「ドアステッカー広告」は、電車内ドアガラスやドア横に設置されるステッカー型の電車広告です。電車広告とは、電車の中や車両の外に掲載する広告の総称で、電車を利用する方々へ向けた広告のことを言います。
電車のドアステッカー広告は電車を利用する不特定多数に向けてアプローチできるだけでなく、車内という限られた空間に掲出するため視認性に優れている点が特徴です。また、女性専用車両を活用した女性ターゲットへのプロモーションや、動画広告を組み合わせた事例も登場しており、今後もさまざまな展開方法が生み出される可能性を秘めているでしょう。今回は、電車のドアステッカー広告について、特徴や料金体系、事例を解説します。
ステッカー広告とは
ステッカー広告は、電車内に設置されるステッカー型の電車広告です。掲載場所によってさまざまな種類があり、例えばドアガラス窓面に貼られる「ドアガラスステッカー広告」や、ドア横に貼られる「戸袋ステッカー広告」、ドア上部に貼られる「ツインステッカー広告」、車両と車両の連結部に貼られる「サイドステッカー広告」などが存在します。なお、ステッカー広告の掲載場所は各鉄道会社によって異なります。
ステッカー広告は電車を利用するすべての人に向けてアプローチが可能。電車通勤のビジネスパーソンや、ショッピングに出かける主婦、移動に電車を利用する観光客など、ターゲットを絞らず不特定多数に訴求できる点もステッカー広告の魅力でしょう。それゆえ、商品の認知向上やイベントの案内など、掲載企業や掲載目的もさまざまです。
ステッカー広告の特徴
他社広告と隣接せず、独立した訴求が可能
電車内のドアステッカー広告の特徴として、まず、広告近くに待機している乗客へ独占したアプローチができる点が挙げられます。実は、ステッカー広告自体は掲載場所が多くありません。希少性の高い電車広告とも言われているステッカー広告は、ほとんどが他社広告と隣接せずに掲載できます。独占的に広告掲載することで、より見る人の興味関心が高まりやすいでしょう。
出典:ジェイアール東日本企画『MEDIA DATA2021』
ジェイアール東日本企画が発表した資料によると、JR東日本におけるステッカー広告の広告到達率はステッカーが43.3%、ツインステッカーが47.2%となっており、どちらも車内ビジョンの42.6%を上回る数字となっています。ドア横の広告到達率も高いことから、利用客の多くがドア周辺へ目を向けやすく、ステッカー広告を意識していることがわかります。
目線の高さに設定できるため、視認性が高い
電車内にあるステッカー広告は乗客の目線の高さに設定されています。そのため、乗客の広告視認性が高く、高い効果が見込めるでしょう。
東京都交通局が発表した資料によると、都営交通におけるステッカー広告の推定広告到達率は44.9%、中吊り広告の推定広告到達率は40.6%でした。調査結果からも、目線の高さに掲載されるステッカー広告は、電車広告の中でも広告到達率が高いことがわかります。
なお、外の景色が見られない地下鉄では、電車利用者がステッカー広告を目にする可能性がより高くなると考えられるでしょう。
広告内容が細部まで読まれやすい
単に目にされやすいだけでなく、内容が細部まで読まれやすいのもステッカー広告の特徴。乗客は電車に乗った後、基本的に車内では一定の位置に留まります。そのため、近くのドアにステッカー広告があればおのずと目にする時間も長くなるでしょう。読まれにくい文章が入った広告も、ステッカー広告であれば最後まで読まれやすくなります。
毎日電車を利用する人へは反復訴求が可能
通勤で電車を利用するビジネスパーソンは、ほぼ毎日同じ電車・車両に乗ると考えられます。すると毎日同じドア近辺のステッカー広告を目にするため、自然に反復訴求が可能になるでしょう。
もちろん、駅ポスターなどの駅を利用した広告も反復訴求が可能ですが、駅広告はその駅を利用する人にターゲットが限られてしまいます。一方、車内で展開するステッカー広告は電車の移動範囲まで訴求エリアを広げられます。1枚で複数のエリアをカバーできるため、広範囲のプロモーションも可能となります。
ステッカー広告のサイズと費用体系
ステッカー広告のサイズ
ステッカー広告のサイズは広告種類や鉄道会社によって異なります。電車の規格が各社異なる影響もありますが、例えばJR東日本の車両では、基本的に165×200mmの小さいサイズが主流です。165×200mmサイズの広告は、主にドアガラスステッカーや戸袋ステッカー、サイドステッカーとして掲載されています。また、ドア上部に貼られるツインステッカーでは2タイプのサイズが見られ、Mサイズが60×325mm、Lサイズが90×350mmほどです。
ステッカー広告の料金体系
ステッカー広告の料金についても種類や鉄道会社によって異なりますが、掲載期間は基本的に1ヵ月単位です。JR東日本のステッカー広告料金は、実施する台数や期間にもよりますがサイドステッカー広告でおよそ650,000円~6,500,000円、その他のステッカー広告でおよそ8,500,000円~13,000,000円となっています。なお、サイドステッカー広告は単線のみ展開のプランもありますが、その他の種類は複数路線セットで展開するプランがほとんどです。
東京メトロでは予め設定された掲載場所によって料金が決められており、およそ3,000,000円~8,500,000円ほどで掲載可能です。コストを抑えたプランとしては女性専用車のみに掲載できるプランもあり、通常のステッカー広告よりも低価格で広告展開できます。女性をターゲットにした商品やサービスのプロモーションに上手に利用すれば、コストを抑えた効率的なアプローチが可能でしょう。
電車広告にはこのステッカー広告のほかにも、中吊り広告やまど上ポスター広告など、さまざまな種類の広告があります。以下の記事で詳しくまとめていますので、電車広告掲出を検討の際はぜひチェックしてみてください。
電車広告について徹底解説! | 「電車内」という限られた空間で展開できる広告媒体
電車のステッカー広告事例
ロゼット株式会社 ロゼット洗顔パスタのステッカー広告掲出
出典:ロゼット洗顔パスタが黒(BLACK)&赤(RED)のプロモーションを展開!電車内ステッカー掲出やSNSではPR動画の配信も。
ロングセラー洗顔ブランド「ロゼット洗顔パスタ」を手掛けるロゼット株式会社が、追加ラインナップとなる2商品のプロモーションを展開。首都圏の他、近畿、名古屋、福岡を含む全4地域の鉄道を利用し、電車を利用する女性客へ幅広いアプローチを行いました。
商品パッケージの「赤」と「黒」に合わせた印象的なビジュアルで、車内でも目を引くインパクト抜群のステッカー広告に仕上がっています。
ホテル阪急インターナショナル 女性専用車両でAR活用の動画広告
出典:阪急電鉄 「女性専用車両」で華やかなブライダルシーンがあなたのスマートフォンにARアプリでブライダル動画広告を展開 あわせて10月30日(木)より続編に出演する一般モデルを募集
ホテル阪急インターナショナルが、阪急電鉄京都線内にAR情報を内蔵したマーカー入りのドアステッカー広告を掲出。阪急電鉄京都線の女性専用車両に展開し、電車を利用する女性客へのアプローチを狙いました。
内容は、広告内のマーカーにスマートフォンをかざすとホテル阪急インターナショナルのブライダルシーン映像が再生されるもの。静止画のステッカー広告だけでは伝えきれない部分を動画広告と組み合わせて訴求し、婚礼を検討中の女性が興味を引く電車広告となっています。
株式会社アルティメット総研 「ブラックジャックによろしく」との車内コラボ広告
出典:不動産コミュニケーションサイト「ウチコミ!」、京王線全線の車内にて「ブラックジャックによろしく」コラボ広告を掲出
不動産コミュニケーションサイト「ウチコミ!」を運営する株式会社アルティメット総研が、人気漫画「ブラックジャックによろしく」とコラボしたステッカー広告を京王線車内に掲出。
広告は一見普通の漫画が描かれているように見えるもの。しかし、よく見ると漫画上のセリフがサイト「ウチコミ!」のサービス内容を紹介するものになっており、通勤などで京王線を利用する乗客へのサービス認知を図っています。
一定時間同じ場所に留まる車内だからこそ漫画の内容もじっくりと読める、電車広告の強みを生かしたプロモーションになっています。
まとめ
電車広告の一つで、電車内のドアガラスやドア横に掲示されるステッカー広告。車内という限られた空間だからこそ乗客の目にとまりやすく、長時間の乗車で文章など広告の細部まで読まれやすい特徴があります。
また、スマートフォンの使用頻度が高い電車内だからこそ、QRコードなどと組み合わせればより効果的なアプローチが可能でしょう。ただし、広告内容については各鉄道会社によってルールが異なるため、掲載場所やサイズとあわせて確認しておくことが大切です。
多くの可能性を秘めているステッカー広告は、今後も電車広告の1つとして幅広く利用されるメディアとなるでしょう。
ステッカー広告以外にも、つり革広告や中づり広告など電車広告を幅広くお探しの方は、下記ページからチェックしていただけます。
首都圏の駅、電車広告をほぼ全て網羅した交通広告料金表もございます。併せてご覧ください。>2021年度版 交通広告料金表