体ずつ紹介させていただきます。
<オンライン広告>
<オフライン広告>