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株式会社ICT総研は2024年度 生成AIサービス利用動向に関する調査結果をまとめました。
国内では、生成AIサービスの利用者が急増しており、2024年末には1,924万人に達すると予想されています。この勢いは今後も続き、2027年末には3,760万人まで増加する見込みです。
この成長の背景には、生成AI技術の進歩と、ビジネスやクリエイティブ分野での活用による効率化が挙げられます。生成AIサービスの日常的な利用は今後さらに増加することが予想されており、その成長は続いていくと見込まれています。
2024年6月に4,290人を対象としたWEBアンケート調査では、1,243人が「最近1年以内に何らかの生成AIサービスを利用したことがある」と回答した人が1,243人、「利用したことがない」と回答した人が3,047人で、7割以上が利用した経験がないという結果になりました。でした。しかし、40代以下については過半数が「利用したことがある」と回答していることから、今後さらに普及する見込みとなっています。
さらに先ほどのWEBアンケートで「最近1年以内に何らかの生成AIサービスを利用したことがある」と回答した人を対象に、「利用した生成AIのサービス名」と「生成AIの顧客満足度」を調査しました。利用率18.3%の「ChatGPT(OpenAI)」が最も利用された生成AIサービスだった一方で、顧客満足度については、75.8ポイントの「Adobe Firefly」が最も高く、利用率の高かった「ChatGPT(OpenAI)」は68.1ポイントで8位という結果でした。
出典:ICT総研
考察
認知されてはいるが利用には至っていない
技術の進化が著しく、ニュースなどの話題にも頻繁に取り上げられることが増えた生成AI。生成AIの認知度に関するMM総研の調査結果によると、生成AIを認知していると回答した人は75%でした。
出典:MM総研
この結果では、生成AIについては今話題になっているだけあって、多くの人が認知していますが、実際に利用したことがある人は12.5%と少ない数値でした。生成AIの技術について知っていても、日常生活やビジネスの中でどのように生かせるのかいまいちイメージしにくく、高度な技術である生成AIは使い方も難しそうという印象を与えているのではないでしょうか。
利用率の高さ=顧客満足度の高さではない
利用率と顧客満足度の違いについても、とても興味深い結果となりました。利用率が一番高い「ChatGPT(OpenAI)」の利用率の高さは圧倒的な知名度によるものと考えられます。しかし、多様なユーザー層を抱えるため、全てのユーザーのニーズに完全に応えているとは言えず、顧客満足度が必ずしも高いとは限りません。
一方、顧客満足度が最も高かった「Adobe Firefly」は、デザインソフトウェア会社Adobe社が開発したもので、知的財産権に関する懸念が少ない生成AIサービスです。Adobeユーザーを中心に利用されており、デザインや画像制作などクリエイティブな分野に携わるプロフェッショナルに特化したサービスであるため、一般ユーザーへの認知度はそれほど高くないかもしれません。しかし、そのターゲット層のニーズを的確に捉え、高い満足度を得ています。
生成AIの有効活用は業務効率化に繋がる
生成AIと一口に言っても、「音声生成」や「テキスト生成」、「動画生成」など、様々なものがあります。
生成AIを活用した資料作成の例(テキスト生成)
今まで人がやっていたことを、たった数秒でAIがやってくれる生成AIは便利である一方、知的財産権を侵害してしまう恐れや、AIに入力した情報の漏洩など、様々なデメリットもあります。
これらのデメリットも、生成AIの利用を躊躇してしまう要因になっている可能性がありますが、生成AIについての知識を深め、デメリットに注意して上手に活用することで、日常生活やビジネスをより効率化させることができたり、今までにはないアイディアを生むことができたりします。技術は常に進化し続けている為、生成AIを活用してできることは今後さらに増えるでしょう。