経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2021年2月分の広告業売上高が発表になりました。大きく落ち込んだ1月に比べ、やや下げ幅が減少しています。
1月に比べると、広告費の全体の下げ幅はやや緩和傾向
2021年2月の広告業全体の売上高は4,156億円と、前年同月比で90.9%。1月の74.4%に比べると、下げ幅が減少しています。年度末の広告費予算消化への動きからか、引き続きインターネット広告に予算が集中する状況が続いています。
4マス全体では91.6%。テレビは95.8%と検討するも、新聞・雑誌の下げ幅は拡大
新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,271億円。前年対比では90.9%となっています。
新聞広告は前年対比78.1%。4~8月は60~70%台で推移し、10月以降は90%前後と回復傾向となっていましたが、ここに来て再び減少傾向に入っています。
雑誌広告は前年比60.9%と引き続き大きく下落しています。4月以降の前年比40~50%台といった水準から、12月・1月は70%台とやや減少幅が減ってはきていましたが、厳しい状況が続いています。誌面からWEBメディアへの転換が着実に進んでいる印象です。
テレビCMは前年比95.8%と、4大マスメディアの中でも引き続き健闘を見せています。コロナ禍における在宅率の高まりから、テレビの視聴機会も増えており、コロナ以前とほぼ変わらない前年対比を維持しています。
ラジオ広告は前年比85.8%と、引き続き下落してはいるものの、コロナ以降一貫して同程度の水準を保っています。
インターネット広告費は115.2%と、引き続き前年同月比を大きくクリア
8月にコロナ以降初めて前年対比を上回ったインターネット広告。9月は一旦前年比で減少したものの、10月以降連続して前年同月比をクリアしています。1月には前年比117.8%と大きく上昇しましたが、2月も引き続き115.2%と大きく増加しています。
新聞や雑誌への出稿がインターネット広告に切り替えられている長期的な傾向と、年度末に向けた広告費予算の消化先として、コロナの影響を最も受けてないインターネット広告が選ばれる傾向が継続しています。
屋外広告76.4%、交通広告61.3%と引き続き厳しい状況
4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると、交通広告は61.3%と引き続き厳しい状況が続いています。リモートワークの定着や観光需要の低下などから、コロナ収束までは回復の糸口を見つけるのが難しい状況になっています。
一方で、新幹線や空港へのアクセスに利用される路線の長期枠などは、これまで空き枠が殆ど無い状況が続いていましたが、ここに来て空き枠も出てきておりますので、コロナ収束を見据えて今から情報収集をしておくもの良いかもしれません。
屋外広告は前年比76.4%と、1月の68.0%に比べやや減少幅は縮小していますが、こちらも引き続き厳しい状況です。ロードサイドの野立看板等への影響は限定的ですが、都心部では通勤・通学後は直帰する行動パターンも多く、特に夜間の通行量は大きく落ち込んでいますので、こちらもコロナ収束が待たれるところです。
折込・ダイレクトメールは74.1%。緊急事態宣言により小売・飲食などへの集客系のチラシが再び自粛傾向に入り、減少幅が拡大しています。
2021年1月、2月のカテゴリー別前年対比の比較
1月と2月の各カテゴリー毎の前年対比を一覧で比較してみました。1月に比べて前年対比が悪化しているのは、新聞、雑誌、ラジオ、折込・ダイレクトメール。インターネットも1月に比べると伸び幅は縮小していますが、引き続き高い前年対比をキープしています。
ワクチン接種は徐々にスタートしているものの、いまだにコロナの収束時期がはっきりとしない中、年度末となる3月には広告費予算がどのように消化されるのか、引き続き注視していきます。