アドクロ編集部がお届けする2024年12月30日週の新宿OOHレポート。新宿で展開された広告で、押さえておきたい広告事例をピックアップしていきます。過去のOOHレポートはこちら。
Topics①:日本郵政グループの広告
新宿駅で展開された、日本郵政グループの広告です。
赤を基調としたビジュアルで、日本全国に設置されている173,935本の郵便ポストにフォーカスを当てたメッセージ性の高い広告となっています。壁面全体を赤く染め上げることで、郵便ポストの象徴的なカラーを印象付け、ポストの入り口を彷彿とさせる4つの液晶画面から流れる動画とともに、様々な場所や風景の中で見守るように佇む郵便ポストの存在を表現しています。
コピーは「郵便ポストが見ている世界」というタイトルの下、雨の日も風の日も雪の日も変わらず私たちの暮らしを支える郵便ポストの役割を、詩的な言葉で紡いでいます。
特に「もしもポストが、私たちのことを見守っているとしたら。ポストは毎日、何を見つめているのでしょう。」という問いかけは、普段何気なく目にする郵便ポストを、人々の生活に寄り添う存在として捉え直す視点を提供しています。公共インフラとしての郵便ポストの価値を、感情に訴えかける形で再認識させるクリエイティブとなっていました。
Topics②:「劇映画 孤独のグルメ」の広告
新宿駅で展開された、テレビ東京の『劇映画 孤独のグルメ』の広告です。
巨大サイネージ「新宿BBB」を活用し、作品の世界観を立体的に表現したクリエイティブとなっています。駅構内に架空の焼き肉店を再現し、シリーズでおなじみのテーマ曲と店内のBGMを流すことで、視覚と聴覚の両面から通行人の関心を引き付ける仕掛けとなっていました。
サイネージには主人公・井之頭五郎の食事シーンや、シリーズに登場した歴代メニューを大きく映し出し、映画の公開を控えた時期に合わせて、視聴者の期待感を高める演出となっています。通行人の多い駅構内で、音や映像、空間演出を組み合わせた没入感のある広告は、シリーズファンだけでなく、新規視聴者の興味も引き出すプロモーションとなっています。
Topics③:ターキッシュエアラインズの広告
新宿駅で展開された、ターキッシュエアラインズの広告です。
456ウォールで配信された動画広告では、赤を基調とした背景に、ヨーロッパの主要都市の観光地を美しく配置したビジュアルが展開。ベルリンのブランデンブルク門やブダペストの国会議事堂など、各都市のランドマークを鮮やかな写真で紹介し、白い点線で都市間のつながりを表現することで、同社の広範なネットワークを視覚的に伝えています。
また、縦型サイネージでは、アテネの夜景を大きく映し出し、「同じ空の下」というメッセージとともに、魅力的な旅先としての印象を訴求。美しい港町の夕暮れの風景は、旅行への期待感を高める演出となっています。
企業ロゴは白地にシンプルに配置され、スターアライアンスのメンバーであることも明示することで、グローバルな航空会社としての信頼性も印象付けています。全体を通して、旅の期待感を高めながら、就航地の魅力を効果的に伝える広告となっていました。
Topics④:HONEYQU(ハニーク)の広告
新宿駅で展開された、「HONEYQUE」のヘアケア製品の広告です。
白を基調としたミニマルなデザインで、シャンプーボトルから流れ出る蜂蜜のようなゴールデンカラーの液体を印象的に表現しています。「鍛えるシャンプーが、ダメージ補修への近道。」というコピーを、シンプルな黒字で配置することで、製品の特徴と効果を端的に伝えています。
ブランドロゴとハッシュタグ「#ハニーク」を右端に配置し、SNSへの展開も意識した作りとなっているように感じました。壁面全体を使用しながらも、余白を効果的に活用することで、洗練された印象を与えるデザインに仕上がっています。
蜂蜜をモチーフにした液体の描写は、製品名の「HONEYQUE」と視覚的に結びつき、ブランドイメージを強く印象付ける効果的な演出となっています。駅構内という人通りの多い場所で、シンプルかつ印象的なビジュアルで通行人の目を引く広告となっていました。
Topics⑤:アニメ「異修羅」の広告
新宿駅で展開していた、アニメ「異修羅」第2期の広告です。
黒を基調とした壁面に、作品タイトルを赤と白のコントラストで力強く表現し、その横に多彩なキャラクターたちを配置した大型広告となっています。キャラクターデザインや効果的な配色により、作品の世界観やアクション性を印象的に表現。「全員が最強。全員が英雄。一人だけが、勇者。」というキャッチコピーを用いて、物語の緊張感や謎めいた展開を描いていました。
新宿駅メトロプロムナード内の複数面で展開された同広告は、それぞれデザインが異なるなど、力の入り具合が伺える展開となっていました。
また、同広告は渋谷駅でも展開されていました。
Topics⑥:講談社「煩悩ブックフェア」の広告
新宿駅で展開していた、講談社の「煩悩ブックフェア」の広告です。
「煩悩に効く108冊、全国書店に集めました。」という明確なメッセージを掲げています。「今年こそ、ダイエットしたい」「英語を話せるようになりたい」「投資をはじめたい」など、新年の目標や願望に寄り添うようなコピーを優しい口調で展開し、読者の共感を誘う内容となっていました。
広告の一部には書籍カバーを整然と配置し、視覚的なインパクトを創出。また、シンプルな表情の人物イラストを用いることで、親しみやすさを演出しています。このキャラクターは煩悩を持つ一般の人々を代表するような存在として効果的に使用されていました。
全体を通して、人々の「なりたい」という願望に寄り添いながら、それを叶えるためのヒントとなる本との出会いを提案する構成となっています。駅構内という場所で、通勤・通学者の目に留まりやすい、親しみやすいデザインの広告となっていました。
編集部から一言
12月30日週で特に注目したいのが講談社の「煩悩ブックフェア」です。年末年始という時期に合わせ、人々の新年の目標や願望に焦点を当てた本企画は、まさに“時期”を捉えたプロモーションとなっていました。
広告は「煩悩に効く108冊」という仏教の煩悩の数にちなんだ切り口で、新年の目標達成をサポートする書籍を紹介。「ダイエット」「英語学習」「投資」など、年始に多く見られる目標をテーマにした書籍を、緑を基調とした落ち着いたデザインで展開しています。
特徴的なのは、108冊の書籍カバーを整然と配置した視覚的なインパクトと、シンプルな表情のキャラクターによる親しみやすさの演出です。「なりたい」という願望を持つ読者の気持ちに寄り添うコピーワークは、年末年始に目標を立てる人々の心理を捉えているように感じました。
次週はどのような広告が展開されるか楽しみです。過去のOOH Reportも併せてご覧ください。