Microsoft(マイクロソフト)広告とは
リスティングといえば、「1番はGoogle、2番目にYahoo!」とお考えの方は多いのではないでしょうか?実は、Bingをはじめとするマイクロソフト社のプラットフォームに広告を出稿する「Micorsoft広告」が注目を浴びつつあります。
Microsoft広告とはMicrosoftのサービス上に配信できる広告媒体です。主に配信される広告枠は、検索広告の場合はMicrosoft Bing、ディスプレイ広告の場合はMicrosoft EdgeやOutlook、MSNなどが該当します。2022年5月31日から日本で提供されはじめたので、まだまだ知らない人も多いと思います。
Microsoft広告にはどのような特徴やメリットがあるのでしょうか?注目を浴びつつある理由とともにどのような広告なのかをご紹介していきます。
非常に豊富な広告メニューがMicrosoft広告にはあります。全て説明するとこんがらがるかもなので、初めての方にも興味を持ってもらえるように、代表的なものを記載しています。すでにGoogle広告やYahoo!広告を実施中の方も、これからリスティング広告をはじめようとする方もぜひご覧ください。
Yahoo!よりシェアの多いBing
マイクロソフト社といえば、ビルゲイツが創業した、グローバルなIT企業。Windowsの開発元で、Excel・WordなどのOffice製品を提供しており、説明は不要でしょう。
Windowsのデフォルトブラウザは、以前はInternet Explorer(IE)でしたが、2022年に完全にサポートが終了し、Edgeに切り替わりました。それにともない、Edgeの標準検索エンジンであるBingの利用ユーザーが増えています。
当社では、ブラウザはGoogle Chromeを推奨しています。なので、検索もGoogleで行うことが多いです。個人も会社もGoogle Chromeユーザーの私には、正直なところBingにピンと来ないですが、実はデスクトップの検索エンジンシェアでBingはYahoo!を超えています。
参照:statcounter
Googleの牙城は揺るがないですが、生成AIを組み込んだ「Bing Chat」が一般公開され、今後もシェアの拡大が期待されています。Microsoft広告を実施することにより、拡大しつつあるBingブラウザユーザーにアプローチができるようになります。
Bingでないと届かないユーザー数は一定数いる
「あるときはChromeで、別のときはBingで」とブラウザって使い分けますか?PCとスマートフォンで使い分ける人はいらっしゃると思いますが、基本的には同じブラウザを使い続ける人が多数ではないでしょうか?
つまり、Googleだけに広告を出したとしても目に届かないユーザーが一定数いると言えます。また、会社によっては管理上、マイクロソフト製品に統一している企業もいらっしゃいます。
時々ですが、セキュリティが厳しい大企業や金融機関から「資料はExcelで、WEB会議はTeamsで」と指定されることもあります。Microsoft広告をおさえることでGoogleやYahoo!では届かないユーザーに対してリーチできるというのはひとつの特徴です。
BtoBに強い
Microsoft広告の配信先は、Bingだけではありません。
主な配信先は
・Bing(検索エンジン)
・Microsoft Outlook(メールサービス)
・Microsoft Edge(ブラウザ)
・MSN(ポータルサイト)
です。
MicrosoftはOffice製品などをはじめ、ビジネスでの利用が多いといわれます。
特に日本の企業では、WindowsOSが多く利用されています。そのためWordやExcelなどのOffice製品も使用している企業も多く、その連動で親和性の高いメールソフトは「Outlook」、ブラウザは「Microsof Edge」を利用する企業は多いといえます。なので、toBの商材・サービスの広告パフォーマンスが高いと言われています。
実際のユーザー属性は下記の表をご覧ください。
Microsoft アカウントのユーザーは、平均年齢が44歳で、男性が多い傾向にあります。勤め人の割合が65%というデータからもBtoBに強い媒体と言えます。
また、Googleとの比較ですが、年収レンジが高く、決裁権限を持っている意思決定者が多いのも特徴です。正社員・個人事業主の割合が多いというデータからもBtoBに強いと言えるのではないでしょうか?
あくまで印象ですが、セキュリティがしっかりしているような大きな企業に使用されていると感じます。
モバイルには弱い
参照:statcounter
先程、Bingがシェアを伸ばしていると説明をしましたが、あくまで「デスクトップのみ」です。モバイルに絞り込むと、0.6%程度となっています。スマホの検索はGoogleやYahoo!が一般的です。スマホメインで商品やサービスを展開している企業には、Microsoft広告(Bing)との相性が悪く、出したとしてもボリュームが少なく、有効な施策にならない可能性があります。
PCで検索するときはじっくり検討したい時ではないでしょうか?先程のようなBtoBをターゲティングしている企業や高額の商品などはBingが向いていると言えます。
Microsoft広告の配信面
Microsoft広告の全体像をご理解いただいたところで、では実際にMicrosoft広告がどのようなものかをご説明します。
・配信面:どこに配信されるか
・タイプ:どのような形で表示されるか?
・料金:どのように価格が決まるのか?
についてそれぞれ説明します。
運用型広告にはよくある形式でBingの検索結果に表示される「Microsoft検索広告」とEdge・MSN・Outlookに配信される「Microsoftオーディエンスネットワーク(MSAN)」に配信が可能です。
Microsoft検索広告
Google広告やYahoo!広告と同様、Bingで検索したときの検索結果の上部などに配信される広告です。説明文や画像内などに広告というマークがついています。
引用:保険の検索結果
Microsoft検索広告には、様々なオプションメニューがあり、キーワード検索した人を誘導しています。後ほど広告タイプでもご説明しますので、まずは大枠としてとらえてください。
Microsoftオーディエンスネットワーク(MSAN)
Google等のリスティング広告を実施中の方には、ディスプレイ広告とお伝えしたほうがいいかもしれません。Edge・MSN・Outlookに配信されます。ブランドセーフティを重視しています。通常ディスプレイ広告だと自分の広告がどこに配信されているかわからない状況ですが、あらゆるサイトにやみくもに出されるわけではないので、ブランド毀損を防ぎながら広告の展開が可能です。
Edge
Edgeのスタートページのカード内等に表示されます。
MSN
視認性の高い上部枠や記事のカード内にも表示されます。
outlook
無料アカウントのみ配信がされます。
Microsoft広告のタイプ
様々な広告タイプでBingでキーワード検索した人を誘導しています。目的に応じて使い分けが可能です。いくつか代表的なもののみご紹介します。
動的検索広告
自社のWebページと関連性の高いキーワードで検索しているユーザーに対して、MicrosoftがWebサイトの内容から、ユーザーのニーズを満たすであろう広告を自動で生成し、出稿できる広告のタイプです。ターゲットと関連性の高い広告が自動的に作成されるため、キーワードの管理など時間を節約できます。また、見逃している顧客に対してもリーチが可能になります。
ショッピング広告
引用:加湿器の検索結果
Google検索でも表示されるので、イメージしやすいのではないでしょうか?対象の商品キーワードを検索するとMicrosoft広告の場合は、検索結果最上部に表示されます。このように画像付きで掲載されるので、ユーザーの目を引きやすい広告と言えるでしょう。EC サイトや実店舗で在庫のある商品の広告掲載することで、サイトのアクセスや実店舗への来店を増やし、売上を伸ばすことが可能です。
マルチメディア広告
引用:自動車保険での検索結果
大きなビジュアルで検索した見込み顧客にブランドや商品をアピールできます。検索結果右側に画像が大きく表示され、その下にテキスト広告があり、組み合わせで広告が表示されて非常に目立ちます。視認性の高い画像でアピールできるのがポイントです。
料金と課金と予算
Microsoft広告の課金方式
Microsoft広告は運用型広告と呼ばれます。一般的に運用型広告では、クリックや動画視聴などのアクションが発生するタイミングで費用が発生します。Microsoftでも同じですが、キャンペーンに応じて異なるので注意が必要です。今回は代表的なクリック課金のみご説明します。
クリック課金(CPC)
一般的に運用型広告というとクリック課金がメインになります。ユーザーが広告をクリックし、リンク先の自社ページ(ランディングページ)にたどり着くと課金が発生するタイプの課金方式です。
広告を表示されるだけでは料金が発生せず、実際にユーザーがクリックした場合にのみ料金を支払うため、費用対効果を最大化することができます。
ただし、人気のあるキーワードや競合他社が多いターゲットの市場では、入札金額が他社と競争になるので、クリック単価が高騰することがあり、費用対効果が悪くなる可能性があるので注意が必要です(他にもインプレッション単価課金や販売あたりの課金方式がありますが、今回は割愛します。)
Microsoft広告の入札戦略
Microsoft広告は、一般的なリスティングなどの運用型広告と同様に入札価格により表示が決まります。クリック課金の場合は、クリック単価を入札し、他の入札者と争うことにより広告が表示されるか、どの位置に表示されるかが決まります。
リスティング広告などの主要な運用型広告サービスでは、自動入札と手動入札の両方が用意されています。
手動入札は、配信状況を見ながら自分の想定・戦略どおりにその都度細かく設定できます。手動入札は、入札価格を調整できるのですが、PDCAを回しながら最適なクリック単価を見つける必要があります。柔軟性がある分、頻繁に配信状況をウォッチしなければならず、時間と手間がかかります。そして適切に入札し、成果を出し続けるには広告運用のスキルや知識が必要です。
一方、自動入札は、機械学習を用いて、Microsoftなどの媒体社が運用担当者の代わりに入札価格を最適化する方式です。
Microsoft広告では
・「クリック数の最大化」:設定されている広告ご予算内でクリック数を最大化する
・「コンバージョン数の最大化」:設定されている広告ご予算内でコンバージョン数を最大化する
・「目標コンバージョン単価制」:目標コンバージョン単価の範囲内でコンバージョンを獲得できるように自動で入札
・「目標インプレッション シェアによる入札」:設定した入札単価で、できる限り多くのインプレッションを獲得できるように入札最適化
・「目標広告費用対効果」:平均目標広告費用対効果 (ROAS)を設定し、目標数値達成するため自動的に入札
が用意されています。
結局のところ、どちらの入札方式が良いかと思う方もいらっしゃると思います。メリットとデメリットありますが、自動入札を選ばれることの方が多いようです。
自動入札のデメリットを一つ上げるとすれば「自動入札の精度が上がるまでには、ある程度の運用期間が必要になる」ということです。AIが学習し、最適化するまではどうしてもパフォーマンスが安定しません。特に予算が少額の場合には、配信数・クリック数・コンバージョン数などの学習データが少ないため、パフォーマンスが出にくい状況が長期化する可能性があります。注意が必要です。
Microsoft広告のおすすめの理由
まだまだ競合が少ない
Microsoft広告では、GoogleやYahoo!と同様に入札式の課金方式を採用しています。競合他社が同様のキーワードを入札すれば、自然と競争が起こり、入札単価は上がります。
Microsoft広告を運用している企業は意外とまだ多くありません。まだまだYahoo!広告やGoogle広告と比べ、安価な金額で出稿できる傾向にあります。早めにMicrosoft広告を始めることで、競合他社の一歩先を進むことができ、先行者利益が得られます。
特に新しいリーチのたどり着ける
「あるときはChromeで、別のときはBingで」と利用シーンに応じてブラウザって使い分ける人は少ないです。Chrome(Google広告)ではたどり着けないユーザーが一定数います。
また、ユーザーの属性もGoogleとは異なります。特にGoogleに比べると「会社勤めの人が多い・決定権者が多い・PCユーザーの割合が多い・年収レンジが高い」という特徴があります。
特にBtoB企業にはおすすめ
ユーザー属性を見てもビジネス層(BtoB)へのアプローチが強い広告と言えるのではないでしょうか?PCがメインなので、toB向けの商材やじっくり検討が必要な高価格帯向けの商材などの愛称が良いと考えられます。
BtoB企業のマーケッターや広告施策の運用に携わったことがある人なら共感いただけると思いますが、どうしても広告の打ち手に悩んでしまいます。広告とは基本的にBtoC向けに作られているものがほとんどです。なので、BtoBをターゲットとしている企業は、広告の施策を拡大しづらいという大きな課題があります。
一般的なBtoB企業の施策としては、Google広告やFacebook広告が定番になりますがMicrosoft広告の攻略が突破口のひとつになるのではないでしょうか?
もちろん検索エンジン広告なので、能動的に探しているユーザーにリーチができるので、反響にもつながりやすいです。ChatGPTやcopilotなどAIで一歩進んでいるMicrosoft。今後ビジネスでの利用が増え、シェアが拡大する可能性も大きくあります。
Google広告の利用者は導入がスムーズ
Microsoft広告にはGoogle 広告の設定を簡単にインポートすることができる便利な機能が用意されています。PCや広告運用に慣れている人ならば、簡単に実施が可能で初期の設定・構築の手間を大幅に軽減することが可能です。
意図した通りに反映されているか、チェックは必要です。また、「入札単価」や「除外ワード」などインポート後に細かく設定をする必要が出てきます。Google広告で代理店をご使用の方は、代理店に確認されるとよいでしょう。