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2024年のSNSムーブメント大賞は動物ネタを通じて求める「共感と癒し」
株式会社TBWA HAKUHODOのマーケティング組織「65dB TOKYO」は、国内外のXとTikTokの流行から導き出した「2024年 年間SNSムーブメント大賞」を発表した。
調査対象:主要プラットフォームSNS(X、TikTok)
分析方法:ソーシャルリスニング
調査期間:2024年11月
調査実施対象期間:2024年1月1日~2024年10月31日
出典元:TBWA HAKUHODO「65dB TOKYO」https://www.tbwahakuhodo.co.jp/uploads/2024/11/65dB-TOKYO_2024-SNS-Movement-Report.pdf
2024年、X上でのムーブメントとして上位に挙がったのは「猫ミーム」「好きな〇〇発表ドラゴン」「アザラシ幼稚園」であった。
「猫ミーム」と「好きな〇〇発表ドラゴン」に共通するのは、動物のかわいい姿に自分の体験や好きなものを載せてSNSやYouTubeなどに投稿するという手法で、多くのバズを生み出した。自分の経験や考えをSNSなどに投稿することは、時に批判的な意見やネガティブなやり取りを生み出すこともあるが、この手法は見る人に柔らかい印象を与えつつ嫌味なく自分の考えを発信できるため、「そういうこと、あるよね」などといったポジティブな共感を得られやすい効果があると考えられる。
また、「アザラシ幼稚園」は一人のユーザーがX上で取り上げたことにより爆発的に人気が出て、一躍有名になった海外のアザラシ保護施設の愛称である。これはただアザラシを見るだけでなく保護施設を応援するという行為が、ポジティブな自己表現方法の一つとして多くの人々に受け入れられた結果ではないだろうか。
次に、X/TikTok横断ムーブメント大賞には「風呂キャンセル界隈」「回転界隈」「自然界隈」の3つが上位に選ばれた。
「風呂キャンセル界隈」は、最初は“風呂に入るのが面倒”といった単純な意味で使われていたが、最終的には”風呂に入る気力がないほどメンタルが疲れている界隈“というような意味でXの投稿などに頻繁に使われるようになった。2つ目の「回転界隈」はTikTokで流行した、複数人で90°ずつくるくるとゆっくり回る動画につけられたハッシュタグがSNSに広がったものだ。3つ目の「自然界隈」は都会から離れた自然の中でゆったり過ごすことが若者の間でブームになりSNSに浸透した。
どの「界隈」も非常にマニアックな内容で使われているが、今回の調査ではXとTikTokで流行の傾向に違いが見られたようだ。この調査では、Xでは人に言いづらいアンダーグラウンドな意味で「界隈」が使われているのに対し、TikTokでは動画に落とし込みやすい行動・アクティビティ系の「界隈」が広がったと分析している。
最後の「海外比較!消費ムーブメント大賞」は、海外と比較して独自の流行が垣間見られた“日本ならでは”のSNSトレンドから選定したものだ。こちらのトップ3は、順に「平成女児チョコ」、「セボンスター」、「フエラムネ」となり、大人が子供に戻って楽しむ「キンダーカルト」と呼ばれる、低予算で大人がワクワクできる消費傾向が流行したとしている。
これらのムーブメントに共通するインサイトとして、「新しい自己表現の形」が見て取れる。見る人に受け入れられやすい「型」を投稿のベースとして使うことで、楽しく気軽に自分のことを発信でき、炎上などのリスクも軽減できる。このようなことが、多くの投稿を生む一因となっていると考えられる。
2024年もXとTikTokそれぞれで独自のトレンドが形成され、動画やハッシュタグを通じた新しいコミュニティが広がった。今後、自己表現を楽しむ新しい「型」を活用した投稿文化がさらに進化していくのかもしれない。
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